遺伝子の実体に迫る!?

核酸の発見

私物を構成する有機物の中には、たんぱく質・脂肪・炭水化物の3つがあり、これらは古くから知られています。
そして、19世紀半ばに核酸が発見されました。

スイスの生物化学者ミーシャは、1869年に膿の中から新物質を発見しました。
その後の研究でこの新物質は、生物の細胞の核という部分に広く存在することがわかり、
核に存在する酸性物質という意味
で「核酸」となずけられました。

核酸には、主に細胞内のリボソームに存在するリボ核酸(RNA:ribonucleic acid)と、
核に存在するデオキシリボ核酸(DNA:deoxyribonucleic acid)があります。



エーヴリーの実験

アメリカの細菌学者エーヴリーは、遺伝物質がこのDNAであることを証明しました。
エーヴリーが証明する以前までは、たんぱく質が遺伝物質であると考えられていました。

エーヴリーは、肺炎の病原菌(肺炎双球菌)に着目しました。
この菌には、病原性のあるS型菌と病原性のないR型菌があります。
どちらの菌も分裂しても常に各々の菌が生じることから、菌の病原性は遺伝しているのがわかります。
しかし、殺菌したS型菌と生きているR型菌とを混ぜると、形質転換によりR型菌がS型菌に変わり病原性が生じます。



1944年、エーヴリーはS型菌のDNAを取り出して生きたR型菌に混ぜると、S型菌に形質転換することを発見し、遺伝子の正体は「DNA」であると発表しました。
現在では、「遺伝子の実体がDNAである」ことを示した最初の発見者として評価されていますが、発表した当初は直ぐに受け入れてもらえずにいました。



  第一章