特許権と実用新案権
みなさんは日々の生活で何気なく使っているものについて考えたことはありますか?そんな普通に使っているものでもよく見るといろいろな工夫や発明があることがわかります。
たとえば、シャーペンはノックするだけで芯をだすことが出来ますが、シャーペンを発明する前はは鉛筆しかなかったので芯をだすためには1回1回削る必要がありましたが、今は、その必要がないのでゴミも手間もかかりませんね。身の回りを意識してみると、いろんな工夫があり、みなさんも自分の身の回りにはどんな工夫があるか探してみましょう。
特許権とは自分の発明を誰かに真似されないように国から保護してもらう権利です。では、なぜそのような権利が必要なのか?
たとえば、あなたが頑張って発明をし、その発明を商品として売ることを考えているとします。このとき、誰かがあなたの発明を利用し、同じ商品を販売してしまったらどうでしょうか。
あなたが頑張って発明した商品が売れなくなってしまうかもしれません。そうすると、努力して作っても保護がされずコピー品が作られてしまうため、そもそも発明をしようとする意欲自体が失われてしまうかもしれません。そこで、発明をした人に、自分の発明を一定期間独占的に使える権利勝手に真似されたら罰を与えたり、発明とお金の関係を結んだりできる=特許権を与えるということによって、発明の保護を行っているのです。
発明について特許が認められるために必要なことは何でしょうか。特許として認められるためには、すべてのものが特許を受け得ることになるものではなく、次の要件を満たす「発明」のみが特許を受け得ることになっています。
産業上利用可能性とは 製造業物を作り出し、それを販売する産業。、 農業作物を栽培、または家畜を飼育して衣食住に必要なモノを生産する産業。、 漁業魚などの捕獲や養殖を行う産業。、 鉱業鉱物を採掘し、それを精錬する(質の良いものにする)事業。、 運輸業食品、生活雑貨などの日常品や、大型貨物などを運搬するサービス業界のこと。、 金融業金融をサービスとして提供する事業。、 通信業映像、音声、文字などの情報を伝えたり、それらを伝えるための手段の設置や運用を行う事業。 などを含む大きな意味での産業においてその発明が事業として実施できることです。この可能性がないものは特許を受けられません。
特許を受けるものには、今までにない「新しいもの」でなければなりません。特許出願前に公知となった発明は、仮に自分がした発明であっても、新規性を失ってしまうことになり、原則として特許を受けることができません。出願までは秘密です。
新しい発明であっても、すでにあるものをちょっとだけいじったもの、つまりその分野の通常の知識を持つ人が容易に考えつく程度の発明は進歩性がないとして特許を受けることができません。
特許権は独占排他権発明は保護されて、誰にもまねされず(排他的)、独占的に実施できる。なので、二つ以上の同じ特許権が混在することはできません。ではどこで優先されるか。それは先に特許出願をしたものです。要するに早い者勝ちです。そのため先に考えていても先に出願されていたら特許を受けられません。情報を管理することが大切です。
公序良俗とは公の秩序、善良の風俗からなる言葉であり、公の秩序順序や決まりは、国や社会の秩序を指し、善良の風俗は、 社会の常識を指します。つまり、国や社会の秩序を守るための常識的な考えのことです。たとえば、麻薬を生産できる発明などは明らかに違反です。
特許権とは発明を保護するものです。一般的に発明とは新しいものを考えるという認識ですが、特許ではもっと発明について厳密に決められています。特許でいう発明とは 自然法則を利用した 技術的思想の、 創作のうち、 高度のもの をいいます。つまり4つの条件を満たすものが発明となります。
自然法則とは「水が高いところから低いところへ流れる」といった自然界のルールみたいなものです。つまり、ゲームのルールや計算の仕方など人が取り決めたものは自然法則を利用していないとして特許法上の発明に該当しません。
つまり課題を解決するための技術を技術的思想といい、その人にしかわからない技術や単なるルールなどは認められません。
創意工夫が凝らされたもの
つまり単なる発見ではダメということです
簡単に考え作れるようなものでないこと。また実用新案権に比べ高度ということです。高度の基準は例を見ていただければわかると思います。
発明には3種類あり、
物の発明・製品的な物
・化学物質、薬剤などの材料的なもの
・コンピュータプログラム、
方法の発明・物を使用する方法、物を取り扱う方法、制御方法、測定方法、通信方法、修理方法、
物を生産する方法の発明があります。
その物自体やそのものを作るためだけに用いられる物のこと(例 1の完成した車)
その方法を使うことだけの発明(例 2のタイヤの取り付け方)
その生産方法を使うことやその方法で作られた物
特許権を取得すると、他人はその発明を用いた製品を勝手に製造・販売できなくなります。これにより市場を独占できるため、発明にかかるコストよりも大きな利益を得られる可能性があります。
また、他人の製造・販売を排除できることも強みではが、それだけでなく、自分の特許権を理由に他人から権利行使されることなく安心して事業を実施できることも大きなメリットといえます。
特許権を取得した発明を他人が利用することを許可する(ライセンスする)ことでライセンス収入を得ることができます。また、特許権には財産的な価値があるので、いらなくなれば他人に譲渡して利益を得ることもできます。
特許権を取得するためには主に5つの書類を提出する必要があります。
願書は主に特許を出願する意思を示す書類です。
発明の名称、詳細、説明、などを記載します。また審査が通った場合のみんなに見せる書類となります。
どの発明が特許を受けたいか記載します。
明細書の補足程度のもので、必須の書類ではありません。
要約書とは、発明の簡単にまとめた書類です。J-PlatPatでの検索のときに用いられます。
実用新案権とは、いわゆる小発明および考察。特許より高度でなく、鉛筆についている消しゴム程度の発明を言います。つまり、劣化版特許権です。では主にどこが違うのでしょうか。
特許権は形のないものも対象ですが実用新案権は主に物体に対するものしか保護しません。
実用新案権の場合、面倒な審査をなしですぐに登録されます。
特許は20年保護されますが、実用新案権はその半分の10年間保護されます。
特許権と違い特許審査の費用を支払う必要がないので、特許権と比べてかなり安くなります。