日本各地の妖怪達・・・日本の妖怪分布図
宇迦之御魂神(うかのみたましん)
五穀と食物を司る神。稲の精霊を神格化したものともいわれている。数多くある稲荷神社の祭神でもある。
八房(やつふさ)
瀧沢馬琴作「南総里見八犬伝」に登場する人語を解する犬。安房の国主の戯れを真に受け敵将の首を取り、主の娘である伏姫を妻とした。
カイチ
不正を見抜き懲らしめる中国の聖獣。日本にも狛犬の一種として伝わり、東京日本橋の守護象となっている。
猫将軍
道教における、予言をもたらす猫頭人身の神。
キジムナー
沖縄周辺に生息するガジュマルの木に住む精霊。
片耳豚(かたきらうわ)
奄美大島の、影のない子豚の妖怪。
カプソ
かわそ、ともいう。石川県に現れる、先の太い尾を持つ子猫の姿をした妖怪。少女の姿に化けることもある。人語も理解できる。河に棲むところから、河童の一種と考えられている。
オオミツヌ
八束水臣津野命。またの名を、だいだらぼっち。海の彼方から太い網で島を引き寄せて国を作る巨大な土木神。日本中を歩き回り、その巨大な足跡から海などができたといわれている。
コロボックル
アイヌの伝説に登場する小人。名はフキの葉の下に棲む人 、という意味。西洋で言う妖精的な存在であり、アイヌでいうカムイと呼ばれる存在の一種とされる。
飛縁魔(ひのえんま)
日本の美しい女性の姿をした魔物。夜に現れ、男の生き血を吸うという。
文車妖妃(ふぐるまようひ)
書物を運ぶ小車の妖怪。女性の恋文や、文章にこめられた怨念から生まれるという。言霊と同じで、書物の言葉(文章)に込められた念(魂)が妖怪化したもの。
雪女郎(ゆきじょろう)
雪夜の晩に現れる、豪雪地帯に伝わる雪女。彼女の抱いている赤子を受け取ると、凍え死ぬといわれている。
シッケンケン
長野県諏訪地方で雪の日に出てくる雪女で、雪の中で人を捕まえては縛ってしまう。片足であるらしい。
茶枳尼天(だきにてん)
ヒンドゥー教のカーリーの眷属が、密教思想に取り入れられたもの。日本では平安時代の頃から狐信仰の一つ、稲荷神として信仰されるようになる。真言立川流の本尊でもある。
ガシャドクロ
戦死者や野垂れ死にした人々の恨みが集合して生まれた、巨大な骸骨の妖怪。昼間は姿を隠し、夜になると音を立てて歩き回り、人を見つけると襲いかかる。日本霊異記に記述がある。
鵺
平家物語などに登場する奇獣。頭が猿で体が狸、虎の手足と大蛇の尾を持つ。夜な夜な黒雲に隠れて天皇の御殿に現れていたが、源頼政の手によって退治された。
以津真天(いつまで)
葬られなかった死者の霊魂が妖怪化した怪鳥。疫病が流行した年に現れるとされる。野晒しの死体の処理を急がせるように、「イツマデ」と泣き叫ぶ。出現率は低い。
天堂天山
吸血鬼化することで若さを取り戻そうとした者。
夜行(やこう)
髭を生やした一つ目の鬼。節分や大晦日の夜に現れるという。首のない馬に乗って歩き回り、出会った人間を蹴り殺してしまう。
オバリヨン
藪の中を歩く人の肩におぶさってくる、いわゆるおんぶお化け。この妖怪にとりつかれると、肩が押しつぶされるほどに重くなり、簡単には離れないという。似たような妖怪に「子泣き爺」がいる。
子泣き爺
子供くらいの大きさだが、顔は爺。山奥にいて、赤子の泣き声で人をおびき寄せる。捨て子だと思って抱きかかえるとどんどん石のように重くなり、しがみつく。
手長
だいだらぼっちに近い存在の、手の長い巨人。常に足長の背に乗って現れる。この手長と、いつもいっしょにいる足長は、実は同体であったという伝説も残っている。
足長
東北の鳥海山に棲む足の長い巨人。その山の谷間には、食い殺された人間の骨が、うず高く積もっているという。中国の手長足長とは、全く別の存在である。
火車
生前悪い事をした人の死体を棺桶から攫っていく。現れるとき、俄かに黒雲が広がり、暴風雨となる。かの平清盛の臨終の際にもこの火車が現れて清盛を地獄へ連れ去ったという。
油すまし
電灯のない昔は、油を燃やして明かりにしていた。油を無駄遣いすると、戒めのために現れる。
天邪鬼(あまのじゃく)
