意匠権
意匠とは簡単に言うとデザインです。ただのデザインではなく工業デザイン、「形のあるデザイン」です。これを意匠法により、保護しています。例えば、化粧品の容器は商品の印象を決定づける「顔」の役割を持っていてパッと見たときに最大の魅力が感じられるように作られています。「意匠権(形のあるデザイン)」とは消費者に買いたいと思わせるもので、結果的に産業を発展させることにつながります。
意匠とは物品の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいいます。つまり物品の形状、模様もしくは色彩又はこれらの結合、もしくは、視覚を通じて美感を起こさせるものの二つを満たせば意匠として認められます。
個性があるもの。例えば「布」だけでは個性とは言えません。布を加工した「ソファ」など形状のあるものをデザインとして個性がでるものが認められます。
視覚を通じて美を感じるもの、つまり「このデザインいいな!」くらいの感覚を感じるもの。なんか曖昧ですね。また、肉眼で見えないものなどは認められません。
意匠権として認められるためには、特許庁に出願をし、審査を経て意匠登録を受ける必要があります。審査では、 新規性や創作非容易性などの登録要件を満たしていることが必要です。
工業上利用できることとは同一のものを複数製造できることを指します。
つまり「コピーできるデザイン」ですね。
意匠がすでに存在していない「新しいもの」であること。
簡単に考えつくようなものではないこと。すでにあるものからちょっと変えただけの物など。例えば、うさぎさん柄のTシャツをくまさん柄に変えただけとか既存の自動車を小さくして自動車のおもちゃを作ったなどは一部、一要素が変わっただけなので誰でも思いつくものとして考えられ、意匠として認められません。
特許と同じく先願主義です。先に出願した者が意匠登録を受けることができます。
意匠法では工業上の利用可能性、新規性、創作非容易性などの要件を満たす場合であっても、以下の理由により登録が認められないことが規定されています。
公序良俗の違反つまり、暴力的、差別的なデザインなど子供が見ても大丈夫ではないものです。
デザイン的には違っても消費者が一緒の物と判断して買ってしまう恐れのある物、似ているデザインは怪しいですね。
例えば、ドアノブはひねって開ける形状がなくてはドアノブとして機能しません。それを保護するのはおかしいですよね。なので、このようなものは意匠権として保護されません。
意匠には 組物意匠、 部分意匠、 動的意匠、 関連意匠、 画面デザイン の5つがありますが意匠権は基本的に一つの物品に対して一つの出願にのみ認められます。そのため、これらを適切に選択・利用し、ニーズ(需要)に応じた意匠権の取得を図ることが大切です。
組物意匠とは、一つの物品では保護されないようなものでも全体として統一感があるときは組物意匠として保護される意匠権のことを言います。
部分意匠は、製品の一部に対して意匠権を認める制度です。
動的意匠は、形状や模様、色彩が時間の経過とともに変わるデザインのことをさします。例えば、デジタル時計の表示が時間に応じて変わるデザインなどが対象です。
関連意匠は、基本意匠を元にした類似デザインやバリエーションデザインのことをいいます。例えば、同じスマートフォンモデルの中で、色や模様、形状が異なる複数のバリエーションがある場合、それぞれが関連意匠として登録されることがあります。
画面デザイン意匠は、ディスプレイやインターフェースのデザインを保護するためのものをいいます。例えば、スマホのロック画面のレイアウトなどがあります。
意匠権を出願するためには願書と図面の2つの書類を設定する必要があります。
願書には、出願人と創作者の氏名などのほか、「意匠に係る物品」や、必要な場合には、
「意匠に係る物品の説明」、「意匠の説明」を記載します。
図面では、六面図や斜視図(斜めから見た図)を記載する必要があります。また、図ではなく見本やひな形(実物をかたどって小さく作ったもの)を直接提出することもできます。
※注意点
意匠権は一つの出願につき、一つの意匠を求めることが決められています。