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Section4. 様々なエネルギーになる発酵


バイオエタノール

主に燃料として使われるバイオエタノールは発酵によって作られます。完成までを見ていきましょう。


1.前処理・糖化


まず、原料である木材やトウモロコシを前処理して、繊維を柔らかくします。
前処理の方法は水熱処理や水酸化ナトリウム処理などがあります。
繊維が柔らかくなったら、糖化に移ります。糖化とは酵素によって繊維を分解することです。
より効率よくバイオエタノールを生産するためには、適切な前処理と糖化酵素の組み合わせを選ぶ必要があります。



2.発酵


糖化が終わると発酵工程となります。
発酵タンクに糖化液と発酵菌を入れ、アルコール発酵を数日間行います。
発酵菌には主に酵母が使われます。アルコール発酵は酵母が行うものでしたね。(参照:基礎知識3.三大発酵)



3.蒸留


発酵液から純粋なエタノールを取り出します。
基本的には複数の蒸留塔を使って、段階的に純度を上げていきます。
そして最終的には、99.5%以上の燃料用無水エタノールが完成します。



利用例


最近はハイブリッドカーが普及しはじめましたが、エタノール生産量1位のアメリカや2位のブラジルでは、エタノールとガソリンの混合燃料で走る車が急増しています。


バイオエタノールは燃料として利用されると二酸化炭素となりますが、その二酸化炭素は再び原料である植物に取り込まれ、次のエタノールを作るのに利用されるので、大気中の二酸化炭素は実質増加しないと考えられています。この考え方を「カーボンニュートラル」といいます。


微生物で廃棄物から水素を取り出す

近年、燃料電池の実用化が話題となっています。水素と酸素を反応させて水になるときのエネルギーを電気に変える、というクリーンな燃料です。中学生の理科で習う水の電気分解の逆ですね。

では、この時に必要な水素はどのように集めればよいのでしょうか。
そこで注目されているのが、廃棄物を発酵させ水素を得る取り組みです。廃棄物の分解に役立つので、一石二鳥です。廃棄物を発酵させるのによくはたらく微生物が実験の中から見つけ出されてきています。
さらに、1種類の微生物だけでなく、複数の微生物の力で安定的に水素を生産できる可能性のある方法を探し出しています。
例えば、廃棄物は学校の給食センターやファミリーレストランから出る生ごみを用います。


 まとめ


 ・木材やトウモロコシを発酵させて作る「バイオエタノール」がクリーンな燃料として注目されている。
 ・「バイオエタノール」を使えば二酸化炭素が増加しないで循環する「カーボンニュートラル」を達成する
  ことができると考えられている。
 ・燃料電池に使用する水素を発酵によって廃棄物から得る研究が進められていて、廃棄物の分解にも役立つ
  ので一石二鳥である。











  もっと知りたい!


発酵の原料を発酵で作る


バイオエタノールがガソリンにとって代わるためには膨大な量が必要です。現在の原料はトウモロコシや芋
から作られたでんぷんや糖類ですが、これらはエタノールの原料であると同時に、私たち人間や家畜の食料
です。
食糧問題がある中、大量のトウモロコシをエタノール生産に使うわけにはいきません。

そこで、トウモロコシの粒を使うのではなく、これまで捨てていた茎の部分から糖類を作る試みがなされて
います。しかし、茎には粒とは違いセルロースやヘミセルロースという物質が含まれており、そのままでは
糖類を取り出せません。
そのため茎を発酵し、微生物が利用できる糖質に変化させます。できた糖質を更に発酵させてエタノールを
作ります。












3. 食糧問題を解決する発酵
5. バイオプラスチック