木々は葉を落とし、雪がしんしんと降り積もる冬では、厳しい寒さによって葉物野菜が甘味を増してきて、旬を迎えます。葉物野菜は白菜、ねぎ、ほうれん草などに代表されます。鍋に使う食材と言えば分かりやすいでしょうか。また、大根やごぼうなどの根菜類もこの時期に旬を迎えます。
果物では、みかん、いよかん、レモンなどの柑橘類(かんきつるい)が収穫されます。こたつの上のみかんを想像すれば、イメージはつかみやすいのではないでしょうか。
しかし、冬は採れる食材が少ないため、かつては多くの食材を保存食として加工していました。たくあんやぬか漬けなどの漬物は、その代表だといえますね。漬物にする以外にも乾燥させるなどの加工方法があり、保存が効くうえにうま味が増すなど、多くのメリットがあるため、古くから愛されてきました。
12月22日の冬至の日には、南瓜を食べる風習があります。南瓜は「かぼちゃ」と読むんでしたね。この風習は江戸時代に生まれたもので、南瓜には栄養分が豊富なため風邪の予防になるとして食べられるようになったといいます。
もともと年末には「ん」が最後に付くものを食べると運気が上がるとされており、「なんきん」と読むことができる南瓜は、「ん」が二個もついていることから縁起物として食べられているという話もあります。
12月31日、大みそかの日には年越しそばを食べる習慣があります。これは有名な話かもしれませんが、そばには「細く長く」という意味が込められ、長生きを願って食べられているといいます。他にも、そばは切れやすいことから「悪縁を断ち切る」とされたり、金銀細工の職人がそば団子を使って金粉や銀粉を集めていたことから「お金が集まる」とされたりして、多くの願いが込められていたといいます。
1月1日、年明けにはおせち料理をいただく習慣がありますね。おせち料理に使われている食材には実に多くの願いが込められています。例を挙げると、
黒豆 : 「まめ」にコツコツと働ける
海老 : 腰が曲がるまで長生きできるように
栗きんとん : お金が増え、豊かに暮らせるように
数の子 : 子孫が繁栄するように
田作り : お米がたくさんとれるように
鯛 : 「めでたい(鯛)」という語呂合わせ
昆布 : 「よろこんぶ(昆布)」という語呂合わせ
などがありますね。ぜひとも残さずにいただきたいものです。
1月7日、人日の節句には七草粥が食べられています。この風習はもともと中国にあったもので、かつて現地ではこの日に身分が決まり、出世を願ってこのお粥を食べていました。平安時代になり、この風習が日本に伝わって来ると宮廷で食されるようになり、江戸時代には庶民の間にまで広がったといいます。
ちなみに七草とは「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ」の7つの雑草で、七草粥は消化が良いため正月で疲れた胃を休めるのに効果的です。