人間の心を見抜く力があり、人を唆して悪いことをさせる。いつも相手と相手と反対のことを言うひねくれた妖怪。とりつかれると本心が言えなくなってしまう。
磯女
夜中に、船のとも綱をつたって船内に入り、寝ている人の顔に長い髪の毛をかぶせて、毛の先から生き血を吸う。
一反木綿(いったんもめん)
ゲゲゲの鬼太郎で御馴染の妖怪。一反ほどの白い布の妖怪で、夜、空中をひらひらと飛ぶ。人の首に巻きついたり、顔を覆って息の根を止める。
一本だたら
山の中に棲んでいる、一つ目で一本足の妖怪。足の大きさは約30cmで、雪の山中でよく足跡が見つかる。性格はおとなしい。因みに「蹈鞴を踏む」の「蹈鞴」は一本だたらからきているらしい。
牛鬼(うしおに)
頭が鬼のようで、体は牛に似た妖怪。山奥に棲んでいるが、時々人里に現れて、人や家畜を食う。
海坊主
海上に現れる巨大な妖怪で、頭に毛がなく、全身が黒い。船の前に突然現れるが、無視していると消える。
煙々羅(えんえんら)
煙の中に紛れて現れる。ぼんやりと煙を眺めていると見える。煙々羅が見える人は、心の美しい人だといわれている。
おとろし
神様を守る妖怪で、神社に棲む。神社に悪戯するものを、大きな音で驚かしたり、上からどすんと落ちて押しつぶしてしまう。
踊り首
争って互いに首を斬り落とした三人の武者の首がくっついて、空中を踊りながら飛ぶ。妖怪となっても大きな声で争っている。
傘お化け
いわゆるオーソドックスな日本の妖怪の一つ。百年以上経った古い傘が化けたもの。一つ目で一本足、下駄を履いている。長い舌をべろっと出して人を驚かす。
河童
おかっぱ頭で頭上に皿があり、背中には亀のような甲羅がある。頭上の皿には水がたまっており、この水が乾くと急に力がなくなって弱くなる。川を泳ぐ子供や馬を水中に引きずり込んで尻子玉を抜いてしまう。また、悪戯好きで、相撲とキュウリが大好物。非常な怪力の持ち主。地方によってはメドチやカワコ、ガラッパなどとも呼ばれる。
鎌鼬(かまいたち)
いたちの妖怪で、鎌のように鋭い爪を持つ。つむじ風に乗って現れ、人が気づかないうちにさっと皮膚を切り裂いていく。切られても痛みは感じないが、傷は深い。現在では真空によるものとされている。
九尾の狐
全身が金色の毛で覆われ、九つの長い尾を持つ狐。美女に化けて、人間のやる気をなくしてしまう。
鬼
怪力で気の荒い妖怪。角の数は一本、二本と様々。人をとって食ってしまう。しかし、中には気の優しい鬼もいる。
件(くだん)
牛から生まれる妖怪。顔は人で体は牛。生まれると人間の言葉で近くに起こる災いを予言して死んでしまう。
倉ぼっこ
倉を守る妖怪で、人に害は与えないが、倉ぼっこがいなくなるとその家は貧乏になる。座敷童子(ざしきわらし)の仲間。
逆柱(さかばしら)
木の柱を自然に生えていたときと逆に立てると現れる。そのままにしておくと、その家に不吉なことが起きる。
座敷童子(ざしきわらし)
東北地方の古い家に棲みつく妖怪。子供の姿をしていて、棲みついた家は栄えるが、いなくなると衰えてしまう。
覚(さとり)
山の中に棲んでいて、相手の思っていることを何でも言い当てる。山の中に一人でいる人間をからかう。前に「世にも奇妙な物語」で放送された「覚の化け物」というのがこれである。
朱の盤(しゅのぼん)
顔は朱のように赤く、目は皿のように丸く、髪は針のようで、角が一本。歯を噛み合わせると雷のような音がする。
白坊主
眼も鼻も口もない、マシュマロのような妖怪。夜道に突然ふわふわと現れる。のっぺらぼうの仲間と言われている。
人面瘡(じんめんそう)
おできをそのままにしておくと、やがて人の顔になる。恨み言を言ったり、水を飲んだり、食物を食べたりする。実際、おできで死ぬこともあるらしい。
吸い込み
夜寝ていると突然天井から現れ、「命と顔と、どっちを取る」と聞く。「顔」と答えると、眼・口・鼻を吸い取られる。
砂かけ婆
ゲゲゲの鬼太郎でお馴染み。神社の近くのさびしい森や竹薮にいて、通る人に砂をぱらぱらと降りかける。髪を振り乱して砂をぶつけるときもある。
畳叩き
冬の夜中に家の外で畳を叩くような音をたてる。鼠のように小さな体で、石の精だといわれている。
釣瓶落(つるべおとし)
