SNSの発展

目次

・SNS時代

・SNSトラブル

・SNSの特徴ごとに考えられるSNSトラブル

・SNSトラブルの事例

・SNSトラブルの実例・対策

SNS時代

Z世代は定義的に言うと1997年から2012年ぐらいに生まれた人達で、現在は20代中盤から10代の層を指します。スマホとともに育ってきた世代で、友人や知人とSNSを通じて繋がり合いながらコミュニケーションをとるのが自然で当たり前です。

繋がり合うこと・繋がり続けることに対してポジティブだし、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok、YouTubeなどソーシャルメディアなどあらゆるものを使いこなしています。Z世代より上の世代にあたるミレニアル世代は、ざっくり大学生頃にSNSを使い始めたというところなので、SNSを利用する際の温度感にやや違いがあります。

SNSトラブル

近年、子供達のインターネット利用が急速に普及し、それに伴い、インターネット上の学校非公式サイトや掲示板等を利用して、特定の児童生徒に対する誹謗・中傷が行われるなどの「ネット上のいじめ」という新しい形のいじめ問題が生じています。また、「ネット上のいじめ」やインターネット上の掲示板等への書き込みなどが原因で、実際に暴力事件等に発展している事例もあります。「ネット上のいじめ」は、他のいじめと同様に、決して許されるものではなく、学校・教育委員会と家庭・地域が連携して解決に向けた取組を行っていく必要があります。しかしながら、「ネット上のいじめ」の実態について、保護者や学校が十分に把握できていないことや、学校において有効な対応方策を共有できていないという状況も指摘されてきました。

SNSの特徴ごとに考えられるSNSトラブル

・メッセージアプリ型SNS(音声通話やグループ通話、ビデオ通話、チャット機能が可能)
→LINE・WhatsApなど
 自分の知らないところでグループLINEがあって、知らぬ間に仲間はずれにされていた。
 自分はここだけの話と思っていたが、相手が自分との会話をスクリーンショット(スクショ)して他の人に送っていた。

・写真(画像)・動画投稿共有型SNS(写真共有、動画投稿・共有が中心)
→Instagram・Youtube・TikTokなど
 画像や動画に映り込む部屋の間取りや郵便物、人、景色などで個人情報を特定されて、ストーカー被害にあった。
 画像や動画に「ブス」「気持ち悪い」などの侮辱的なコメント、正当な批判ではない嫌がらせコメントをされた。

・コミュニティー型SNS(個人間のコミュニケーションを主たる目的とする)
→facebook・mixiなど
 他人の本名でアカウントを作成し、あたかも本人かのようにタイムラインに書き込んだり友人にコメントをしたりする「なりすまし」。
 もともと本人が使用している既存のアカウントが不正な方法で乗っ取って、本人名義で卑猥なメールを送る「乗っ取り」。

・フロー型SNS(タイムラインにリアルタイム投稿が流れる)
→X(旧Twitter)など
 軽い気持ちで投稿したものが即座に拡散されて炎上した。
 炎上したあとに、他のXユーザーが炎上した人の個人情報を特定し、流出した。

SNSトラブルの事例

コミュニケーション

1.グループトークでの友人とのトラブル

グループトークで文章を打ち間違え、意図せずAちゃんを傷つけるような発言をした。

→誹謗中傷に該当するかの判断は、発言の意図とその結果に基づいて行われます。意図的な攻撃や悪意がない場合、誹謗中傷にはあたらないことが一般的です。したがってこれは誹謗中傷に該当しない可能性が高いです。しかしAちゃんが傷ついたのであれば、誤解を解き謝罪する必要があります。

2.SNSでの意見表現Part1

「やっと最近話題の『劇場版ジャイアントガーテ』を見てきたんだけど全然面白くなかった。期待して損した。」といった投稿をした。

→この投稿は映画に対する感想を述べているものであり、製作者や出演者に対する人格的な攻撃や侮辱は含まれていません。単に「面白くなかった」「期待して損した」という個人的な意見です。したがってこれは誹謗中傷には該当しません。

3.SNSでの意見表現Part2

はなまる駅近くにあるセブンイレブンの金髪の女性店員めちゃくちゃ接客態度悪くて気持ち悪かった。みんな見かけたら気をつけてね。」といった投稿をした。

→「川上駅近くのセブンイレブンの金髪の店員」と具体的に人物を特定しているのに加えSNS上で、特定の人物に対して「接客態度が悪い」といった否定的な投稿をすると、その人物の名誉や評判を傷つける可能性があります。そのためこれは誹謗中傷に該当するだけでなく名誉毀損罪に問われる可能性もあります。

