この章では自動車のパワーを状況に応じた使い分けやクルマを運転する際の醍醐味の一つでもあるクラッチなどと関係しているトランスミッション(transmission)または変速機を紹介していこうと思います。トランスミッションは機械工学の技術が凝縮されているので非常にワクワクしますよね(笑)
それはさておき、変速機とはわかるけど一体何なんだろう?と思うかもしれないので説明しますと、トランスミッションは動力伝達装置の一つで、走行状態に応じて、手動もしくは自動で最適なトルク、回転数に変える装置のことです。トルクというのは自転車で例えるとペダルを漕ぐ部分での回転させる能力のことです。
エンジンで得たパワーや回転を、例えば坂を下るときならちょっと弱めたいなってときに変速させてちょうどよくさせる訳です。イメージはつかんでいただけたでしょうか。
そして、トランスミッションは大きく分けて二つに分類できて、マニュアルトランスミッション(略してMT)それからオートマチックトランスミッション(略してATまたはオートマなんて言い方もよく言う)があります。
MTはクラッチ(ブレーキペダルの脇にあるペダルです。クラッチに関しての説明は後述します。) とシフトレバー(ガチャガチャっと操作する運転席の脇にあるUFOキャッチャーのレバーみたいなのと思ってください)を操作して運転手自ら任意のギアを選択できるというものです。 例として、洋画などでシフトレバーをガチャガチャっとやるシーンを観たことがある人もいるはずです。
(著作者:Stahlkocher,Tennen-Gas) MTこそ車の運転の醍醐味です!(※高校生なので運転したことありません)
しかし、現在日本では悲しいことにMTの時代は終焉しつつあります。日本では9割以上の乗用車はATが搭載されています。
MTに乗るのは、老人とマニアと軽トラに乗る人だけといった風潮さえ出来つつあります。 ATは後にも記載しますが電子制御の進化に伴いシフトチェンジを自動で行ってくれるものです。 どうやらATには中毒性があるようで一度使うと病みつきになり、もうMTには戻れない!という人が多発したことにより1990年代からあっという間に移行してしまいました。 スマホのようなものですね、一度変えたらもうガラケーには戻れない!最近はガラケーの人が馬鹿にされる風潮さえありますよね全くひどい世の中です…とまあそれはさておき、簡単にどういう仕組みなのかを説明いたしましょう。
エンジン→クラッチ→トランスミッション→車輪という流れで力、回転が伝わっているのですが、
走行中に先ほどのクラッチペダルを踏むと何が起こるかといいますと、N(ニュートラル)という状態になります。Nというのはエンジンからの動力を遮断してエンジンからの動力を切っている状態のことです。こうすることによって一時的にトルクが車輪へ伝わらなくなるのでトランスミッションのギアを組み替え、変速することができるわけです。
トランスミッション内のギアを簡単にいうとエンジン側のギアとそれを受け、車輪へと伝える側のギアがあります。
イメージでつかんで欲しいのですが変速の度合いというのは変速比というもので表されます。 変速比が大きい状態というのはトルクが増えて回転数が減っている、すなわち進む力は小さいということです。 逆に変速比が小さい場合はトルクが減って回転数が増えたということになります。すなわち進む力が大きいということです。 こういった説明では自転車の例がよく使われるので僕もそれで説明しますと、1~6までのギアチェンジが可能だとするとギアが1のときはペダルは軽い(トルク)ですがあまり進みませんよね?(回転数が減っている)これが変速比が大きいということです。 同様にギアを6にするとペダルが重くなる代わりにどんどん進みますよね。ということは変速比が小さいということです。 それと同じことです。ちなみに毎朝遅刻ギリギリの僕は常に変速比が小さい状態で漕いでいます...汗
←僕の父の自転車の変則部分
変速比はエンジン側のギア(駆動するギア)に対して受ける側のギアの歯数で決まってきます。
受ける側のギアの歯数÷駆動するギア で変速比は求められます。
適当に数字を代入すると受ける側=40、駆動側=20だった場合、変速比が2となり、受ける側=40、駆動側10だと変速比は4となります。駆動側と受ける側の歯数の比が大きいほど変速比が大きくなり進む力が小さくなります。
坂道を登るときなどに進む力がほしいときはこの比を小さくすれば良いということですねー。以上です。(笑)
先ほども書いたようにクラッチを使いN(ニュートラル)の状態にしてスムーズにトランスミッション内でギアチェンジを行い変速比を行いトルクと回転数を走行状態に適した数にしているんですね!