古い大木から突然落ちてきて、通りかかった人を引きずり上げ、体だけ食べてしまう。首は食べ残して、どすんと地面に落とす。木の根元に生き物の死体を埋めると釣瓶落になるといわれている。
手の目
野原で殺された座頭の妖怪。目が見えないので、自分を殺した相手を探して野原を這いずり回るうちに、手のひらに目が開いた。
天狗
山奥に棲んでいて、神通力や超能力で、人間に恐怖を与える。真っ赤な顔で鼻が長く、山伏のような姿をしている。背中に翼があり、空を自由に飛べる。カラス天狗は天狗(大天狗)の子分で、烏のようなくちばしがある。天狗は人を八つ裂きにしてしまうほど力が強く、手に持っている羽団扇は一振りで何本もの大木を薙ぎ倒してしまう。山で起きる不思議な出来事はほとんど天狗の仕業であるという。
泥田坊(どろたぼう)
先祖代々の田を、遊ぶ金欲しさに売ると、先祖の霊が泥田坊となって現れ、毎晩「田を返せ」と叫ぶ・
人魚
上半身は人間のようで、下半身は魚。人魚を見ると不吉なことがあるといわれる。人魚の肉を食べると長生きできる。
肉人
腐った肉の塊の妖怪で、古寺の近くに棲んでいる。夜、死臭を漂わせて歩き回り、人を驚かす。その肉を食べると万病が治るとか不老不死になれる等の伝説がある。
ぬらりひょん
忙しいときに勝手に家に上がりこみ、お茶を飲んだりしていつまでも帰らない。悪い妖怪の大将といわれる。
塗壁(ぬりかべ)
夜道に突然現れて、通る人の前に立ちはだかり、通れなくする。棒で下の方を払うと、すっと消えてしまう。
猫又
尾が二本に割れた、全長が2mもある化け猫。長生きをした猫が猫又になるといわれ、霊力を持っている。
のっぺらぼう
顔に目も鼻も口も無い妖怪。街角の暗闇にうずくまっていて、声をかけた人に顔を見せて、驚かせる。
のびあがり
夏の夕方、小さな入道雲が俄かに黒くなり、人の形となって追いかけてくる。逃げれば逃げるほど高く大きくなっていく。
野衾(のぶすま)
山奥の深い谷にいて、霧のようにふわっと現れ、目や口を塞いでしまう。どんな名刀でも斬ることはできない。
お歯黒べったり
顔に目鼻が無く、お歯黒をべったりと塗った口だけある。花嫁の姿をしていて、女性を騙す男を懲らしめる。
化葛篭(ばけつづら)
昔話にも出てくる不思議な葛篭。意地悪で欲の深い人が開けると妖怪が飛び出し、優しくて心の清らかな人が開けると金が出てくる。
化提灯(ばけちょうちん)
恨みを残して死んだ人の霊が提灯に乗り移った妖怪。悪人の生霊を吸い取ってエネルギーにしている。
ひだる神
山道で食べ物をねだり、もらえないとその人にとりつく。取りつかれた人は、食べても食べてもお腹がいっぱいにならない。
一つ目小僧
小坊主の姿をした一つ目の妖怪。一本足のものもいる。赤い舌を出して人を驚かす。狸が化けたものとも言われる。
百目
身体中に百個の目のついた妖怪。夜道に現れ、人に出会うと目玉が一個飛び出して、いつまでもついてくる。
貧乏神
金持ちなのにけちで意地の悪い者の家に取りつき、病気や不幸を呼びこみ、一文無しにしてしまう。
震々(ぶるぶる)
夜道で、通る人の首筋に張り付いて、ブルブルと震えさせる。背筋がぞくぞくするような寒気は震々が取りつくために起こる。
目競(めくらべ)
多くの人の恨みが残っている家の庭石が、悪人がやってくると突然たくさんの髑髏に変わり、悪人を睨み付ける。
目玉しゃぶり
死人から目玉を抉り取り、その目玉をおいしそうにしゃぶる。持っている箱には、目玉がいっぱい入っている。
魍魎(もうりょう)
墓場に現れ、死者を食らう妖怪。つきの出ていない夜に現れ、死体をムシャムシャとおいしそうに食べる。
百々爺(ももんじい)
普段は山奥に棲んでいるが、夜中になると街角に現れる。出会った人は必ず病気になり、逃げても角を曲がるたびに百々爺に遭う。
柳婆
古い柳の木に宿る妖怪。木の下を通る人の頬を杖でなでたり、雨宿りする人の持ち物を取ったりする。
家鳴り(やなり)
家に棲みつく小さな鬼で、風も無いのに戸を叩く音をさせたり、家を揺らしたりして、住人を不思議がらせる。
幽谷響(やまびこ)
山や谷にこだまする山彦はこの妖怪の仕業で、人が「わっ」と言えば、この妖怪は「わっ、わっ、」と言いながら山や谷を飛び歩く。