セルフコントロール

1.他者の権利を侵害する投稿・二次利用・ダウンロード

漫画を撮影し動画サイトにアップロードしたところ、逮捕されてしまった。

→漫画を撮影して動画サイトにアップロードすることは、著作権を侵害する行為です。無断で公開することは著作権法違反となり、その結果として逮捕される可能性があります。著作物を利用する場合は、必ず著作権者からの許可を得ることが重要です。

2.フリマなどネットを介した個人間取引によるトラブル

商品タグが付いている写真と"新品・未使用"という記載を見て申し込んだのに、中身を見たところ擦れた跡や黄ばみがあり、タグも見当たらず、返品の相談をしたが応じてもらえない

→販売者が「新品・未使用」と虚偽の説明を行って商品を販売し、消費者を騙した場合、詐欺罪や不当表示の違反で法的責任を問われる可能性があります。また、民事上でも消費者契約法に基づく損害賠償請求や返品を求められることになります。消費者に対して不正な販売を行った場合、販売者には相応の法的責任が伴うことがあります。

4.個人や学校などへの強迫行為や犯行予告

Twitterで実行する気はなかったが、「三角小学校に爆弾を仕掛けた」などといった投稿をした。

→実行する意思がなかったとしても、「三角小学校に爆弾を仕掛けた」といった虚偽の投稿は、社会的に非常に重大な結果を招く可能性があります。これにより、警察や学校が対応を余儀なくされることになり、威力業務妨害罪虚偽通報などの罪に問われることになります。

5.不正アクセスを狙って偽ログイン画面を開設

頼まれて、偽ログイン画面を作ったところ、警察に逮捕された

→偽ログイン画面を作ること自体が、不正アクセス禁止法に触れる可能性が高いため、依頼を受けて行った行為でも違法とされ、逮捕されることがあります。

個人情報&プライバシー

1.悪意で設置されたWi-Fiスポットを使用し情報が流出

今の時代W-iFiが人々にとって重要なことを知ったので、パスワードの必要ないWi-Fiを作り、その人のスマホの情報を悪用した。

→パスワードの必要ないWi-Fiを提供し、そのWi-Fiを利用して他人のスマートフォンの情報を悪用した場合、不正アクセス禁止法違反、個人情報保護法違反、詐欺罪、不正指令電磁的記録供用罪、名誉毀損やプライバシー侵害など、複数の犯罪に問われる可能性があります。

3.入力した個人情報が目的外で利用?!

「ここに入力した情報は他には使いません」と書いたフォームをメールで配信したが、自分の顧客を増やしたいのでそのフォームを回答した人に自社の製品の広告メールを送った。

→「他には使いません」と記載したフォームで収集した情報を、目的外に使用して広告メールを送信した場合、個人情報保護法違反や契約違反、不正競争防止法違反、さらには景品表示法違反といった法的な問題に発展する可能性があります。法律違反が認められると、罰金や賠償責任、信頼の失墜などの重大な結果を招くことがあります。

4.投稿から個人が特定されたことによる被害

ネッ友であるAちゃんと喧嘩した際にカッとなってしまい、Aちゃんがインスタに投稿した写真の背景などから、場所がわかり生活範囲を特定し、その情報をSNSに流出した。

→Aちゃんの場所を特定してその情報をSNSに流出させた場合、あなたはプライバシーの侵害ストーカー行為個人情報保護法違反名誉毀損嫌がらせなど、複数の法的な問題に問われる可能性があります。もしAちゃんがその情報の流出によって被害を受けている場合、民事訴訟や刑事告訴をされる場合もあります

情報発信

1.悪ふざけなどの不適切な投稿

制服で線路に立ち入り、大はしゃぎで写真を撮影しSNSにアップしたところ、学校を特定され、また家裁に送致されたのち学校にも講義の電話やメッセージが届いた。

鉄道法違反未成年者による違法行為として問題視され、家庭裁判所(家裁)に送致されたと考えられます。

2.コミュニティサイトなどでの未成年によるアプローチ

僕は56歳のおじさん。だけど27歳高収入ハイスペックという名目でマッチングアプリを使い、初めて会った女の子に犯罪まがいな行動をしてしまった。

→マッチングアプリで自分の年齢や収入を偽って相手を引き寄せ、その情報が虚偽であった場合、詐欺罪に該当する可能性があります。

3.アルバイト応募が招いた犯罪への加担

「ホワイト企業なのに高額バイト!!」という投稿をXで行い、その投稿を見た人たちを強制的に強盗行為に加担させた。

→この場合、強盗罪、脅迫罪、共同正犯、および幇助罪に該当する可能性があります。強盗行為に加担させたこと自体が犯罪であり、さらにその行為が強制的であれば、より重い罪に問われることがあります。

4.SNS等での誹謗中傷による慰謝料請求

見ていて不快に感じるYouTuberの動画がおすすめに表示されてきて、ムカついた気持ちから『お前気持ち悪いんだよ、YouTubeやめてしまえ』とコメントしてしまった。

