巣の構成員

働きバチ


 働きバチは巣の中で、子供を産むことに関すること以外のすべての仕事をします。全員メスバチです。
 幼虫は、はちみつやローヤルゼリー蜜パンを食べ続けどんどん成長していきます。6日ほどでさなぎになり、さなぎとして12日間過ごします。卵を産みつけられてから21日目にさなぎから羽化し、成虫になります。
 成虫になってから約3週間は巣の中で仕事をします。その後の3週間は巣の外で餌を集めます。働きバチたちは、忙しくも充実した一生を送っているようです。(フォーガスチャドウィック, スティーブオールトン, エマ・サラテナント, ビルフィツモーリス, ジュディー アール 
『ミツバチの教科書(原題 The Bee Book)』 エクスナレッジ 、2017年)

働きバチの仕事

 働きバチは内勤バチと外勤バチという二種類に分けられます。
  働きバチは平均して約3週間ずつ、幼虫とさなぎ→内勤バチ→外勤バチとして過ごします。年功序列型です。 この期間は、巣の忙しさによって変わります。花がたくさん咲きだした時期は、外勤バチがたくさん必要なので内勤バチの期間は短く、また忙しく働くことになるので寿命も短くなります。
 羽化したばかりの働きバチは内勤バチとなり、巣の中で働きます。最初は幼虫の世話と巣の掃除をします。空き時間で仕事探しもします。
 外から帰ってきた外勤バチから花蜜を受け取ってはちみつの精製、巣の増築と修復をして3週間ほどを過ごします。その後、花蜜集めに駆り出され、外勤バチとなります。
 外勤バチが花の蜜を集めることを採蜜といいます。巣の外にはミツバチを食べる生き物がたくさんいます。採蜜は危険な仕事なのです。
 蜜だけでなく、花粉を主に集める外勤バチもいます。花粉はミツバチにとって重要なタンパク質源です。ミツバチは花粉を集めやすいように全身に毛が生えてふさふさしています。このふさふさのおかげで、花の上を歩き回るだけで花粉が回収できます。また、羽を震わせて飛んでいるときに静電気がたまり、花粉が体にくっつきやすくなるのです。
 体にくっついた花粉は集められ、花粉ダンゴとなり、足にある花粉かごに送られます。花粉かごは、花粉ダンゴを付けられる場所で太い毛が生えています。

八の字ダンス

 外勤バチの仕事では、発見した蜜や花粉が取れる蜜源の場所を仲間に伝えることが重要です。花は短期間に一斉に咲くので、大勢で急いで蜜を集める必要があるからです。 巣に戻ってきた外勤バチが、花の蜜が取れる蜜源の場所を他の働きバチに伝えるため巣板の上で踊るダンスが八の字ダンスです。
 体を震わせながら八の字を描くこのダンスは、まっすぐ進む時の地面からの角度で方角を、回る時の速さで距離を表しています。その蜜源の価値が高いほどダンスの時間は長くなります。ダンスを踊っていると周りのミツバチもダンスについていきます。
 他の外勤バチは、ダンスでわかった蜜源までの距離に応じて、飛行に必要な量のはちみつを飲んで行きます。帰りの分は花で補給するので、行きの分だけです。ミツバチは、言葉を使わずに距離と方角を仲間に伝えることができる、優れた能力を持っているのです。



『生物事典』 旺文社、2011年 
Rowan Jacobsen 『蜂はなぜ大量死したのか(原題 Fruitless Fall)』 文芸春秋、2009年
久志冨士男 『ニホンミツバチが日本の農業を救う』 高文研、2009年
越中矢住子『ミツバチは本当に消えたか』 SoftBank Creative、2010年
フォーガスチャドウィック, スティーブオールトン, エマ・サラテナント, ビルフィツモーリス, ジュディー アール  『ミツバチの教科書(原題 The Bee Book)』 エクスナレッジ 、2017年
一般社団法人 日本養蜂協会 ホームページhttp://www.beekeeping.or.jp/