私たちは普段、日本円を利用して買い物をしています。例えば、店でりんごを買いたいとき、私たちは日本円を店に渡し、それと引き換えにりんごを受け取ります。
同じように、車のような高級品を買うときも、お金と引き換えに購入します。
この時、私たちはお互いにその商品と支払うお金の価値が釣り合っていると考えているために一連の契約が成立するのです。
しかし、なぜこの紙切れやコインがりんごと同じだけの価値を持つことができるのでしょうか。円の持つ価値とは一体何なのでしょうか。
今度は、りんごを売った店側の視点に立って考えていましょう。あなたはなぜお金と引き換えに持っていたりんごを渡してしまったのでしょうか。
それはあなたが「受け取ったお金を他のものと交換できる」と知っているからです。その紙と品物を交換してくれる人が存在しなければ、それは通貨として成り立っているとは言えないでしょう。
このように、通貨は、それが様々なものと交換できるという保証があって初めてその役割を果たすことができるのです。
日本円は、国家の計画の元で流通、管理が行われており、通貨の価値を国が保証しているのです。
一方で、特定のお店の中でのみ使うことのできる商品券などは、そのお店や商品券を発行している団体がその価値を保証しています。
それでは、仮想通貨の価値は一体誰が保証してるのでしょうか。それは、仮想通貨を利用している人達自身です。
多くの人が仮想通貨による取引を行うことで、「仮想通貨を持っていればそれを商品や日本円と交換することができる」という状況が生まれ、特定の政府や企業による価値の保証なしに通貨としての価値が作られるのです。
言い換えれば、「不特定多数と商品やサービスのやり取りをすることができる」能力こそが通貨としての価値である、ということができます。
逆に、「不特定多数と商品やサービスのやり取りができる」という性質を持ってさえいれば、それが仮想通貨でも、小判でも、貝殻でさえもかまわないわけです。
実際に、古代では石や貝殻、牛などが通貨として使われてきた歴史もあります。
しかし、(生き物である牛は論外として)小判と貝殻、どちらが「不特定多数と商品とサービスのやり取りを行う」ために適切であるかは、いうまでもなく小判でしょう。
では、その通貨としての能力の差はどこで生まれたのでしょうか。
小判を作るには、高温で金属を溶かし、鋳型に流し込んで形を整えて……と、多くの手間と技術が必要になります。
一方で、貝殻は海岸にいれば簡単に入手することができます。
たとえば、今まではその村の中には貝殻が100枚しかなかったから貝殻5枚とりんご一個が同じだけの価値を持っていたところに、村全体に流通する貝殻の枚数がいきなり400枚、500枚に増えてしまったとすると、りんごと貝殻の価値のバランスが崩れてしまいます。
現実の話では、第一次世界大戦の賠償金を払うために大量に通貨を発行したドイツは、国内での通貨の流通量が大きく変わってしまい、経済が崩壊してしまいました。
そのようなことが起こらないように、普通政府は通貨の発行を調整し、私たちの利用する通貨の価値を守っています。
せっかく政府が通貨の発行数を調整していても、偽札が市場に出回ってしまったら意味がありません。
そのため、現代の通貨はさまざまな偽装対策が施されています。
その中でも日本の紙幣は細かい印刷や透かしなどが施され、世界でもトップレベルに偽装が困難であるといわれています。
仮想通貨における偽装対策とは、すなわちデータの解散、ハッキング等への対策にあたります。
ここからは、仮想通貨による取引の流れを見ながら、仮想通貨の仕組みとセキュリティについての説明をして行きます。