→まず、相手を侮辱する内容であれば、侮辱罪に該当します。侮辱罪は、事実でなくても相手を公然と侮辱する行為を禁じています。また、相手の名誉を傷つける内容であれば、名誉毀損罪に問われることもあります。さらに、コメントが恐怖を与える内容であれば、脅迫罪に該当する場合もあります。ネット上での誹謗中傷は、特に精神的なダメージを与えることから、法的に処罰されることがあります。

このようにSNSトラブルは沢山あります。いつ誰がSNSトラブルにあってもおかしくありません。

SNSトラブルの実例・対策

・女子プロレスラーの木村花さんが誹謗中傷によって自殺

女子プロレスラーの木村花さんは2020年に自殺という選択肢を選んだ。この出来事に大きく関わっているとされているのが、SNSによる誹謗中傷だ。
木村さんは、出演したテレビ番組内での言動をめぐり、毎日100件以上とされる誹謗中傷を受けてきたとされる。SNS上での軽い気持ちで投稿した悪口は、相手にとって人の心を壊すナイフということである。
「この言動ちょっとムカついたな」
「SNSで投稿したら共感もらえるかな」
  ↓
こんな軽い気持ちで投稿するのは絶対やってはいけない

「この人も悪口書いてる」
「なら私も書いても大丈夫だろう」
  ↓
人に便乗して投稿(Xの場合リツイートも含む)することも絶対やってはいけない

このようなことの繰り返しでどんどん誹謗中傷が大きくなっていく。
誹謗中傷が大きくなっていくと精神的にもダメージがどんどん増えてきて、生きることをやめるという選択肢が頭の中に入ってくることになる

木村さんの家族は、2020年5月23日に亡くなった後、「あんたの死でみんな幸せになったよ、ありがとう」「お前の自殺のせいで(番組は)中止。最後まで迷惑かけて何様?地獄に落ちなよ」などとXに投稿した長野県の男性に遺族を傷つけたとして裁判を行った。東京地裁は19日の判決で、約129万円の支払いを命じた。提訴のハードルとなった発信者特定の手続きは、花さんの死をきっかけに今後迅速化される。被害の防止に向けてはネット教育の充実などが課題となる。


また、たくさんのSNSトラブルから対策を取る国も出てきました。

・オーストラリアの議会で16歳未満のSNSの利用禁止の法案が可決

この法律は、SNSの運営会社に16歳未満の子どもが利用できないような措置を講じることを義務づけるもので、違反した場合は最大で4950万オーストラリアドル、日本円でおよそ49億円の罰金が科される。保護者や子ども自身への罰則はない。

オーストラリアでは近年、子どもたちがSNSにのめり込み、日常生活や心の健康に悪影響が出ることへの懸念が高まっているほか、悪質ないじめにあったり、性被害にあったりする事態が相次ぎ、保護者を中心に規制を求める声が高まっていた。

オーストラリアの国民の約77%がこの法案に賛成。しかし、どのように年齢を確認するかや、個人情報の取り扱いについて、課題もまだ残っている状況。

この法案に対して、日本の専門家は、
「SNSの利用を禁止すれば子どもたちの利用が大幅に減り、事件や事故の被害に遭うリスクが減るメリットはある。」
「子どもたちが必要な情報を受け取れなくなったり、自らの意見を表明できなくなったりして、居場所を奪われることが懸念点。」
  ↓
「本来はSNSすべての利用を禁止するべきではなくて、安全な情報にはアクセスできて、安全でない情報だけブロックするのが望ましい。」
と、述べている。


その他の国もいろいろな対策が施行・議論されています。

・フランス
 フランスでは2023年、SNSの運営会社に対して、保護者の同意がない限り、15歳未満の子どものアクセスを制限するよう、義務づける法律が制定された。

・アメリカ 一部の州
 アメリカの一部の州でも、未成年のSNS利用を規制する法律を制定していて、ユタ州などでは、未成年がSNSを利用する際には保護者の同意が必要だとしている。

・ノルウェー
 ノルウェーでは現在、15歳未満の子どもがSNSを利用することを禁止しようという議論が進んでいる。

・EU(ヨーロッパ連合)
 EUは、2022年、SNSの運営会社などに対して、未成年を対象にした、閲覧履歴をもとに広告を表示するいわゆる「ターゲティング広告」などを禁止する法律を制定している。

・イギリス
 イギリスでは2023年、インターネット上の有害な情報から子どもを守ろうという法律が成立した。子どもに対してアルゴリズムを使って、中毒性の高いコンテンツをSNSに表示させることを禁止するなどとしていて、来年にも施行される予定。

・アメリカ ニューヨーク州など
 アメリカのニューヨーク州などではSNSの運営会社などが18歳未満の利用者に対し関心が高そうな内容を自動的に配信するには、保護者の同意が必要だとする法律が成立している。