調査内容
ここでは、課題解決のために調査した内容についてや、実際に行ったインタビューで得た情報をお話しします。
コロナによる観光業の現状と課題
国内外の旅客減少について
訪日外国人旅行者
政府は、2004年の「ビジット・ジャパン・キャンペーン」やビザ緩和などによって訪日外国人旅行者を順調に増やしていきました。特に2010年代の伸びは著しく、訪日外国人旅行者数が4000万人に達するのにはそう長くはかからないだろうと私たちは予想していました。
2019年の訪日外国人旅行者数は約3188万人(一か月平均は約266万人)と、過去最高となりました。
日本政府観光局「年別 訪日外客数、出国日本人の推移(1964年-2019年)」「国籍/月別 訪日外客数(2003年~2020年)」より作成
2019年に約3188万人となった訪日外国人旅行者ですが、新型コロナウイルスの影響を受け、2020年1月~10月までの記録では約400万人までに落ち込んでしまいました。この記録は1998年の約410万人とほぼ同じです。
11月現在で、今年最も数字が落ち込んだ月は5月で、同月の訪日外国人旅行者数は1663人
同月前年比は99.9%減
8月には8700人と回復傾向ですが、同月前年比は99.7%減と依然として低い水準が続いています。
[国際定期航空]
e-Stat「航空輸送統計調査」より引用
航空業界への影響は大きく、特に国際定期航空は、国内線に比べ、早くに新型コロナウイルスによる影響が出始め、2月時点で対前年同月比26.8%減となる133万人、5月には国内線と同じく統計時(2020年6月時点)で最低値の3万3千人(対前年同月比98.3%減)となりました。
訪日外国人消費については、
コロナ前(2019年)には、4兆8135億円(一般客一人当たり旅行支出約15.9万円)でした。
コロナ後は、観光庁による一時的な調査中止(新型コロナウイルスのため)のため、数値化できませんが、日本政府観光局によると訪日外国人旅行者数が2020年4月~7月いずれも前年同月比-99.9%であることから、訪日外国人消費も同様に大幅に減少していることが予想できます。
日本人観光客
2019年の日本人国内旅行者数は約5億8710万人となりました。
観光庁「旅行・観光消費動向調査」より作成
2010年以降で横ばいの状態であった日本人の国内旅行者数ですが、新型コロナウイルスの影響で2億1539万人まで落ち込みました。
Go To キャンペーンが開始された7月から9月までの間に国内旅行者数の回復は見られたものの、前年同月期49.4%減となりいずれも低い水準が続いています。
[国内定期航空]
e-Stat「航空輸送統計調査」より引用
航空業界において国内定期航空を見ると、東京都で外出自粛要請が発令された3月の国内定期航空旅客輸送量は約434万人で
対前年同月比では53.6%減となり、新型コロナウイルスによる影響が出始めたことがうかがえます。
緊急事態宣言(5月25日解除)下の5月には60万人まで落ち込み、
対前年同月比では93.4%減となっています。
日本人国内旅行消費についても、
コロナ前(2019年)は21兆9000億円(一般客一人当たり旅行支出約3.74万円)でしたが、
コロナ後(2020年7月~9月)は、2兆9241億円と大幅に減少しました。
経済
IATA(国際航空運送協会)は世界の航空業界の2020年下半期の損失が約8兆16000億円にのぼるという予想を発表。
また、約190兆8000億円の経済的な悪影響が予想されています。(どちらも2020/10/6時点)
雇用状況の悪化について
新型コロナウイルス関連での業績不振による労働者総数の解雇や雇い止め(見込み)は、11/13日時点で71121人です。
そのうち、34516人が非正規雇用労働者(※非正規雇用労働者の解雇・雇い止め数は5/25より把握開始のため、労働者総数の内訳ではない)です。
宿泊業での解雇は、8840人(11/13時点)、
同理由でのホテルや旅館の倒産は、66件(11/10時点)となっています。
現在の課題(アフターコロナに向けて)
言語
観光庁の調査によると、訪日外国人旅行者が旅行中困ったこととして、
- 「施設内のスタッフとのコミュニケーションがとれない」
- 「多言語表示の少なさ、わかりにくさ(観光案内板・地図等)
- 「無料公衆無線LAN環境」
の3つが主として挙げられています。
観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート」より引用
訪日外国人旅行者が、コミュニケーションをとれないことや表示を理解できないことによって貴重な時間をとられたり、トラブルに巻き込まれないようにするには、言語が異なっていても問題なく観光できるようにしていかなければなりません。