山童(やまわろ)
山の神に仕える妖怪で、山で働く人を手伝う。ただし、お礼に食べ物をあげなかったり、殺そうとしたりすると、災いを起こす。
山姥(やまんば)
山奥に棲む老婆で、人を食べる恐ろしいものから、山里の善人に福をもたらすものまでいる。金太郎を育てたのも山姥。
呼子(よぶこ)
幽谷響の仲間。やることは幽谷響と同じだが、こちらは一本足で蓑傘を被っている。ひょうきんな妖怪。
飛頭蛮(ろくろくび)
昼間は普通の女で、夜になると首を伸ばして男の生気を吸ってしまう。昼間、首が縮んでいる時、首筋に紫色の筋がある。また、ここでは飛頭蛮と書いてろくろ首と呼んでいるが、本来は飛頭蛮とろくろ首は別であり、飛頭蛮は首を伸ばさず、首を飛ばして人を襲う。
わいら
山の精といわれている。正体は良く分かっていないが、山で出会ったら、じっとしていて、通り過ぎるのを待つ。
輪入道(わにゅうどう)
車輪の中央に入道坊主の首が張り付き、炎を纏いながら、夜中の大通りをすごい勢いで駆け抜ける。その姿を見た人は気を失うという。
笑地蔵(わらいじぞう)
悪戯好きのお地蔵様が、夜中になると動き出し、夜道を通る人の前に現れ、ニカッと笑って驚かす。
笑般若(わらいはんにゃ)
幼児を攫って食べる鬼女。山奥に棲んでいて、夜中になると、ムシャムシャと食べる音と、不気味な笑い声が山中に響く。
龍
蛇に似た姿で全身が鱗で覆われており、角や牙を持つとされる伝説の生物。火を吹く、天を駆ける、洪水を起こすなど、様々な逸話がある。
刑部姫
播州姫路城本丸の天守閣に現れるといわれる老狐の妖怪で、伝説では十二単に緋の袴をつけた絶世の美女とも、白髪をなびかせて恐ろしい顔をした老女とも呼ばれる。刑部という女房の霊と刑部大明神なる姫路城守護神の狐の霊が一体化して、刑部姫という妖怪になったとされる。一説には宮本武蔵に退治されたとされている。
なお、姫路城にはこの刑部姫のほかにお菊という幽霊が棲んでいるという。かの有名な「お菊さん」のことである。
また、泉鏡花の作品に、姫路城の女城主の霊とある侍との恋模様を描いた「天守物語」なる話もある。
どうも姫路城は妖怪と縁が深いらしい。
パウチ
アイヌの伝承では山中に現れて人に憑く妖怪とされる。コロポックルのように小人の姿をしていて、人が浮気をするのはこのパウチのせいだといわれる。天国のシュシュランペツという川岸に住んでおり、そこでは男も女も裸で踊り暮らしている。時々下界に降りてきては若い男女を誘惑し、踊りの輪に加えてしまったり崖から突き落としたりするという。
生剥
秋田県男鹿半島に伝わる全国的に有名な妖怪。男鹿の真山神社からやってくる鬼だとされている。名前の由来は怠け癖を取り除くという意味。生剥の起源については中国から渡ってきたとされている。生剥の姿は農作物の成長に害を与える自然の脅威であり、豊作を約束する神の姿でもある。
人狐
島根県出雲・隠岐地方の<狐持ち>の家で飼われているとされているのが人狐である。この人狐を代々飼っているいる狐持ちの家は、ほとんどが財産家である。その原因は人狐がよそからお金や物をくわえて持ちかえっているからだといわれている。
不知火
九州の八代海と有明海では旧暦7月晦日の真夜中になると海上に不思議な明かりが現れたといわれている。その怪火がいわゆる不知火で、誰にでも観察できたことから、古くから多くの人々の興味をかき立てていた。
おとら狐
三河(愛知県)長篠城に棲み、その周辺の地域に出没しては人に憑くという狐である。とり憑かれた人は、気が変になって恐ろしい顔つきになり、狐のような身振りであらぬことを口走ったりするようになるのだという。
七人ミサキ
ミサキのなかには、どういうわけかしばしば7人が集団になって登場するものがいて、七人ミサキとよばれている。この7人は、もともと7人が集団で殺され、それを恨んで7人が一緒にミサキとなり、いつも行動を共にしているものである。広島県三原市に残る言い伝えでは、かつてそのあたりに経塚とか狂塚と呼ばれる塚があったが、それは7人ミサキという怨霊を慰めるために築いたものだといわれている。