水中の被害者…!?

豪雨の被害を受けているのは陸上に住んでいる動物だけじゃないの?

水中で暮らしている動物は雨が降っても影響はないんじゃないの?

このような疑問を持っている人はたくさんいると思います。

しかし!豪雨による被害を受けているのは陸上で生きている動物だけではありません!

1.水中で暮らしている生き物への影響

では、水中で暮らしているどのような生き物にどのような影響が出てしまっているのでしょうか?具体的な例を見ていきましょう。

被害の原因となってしまったのは、2018年7月に発生した西日本豪雨でした。 この豪雨は、西日本を中心 に多くの地域で河川の氾濫などが発生し、死者が200人を超える大きな災害でした。この豪雨により、人だけでなく動物も大きな被害を受けました。

そのなかでも私が注目したのは ”オオサンショウウオ”です。

まず、”オオサンショウウオ”とはいったいどのような動物なのでしょうか?

オオサンショウウオとは国の天然記念物に指定されていて、両生類でカエルやイモリと同じ仲間です。しかし、オオ サンショウウオは両生類でありながら、大人になった後も水中で生活する 珍しい生き物です。

では、オオサンショウウオにどのような被害があったのか見ていきましょう。

まず、2011年の段階で広島県東広島市内を流れる椋梨川流域におけるオオサンショウウオの生息数の減少が懸念されていたので、オオサンショウウオの体の中にマイクロチップを埋め込んで、成体を識別するという活動が行われていました。

しかし、オオ サンショウウオの減少を後押しするように西日本豪雨が発生してしまいました。 西日本豪雨により、河床ごと流出し、55匹確認されていたオオサンショウウオの大半が一時行方不明になってしまいました。 専門家の方は、もしオオサンショウウオが流されてしまうと高いせきなどに阻まれてしまい自分の力で上流に戻ることができなくなってしまうので、孤立し衰弱してしまう恐れがあり、下流では痩せた個体が多く見つかるだろうと話していました。

2.被害のその後

その後、広島大や地元住民、市が協力して調査を進め、2019年秋から豪雨によって弱ってしまった個体や幼生を一時的に保護するために廃校のプールを活用して保護活動を行っていました。

保護した個体はプールで育てた後に、生息に適している上流域に戻す取り組みも行われました。さらに、オオサンショウウオの生態を解説するパネルも設置し、地元の小学生の環境教育にも貢献するような全国的に見ても珍しい取り組みが広島県東広島市椋梨川流域で行われていました。

陸上の生物だけではなく、水中で暮らしているような生物も豪雨によって被害を受けているということを知って、とても驚きました。また、広島県 東広島市 椋梨川流域で行われていたオオサンショウウオの取り組みはオオサンショウウオを廃校のプールで保護するという前例のあまりないことにチャレンジするだけでなく、子供たちに興味を持ってもらえるような工夫もされていてとても画期的だなと思いました。