海の向こうでは? : 海外での基準

海外での残留基準

2018年の日本の食料自給率(カロリーベース)はなんと37%。

そう、スーパには多くの外国産の食べ物が並んでいるのです。 皆さんも普段から口にしているでしょう。

では、輸入される食べ物にはどのような農薬が使われているのでしょうか。 以下の点に着目して見ましょう。

・海外での残留農薬の基準
・日本の輸入農産物に対する規制
・ポストハーベスト農薬の扱い

まず、このページでは海外での残留農薬の基準から見ていきましょう。

残留農薬基準は、一日許容摂取量を基になります。

この1日許容摂取量設定の考え方は国際的の共通していて、国による大きな違いはありません。

しかし、以下のような理由によって設定値に差が生まれることがあります。

①各国の農業事情(作物、栽培方法、気候、害虫など)の違い

②食生活等の違いにより摂取する食品の種類や量が異なる

③作物の安全性を調べる試験で検査する部位が異なる

1日許容摂取量に基づいて残留農薬基準が決まりますが、国によって基準が異なると、輸出する際に相手国の残留基準を上回ってしまうことがあります。

そこで結ばれたのが、WTO(世界貿易機関)協定の一つ、SPS協定であり、 各国の残留農薬基準を国際基準に合わせる事を目標にしています。

しかし、この統一の動きにも以下のような問題点があります。


・多くの国の農薬の使用法に配慮している
 →基準を厳しくしにくい

・摂取量が国によって異なる
 →一律の国際基準では難しい

そのため、作物によっては国際基準を採用しない場合があります。 以下がその例です。

ポジティブリスト制度

(表)残留農薬の基準値の比較

厚生労働省「食品中の残留農薬」より引用


各国の基準について、日本の方が厳しい場合もあれば、上の表のようにアメリカの方が厳しい場合もあります。どの国が基準が厳しいとは言えないのです。


国際的な取り組み

さらに、残留農薬の種類についても国際的に議論がされています。 残留性の高い物質は、一つの国で規制したとしても環境汚染の防止には繋がりません。 そこで、以下のような取り組みが行われていました。

出来事内容
1992.6地球環境サミット「環境と開発に関するリオ宣言」が採択され、その宣言に沿って各国が取るべき行動を定めた「アジェンダ21」が採択されました。
「アジェンダ21」には、「持続可能な農業・農業開発の促進」という項目があります。
この時、農薬による環境汚染を防止する必要があることが示されました。
1995.5UNEP(国連環境会議)「陸上活動からの海洋環境の保護に関する世界行動計画」が採択されました。
これとともに、環境中に残留性の高い12種類の物質(POPs)が示されました。
1997.2第19回UNEP管理理事会POPsについて地球規模での対策を取るために、条約や協定などを定めることが求められました。
1998.6第1回政府間会議POPsに関する具体的な検討が始りました。
2000.12第5回政府間会議POPsに関する条約が最終化しました。
2001.5外交官会議「Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants 」(難分解性有機汚染物質に係るストックホルム条約)が採択されました。
これによりPOPs対象の物質は、製造、使用、輸出入することが禁止されました。

















POPs…農薬では、DDT、アルドリン、ディルドリン、エンドリン、クロルデン、ヘプタクロル、ヘキサクロロベンゼン、マイレックス、トキサフェンの10種類が指定されました。

環境省「国連環境計画(UNEP)」より作成

 このように、国際的な動きとして環境にも配慮した基準の統一が進められています。

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