調査内容

収束後の見通しについて

「新型コロナウイルス感染症収束後の旅行・観光に関する意識調査」調査報告書からわかること

熊本県観光協会連絡会議が2020年4月27日から29日にかけて日本全国の一般消費者3247人に向けて行った「新型コロナウイルス感染症収束後の旅行・観光に関する意識調査」には、

「外出自粛生活が続くことで、旅行やお出かけに対する消費者の意欲は高まっている

「今時点(アンケート時点)で旅行に意欲を示す人が7割以上いる」

「今時点の旅行情報の視聴に半数以上が肯定的である」

「旅行先選びも『3密(密集、密閉、密接)を避ける』ことを意識したものになり、テーマパークや都市部など密集が想定される場所は避けられ、自然や開放感のある場所が好まれる方向へ」

また、外出自粛要請後、特に変わったこととして
「インターネットで動画サイトを見るようになった(視聴時間が増えた)」
「テレビを見るようになった(視聴時間が増えた)」

以上のことが示されています。

これらの調査結果から新型コロナウイルス収束後の観光業は、旅行への意欲を持った多くの消費者によって回復することが予想されますが、密集が懸念される都市などに比べ、自然豊かなイメージがある地方の観光地への需要が高まると考えられます。また、インターネット上の旅行情報の重要性が増すと考えられ、SNSなどを使った効果的な宣伝が集客に大きな役割を果たしていくことが予想されます。


Go To トラベル事業から見える観光業の強み

2020年7月22日から政府は、「社会経済活動」と「感染拡大防止」の両立を図っていくために「安全で安心な新しい旅のスタイル」を普及・定着させることを目的としたGo To トラベル事業を開始しました。(全国において、12月28日(月)から1月11日(月)までの間、一時停止。)

観光庁が発表した、2020年7月22日から10月31日までの約3か月間の利用人泊数は少なくとも約3976万人泊で、これは新型コロナウイルスの流行前の平均的な日本人国内宿泊旅行者数の規模の約50%に達しており、消費者が潜在的な旅行への意欲を持っていたことを裏付けています。

延べ宿泊数の推移
観光庁「宿泊旅行統計調査 第二次速報 令和2年10月分」より引用

また、観光経済新聞が阪急交通社やJTB、HISを含む6社の主要な大手旅行会社に対して行ったアンケート調査によれば、6社すべてが当事業の効果を実感しているそうです。

Go To トラベルキャンペーン実施の効果
観光経済新聞より引用

これらのことから、コロナ渦において消費者の旅行への関心が実際に高まっていたことや、観光業が回復力のある産業の一つであることがわかります。


終束後に行きたい国・地域アンケート

DBJ(日本政策投資銀行)とJTBF(公益財団法人日本交通公社)が、新型コロナウイルスの流行以前に外国旅行経験があるアジア、欧米豪12地域の6266人に対して2020年6月2日~6月12日に行ったアンケート「DBJ・JTBF アジア・欧米豪訪日外国人旅行者の意向調査(2020年度新型コロナウイルス影響度特別調査)」には、

「新型コロナ終息後においても、海外観光旅行先としての日本人気は引き続き高く、アジア居住者ではトップ(56%)、欧米豪居住者でも2位(24%)の人気となっている」
と記載されています。

このことから、新型コロナウイルス終息後の潜在的なインバウンド需要は高いと考えられます。

DBJ・JTBF「DBJ・JTBF アジア・欧米豪訪日外国人旅行者の意向調査(2020年度新型コロナウイルス影響度特別調査)」より作成
アンケートグラフ

また、日本を訪問したい理由としては

      「行きたい観光地や観光施設があるから(47%)」
      「食事がおいしいから(43%)」
      「気に入っているから(37%)」
      「清潔だから(36%)」

などが挙げられており、今後インバウンド事業を回復させていく際には、

・観光地や観光施設だけでなく、食事や買い物といった魅力も高めていくこと
感染対策を徹底して継続し、日本の清潔なイメージを引き続き発信していくこと

などが重要であることが分かります。