これ以上細かい機構に触れると読んでくださっている皆さん、そして僕もMTの専門家になってしまうので仕組みはこの辺にしておきましょう(笑)
また、現代の自動車のMTではほとんどがシンクロメッシュ機構というものが使われています。
これはスムーズにギアチェンジが行えるようにするもので、一気に変速をするなどで運転手にかかる負担を減らすことに役立っています。例えば2速から4速のような減速比の異なるギアでもオブラートに穏やかに同調させて、ホワーンと気持ちよくシフトチェンジをしてくれます。
これを採用していないものをノンシンクロミッションといい、ギアチェンジの際は己の技術で優しく同調しなければならないのでダブルクラッチ(現在はあまりできる車が少ないですが)などの熟練したテクニックが必要となってきます。「ワイルドスピード」という映画などでもでてきますね。
※クラッチとは?-エンジンの回転トルクを伝達する装置の事です。クラッチペダルを踏むとエンジンからの動力を一時的にシャットアウトすることができます。これがないとギアチェンジの際に駆動側と受ける側の回転数が合わなくなりガリガリ鳴ってしまいスムーズに行えなくなります。そのため、非常に重要な装置です。
(著作者:Tennen-Gas)
ようやく、皆さんの馴染みの深い、ガラケーではなくスマホ的な存在のオートマが出てきました。 自動変速機とも言います。自動車の速度やエンジンの回転に合わせて変速比を自動で変えてくれる素晴らしいトランスミッションです。 最大の利点はやはりシフトチェンジを自動で行ってくれる便利さでしょう。本当に便利ですよね。(※高校生なのでまだ車を運転したことがありません。笑)ATには代表的な2種類の方式があり多段変速機付きオートマチックトランスミッションと無段変速機付きオートマチックトランスミッションです(CVT)。 さらに多段変速k…は トルクコンバータ式オートマチックトランスミッション(AT)と自動制御式マニュアルトランスミッション(AMT)に分けられますが、今回はATの自動車ではほぼすべてに搭載されているトルクコンバータs…を簡単に紹介し、CVTを少し詳しく説明しようと思います。
(Wikipediaより)
トルクコンバータというオイルを使ってエンジンの動力を伝える装置と遊星歯車(太陽の周りを惑星が周っているように見える歯車)を組み合わせて、油圧によって制御し自動的に変速させるものです。 外観はドーナツっぽいですね、オールドファッションに近いでしょうかね。 また、トルクコンv…はクリープ現象という「アクセル踏んでないのにどないして車進んでまんねん!!」といった現象の起こる原因となっています。 ちなみにオイルはオートマチックトランスミッションフルード(ATF)という専用のオイルを使用します。
←ウィキペディアに見やすいものがありました
(著作者:W.Rebel)
プーリーの幅を広げるとプーリーの直径は小さくなり逆に狭くすると直径は大きくなります。
MTでトランスミッションの仕組みについて書きましたが、いまこのCVTの仕組みを聞いてなるほどとピンと来た人はなかなか頭の切れる人ですね(笑)
低速にしたいときは変速比を大きくすれば良いので、エンジン側のプーリーの直径を小さくしタイヤ側のプーリーの直径を大きくすれば良いですし、高速にしたいときは変速比を小さくすれば良いのでこの逆となります。通常のオートマは歯車の大小を使って変速しています。これに対し、CVTはプーリーの直径に応じて変速するため、段差なく無段階に、滑らかな変速ができるのです。
それによって、例えば、坂道を上る時に通常のオートマで2速ギアではエンジンが回り過ぎてしまうが、3速ギアを選ぶとエンジンの回転が下がり過ぎて今度はパワーが強すぎ…という場合でも、CVTは2.5速というような変速状態をつくりだすことができるのでエンジン回転が上がり過ぎず、なおかつちゃんと力を発揮でき、坂道を快適に上ることができるわけです。なんて優秀なんでしょうか。ゆとり世代とは大違いですね。笑
エンジン効率がよく、力を発揮しやすい回転数が常に利用できること、オートマチックでギアが切り替わる時のようなショックもなく、滑らかに加速できることがCVTの利点ですね。
しかしCVTはプーリーとベルトの圧力により動力を伝達するので大排気量車には採用があまりされていないという事実もあります。さらにプーリーとベルトの間に摩擦が発生するため、きれいな潤滑油も必要となるなど課題はたくさんありますが、これまでのATの問題を一掃することのできる可能性も秘めているので今後も注目していきたいですね。
Written by S