今まで見てきたように、様々な利点を持つ仮想通貨ですが、決して完璧なものではありません。
ここでは、仮想通貨の抱える課題を3つに分けて紹介していきます。
実験によってブロックチェーンそのものの強固性は証明されましたが、これで仮想通貨の安全性が完璧であると考えるのは早計です。
過去にマウントゴックスという仮想通貨を扱う企業の保有する巨額のビットコインが消失し、経営破綻に陥るという事件がニュースで大々的に報道されました。
これは、仮想通貨のシステムを悪用したのではなく、交換業者の換金システムの欠陥を突かれたことによって不正な引き出しが行われたと考えられています。
このように、仮想通貨のシステムそのものに問題はなくても、それを扱う業者やサービス側のシステムが不完全だと、セキュリティが不完全な部分から綻びが生じてしまう可能性があるのです。
日本では仮想通貨の出現にともない、仮想通貨に対応するために様々な法律の整備・改正などを行ってきました。
仮想通貨交換業の登録や、資金決済に関する法律に仮想通貨についての記述を盛り込むなどがその一部です。
しかし、経済において全く新しいとも言える概念を作り出した仮想通貨に対して、法律の整備が完璧であるとは未だ言い難い状況にあります。
例えば現在の法律では、商品を現金で販売した場合と仮想通貨で販売した場合、収入としての区分が異なり、収入に対してかかる税金が現金と仮想通貨で全く変わってしまう可能性があることが指摘されています。
仮想通貨に限らず、技術の進歩が目醒しい今、新技術によって生まれた革新に対して、政府は技術に対する理解と、柔軟な対応が求められています。
仮想通貨は今、値上がり傾向にあります。
仮想通貨の需要が高まっている事がその理由の一つですが、それを考慮しても仮想通貨の価値が安定しているとは言えません。
仮想通貨のレートを見ながら仮想通貨同士や現金での両替を繰り返し、大金を稼ぐ「億り人」と呼ばれる人達も存在する程です。
このように頻繁に価値が変わってしまうのは、通貨として望ましい状況ではありません。
仮想通貨は、普及しつつあるとはいえまだ現金よりも使い勝手にかけています。
そのため両替が頻繁に起き、その結果価値の変動が大きくなってしまうのです。
これを解決する方法は単純で、「仮想通貨をもっと普及させる」ことによって両替が起きにくくなり、価値の変動が小さくなると考えられています。
視点を変えると、この現象は仮想通貨の過渡期性を示しているといえるでしょう。
仮想通貨の匿名性を利用して、マネーロンダリング(違法行為によって得たお金を銀行などを複数経由して出処を分からなくする行為)が行われているのではないかという危険性があります。
実際、仮想通貨を送金する為に必要なのは口座だけであり、個人情報を入力することなく世界中に通貨を送る事ができるため、ビットコインなどはマネーロンダリングや薬物の販売などに利用されるだろうと考える声もあります。
しかし、過去にはビットコインを利用して日本円にして約40億円のマネーロンダリングを行ったロシア人の男性が逮捕されるなどの出来事があり、仮想通貨の原理としてはマネーロンダリングを暴くことができる事がわかっています。
これは、全ての取引の記録を誰でも参照できるという、仮想通貨の透明性によるものです。そのため、仮想通貨の取引データを監視する仕組みを確立させることで、この問題を解決できるだろうと考えられています。