-色の効果をみてみよう-色とスポーツ

色とスポーツ

このページでは、色とスポーツの関係についてまとめてみました。
色が私たちの体に様々な影響をあたえることは今まで説明してきましたが、スポーツにも関係するのか?を考えます。
「色が持つパワー」を意識してスポーツに活かしてみましょう。

■人の体と色の関係

私たちの体は光や色に対して筋肉が反応するようにできています。1910年にシュタインという人が実証し、この筋肉の変化を「トーナス変化」と呼びました。
光線を当てた筋肉が緊張、弛緩と変化することを数値化したのです。これを「ライト・トーナス値」といいます。
通常の筋肉の状態を数値で23とすると、各色の光線に対する筋肉の変化は 赤が42、オレンジが35、黄30、緑28、青24という値になります。しかも、この光線の色に対する効果は視覚からの影響を受けていないのです。数値が小さいほど筋肉が弛緩している「リラックスしている」状態で、反対に数値が高くなるほど、興奮状態を表します。

ライト・トーナス値
※参照 山脇惠子 著. 図解雑学よくわかる色彩心理. ナツメ社, 2005.10 

色に対して好きか嫌いかなどの感情とは関係なく、無意識のうちに色に体が反応するのです。

私たちはこの表を見て、ベージュが通常と同じ状態ということに気づきました。ベージュは人の肌の色に近いからかな? 一番筋肉がリラックスしている状態ということだよね。

そういえば、旅館などの和室や木でできたログハウスなどに入るとリラックスしますよね。これは、畳のベージュや木の茶色で筋肉が弛緩する色の効果もあったんですね。

■ユニフォームと色の関係

さて、スポーツと色で気になるのが、ユニフォームと色の関係やそのユニフォームを着る人への心理的効果です。
皆さん、色々なスポーツをしていると思いますが、部活動などで試合に出るときにはユニフォームを着用しますよね。皆さんのユニフォームは何色ですか?
私たち(製作者3人組は陸上部)のユニフォームは白と青の2色です。 こんな感じのよくあるタイプのユニフォームです。
私たちのユニフォーム
これは、先ほどの「トーナス値」で表すと24。まぁリラックスしている状態といえます。(私たちのユニフォームも赤だったらもう少し記録がのびるのかな?...)
では、赤と青という正反対の効果をもつ色のユニフォームがどのような心理効果を与えるのかみていきましょう。

赤と青のイメージの復習です。このイメージを思い浮かべながらみてみましょう。

赤 活力を感じ気持ちを前向きにさせる。 アドレナリンを分泌し興奮を促す。 熱や暖かさを感じる。 食欲を増進させる。 時間経過を早く感じさせる。 目を引き関心を集める。

青 集中力を高める。 食欲をコントロールできる。 興奮を押さえ、気持ちを落ち着かせる。時間経過を遅く感じさせる。 睡眠を促進する。

次の絵はレスリングのユニフォームです。どちらが強そうに見えますか? レスリング


私たちは「どちらの色のユニフォームのほうが強くみえるか?」
校内の中学3年生179人(男子127人 女子52人)を対象にアンケート調査を実施しました。


【私たちの予想】 青いユニフォーム 1人  赤いユニフォーム 2人
【理由】
青のほうが冷静に戦える 赤のほうが興奮作用で強そう


【調査結果】 結果は以下の通りで、少しだけ赤のユニフォームのほうが強そうと答えた人が多くなりました。


【感想】 色によってどちらが強そうか?というのはあまり差はありませんでした。
中には画像の人をみて、こっちのほうが筋肉が...とか答えてくれた人もいました。また、使用した画像の人物の体型に違いがあったので、同じ人物のイラストで色を変えて調査すればもう少し違った結果だったかもしれません。


実は、ユニフォームの色によるスポーツの優位性の研究は複数行われおり、興味深い結果がでています。
科学誌Natureに2005年に掲載された論文に 「赤は競技における選手のパフォーマンスを高める」 というものがあります。この論文では、2004年アテネオリンピックの格闘技種目 (ボクシング、テコンドー、レスリング) のユニフォームの色 (選手は試合前に赤と青のユニフォームに無作為に割り当てられる) と勝敗の関係を調査し、 赤のユニフォームを着た選手が青のユニフォームを着た選手と比較して、勝率が高いことが報告されています。
下の表は文献の資料を基に作成したものです。 赤と青の勝敗割合
※参照 Nature 435, (19 May 2005) Psychology: Red enhances human performance in contests

この表をみると、赤が優位なのがわかります。 ただ、その後のオリンピック(ロンドン等)では必ずしも赤が優位ではないという結果もでています。色によるスポーツの優位性は、経緯が複雑で立証するのが難しいのですね。

ユニフォームの色によって勝率に差があるとはびっくりだね!
やっぱり私たちのユニフォーム、先生に相談に行こうよ~!!


■スポーツの道具や場所と色の関係

私たちは、陸上部なので、大会に出場するため、色々な競技場に行くことがあります。陸上競技場はトラックがレンガ色のものと青いものがあります。
もともとはレンガ色のトラックだったそうなのですが、近年青色のトラックが増え、日本にある約470ヶ所の公認陸上競技場のうち、30ヶ所ぐらいが青色になっているそうです。そういえば、今年の夏に開催されたリオオリンピックのトラックが青色だったことは記憶に新しいですね。
青色トラックの導入は、トラックの色を青にすることで視野が安定し記録が伸びる、集中できるといった理由から行われていますが、その一方で、色に不慣れのために、記録に影響がある といった声もあるようです。
※参照・参考記事「マイナビ進学U17」
青いトラック レンガ色トラック
※リオオリンピックの青色のタイプのトラック ※ロンドンオリンピックのレンガ色のタイプのトラック


その他のスポーツでも、道具の色を青色に変えることにより、効果をあげているものがあります。
卓球の卓球台や、野球のキャッチャーのミットなどで青を使用する例があります。

 私はよくあるレンガ色のトラックのが走りやすいな。青だと落ち着かなくて。
 そう?私は青のトラックのが好きだけど。
 私は跳躍競技だから、あまり関係ないかな~ そういえばさ、今年の体育祭、5色の組でどこが優勝したのだっけ?
あっ...赤だ~...


まとめ 色とスポーツの優位性の関係は、同条件(気温などの環境・選手のコンディション・毎回同じパフォーマンスができるか?など複雑なため、立証するのが難しいですね)
私たちも実際に色を変えて(例・ハードルのバーの色を変えてみる、色の違うトラックの競技場で走ってみる等)競技で試してみたかったのですが、 「同じコンディション・同じ走力」で試すことが難しく実験の計画がたてられませんでした。 自分が落ち着いた気分の方がパフォーマンスを発揮できるのか?それとも少し興奮状態のほうがいいのか?見極めながら「ライト・トーナス値」を上手く活用していきましょう!

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