開発の歴史 - 地下鉄の路線図
時代 1930年代
場所 イギリスのロンドン
背景のストーリー
ロンドンには、ロンドンアンダーグラウンドという歴史の長い地下鉄のネットワークがあります。 作られた当初、地下鉄の路線図は地図の上に駅名が書かれたシンプルなものだったのですが、駅が増えてくるにつれて複雑になり、ロンドン市民は困っていました。
そのとき、ヘンリー・ベックという人は従来の地図の考えにとらわれない、画期的なインフォグラフィックスを思いついたのです。ベックは水平方向、垂直方向、斜め45度方向の線だけを使って、地下鉄のネットワークをあらわすことを考えました。
以前の地下鉄地図 |
新しい地下鉄路線図 |
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ここがすごい!
■機能性が重視されている
乗客にとって大切なことは、正確な位置情報ではなく、目的地までのルートです。
ベックの路線図は直線的なデザインで、路線が色分けされていたので、乗り換える駅も分かりやすくなり、認識性が高くなりました。
■無駄が省かれている
地下鉄の乗客にとって、地上の地形は重要ではありません。地上の詳細な地形は描かないことで、複雑な地下のネットワークもシンプルに表されました。
この2つのことに注目して作られたベックの路線図は、その後世界中の鉄道の路線図に影響を与えました。ベックが考案した図法は、現在の電車路線図のスタンダードになっています。