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原発Web学習 - 知る


2.被害 - 1.被害状況

事故によってどんな被害がもたらされたのか知ろう。

被曝

事故直後に火災が起こり消火活動のために消防士が現場に駆けつけた。しかし消防士たちはその場所が大量の放射能に汚染されていることを知らなかったために原発職員と同じように放射線被曝による急性障害の症状が現れ(職員と合わせて200名くらい)、そのうち消防士・原発職員合わせて30名前後が死亡した。それから2004年までの間に19名が亡くなったとされている。

それだけではない。近隣住民も、後処理の作業にあたっていたリクビダートル(始末をする人)も放射能の存在も恐ろしさも知らなかった。

事故を起こした4号炉の石棺建設や、処理作業などに作業員が60〜80万人関わったとされている。皆少なからず放射能を浴びているだろう。

放射能が人々にもたらしたもの

人々の中で事故後に増加した病気は甲状腺ガンだった。特に子ども・若者層に多い。子供の甲状腺は大人よりも小さく、影響が出やすいのだ。1995年のWHO(世界保健機関)の発表によると、子どもと若者に現れている700件くらいの甲状腺ガンがチェルノブイリ事故と関連しているとした。実際、9人の死亡が確認されている。(もっと多いのではないかという話もある)

最近は若者の甲状腺ガンが全体の中でトップに近づきつつあるといわれている。他にも白血病やガンによる死亡、子どもの発育異常なども増加傾向にあるが、事故によるものかどうかははっきりせず、曖昧である。

当然、人体への影響はあったわけだが人の心に対しても影響を与えることになった。3カ国合わせて何百万人も被災したという話がある。放射能汚染のために移住を余儀なくされた人々は仕事を失ったり、新しい職のこと、これからの生活がどうなっていくのかという心配事を抱え、さらに健康面での不安もあり、強いストレスにつながっているという。中には酒に溺れ、アルコール中毒になったり、自殺してしまう人もいるらしい。ストレスが原因で健康障害が出たりしている人もいるのだが、事故との明確なつながりがないので健康障害を訴えても「問題ない」と判断され、何らかの対策が必要なのだ。

人間以外への影響

チェルノブイリ600km圏汚染地図 (← クリックで拡大。)

国の被害も大きい。放射能の汚染で広範囲の土地に住めなくなった。しかも1991年にソ連が崩壊したため、その後の被害の救済はそれぞれの国で行わざるを得なくなった。景気も悪く、負担が大きすぎるため、どの国も同じように困窮している。

被害国の一つであるベラルーシの政府は一部の土地を汚染指定地域から外し、被災手当などの援助をやめてしまった。他の国でもそういう動きがあるという。

色々な場所へ広がった放射能は土壌をも汚染していった。キノコから放射性物質が検出されたり、家畜のミルクや肉からも放射性物質が発見されている。人の口に入る食べ物にも放射能が含まれてしまっている。しかしそれらを食べている人がいる。つまり体の中に入っていくものも汚染され、影響を与えているのだ。松の森も事故の影響を受けて死んでしまい、多くが埋め立てられた。だが、沢山の野生の動植物が汚染された森などで普通に暮らしているらしいという噂もある。人が死に、多くの村が消え、終わりが見えない生活にいつまで耐えられるのだろうか。