織田信長の天下統一から豊臣秀吉を経て徳川時代にはいるまでのおよそ三百年間を安土桃山時代といいます。このわずかの時代に戦国時代のあとをうけ、華やかな美術工芸が絢爛(けんらん)を競いました。さらに明貿易などにより、独自の桃山文化がうまれました。
この時代以降、服飾の主役は言うまでもなく小袖です。形は前身頃と後身頃に衽(おくみえり)、袖、袴とからなり、部分的な変化はたえずありましたが、基本的な形は現代でもあまり変わっていません。丈は対丈です。
染織技術の飛躍的な発展と、のびやかで清新な空気は小袖の模様の上にあらわれ、この時代の小袖は、目を見張るばかりの摺箔(すりはく)や繍(ぬ
)いの技術が駆使され、生き生きとした美しさをふりまいています。
写真・図
肩衣、袴姿の武将
打掛をつけた武家上流婦人