〜 ピーターさんへのインタビュー No.5
- ストリーミング Part 6 -

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岩間 - それでは、アイルランド音楽は歴史的な側面はあるのですか?具体的には、アイルランド伝統音楽は、アイルランドとイギリスの争いや、ポテト飢饉(前述)などから影響を受けているのでしょうか。

ピーターさん - 私が演奏しているダンス音楽については知らないな。ただ、イギリス政府がアイルランドを統制しようとしたことは確かだ。イギリス人は、アイルランド人がアイルランド独自の文化を保つことによって、イギリスから精神的に独立することを防ぎたかった。だから、イギリス政府は、アイルランド伝統音楽の演奏者達を逮捕、時には殺したりしたんだ。彼らは、文化の担い手であったんだ。人々は、音楽を通してアイルランド文化を共有していたからね。演奏家達の中でも、パイプの演奏者がリーダーの場合が多かった。他には、歴史的な意味を持つ歌はいくつか知っているよ。友人の中で伝統歌を歌う人がいるのだけど、それはイギリスに対する反抗と独立に関する歌だよ。大体は反乱の歌だよ。「失敗した」だけどね。

岩間 - なるほど、アイルランド音楽の背景が少し理解できました。

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- 解説 -

 アイルランドの陽気なダンス音楽は、歴史的な意味というより、アイルランド人の明るい正確が表れているといったほうが良いだろう。ただし「歌」に関しては、歴史的な意味があるものがあるようだ。例えば、伝統歌とは言えないが、アイルランド国歌の歌詞を見て欲しい。


アイルランド国歌 (アイルランド語)

Seo dhibh a chairde duan Oglaigh

,Cathreimeach briomhar ceolmhar,

Ar dtinte cnamh go buacach taid,

'S an speir go min realtogach

Is fonnmhar faobhrach sinn chun gleo

'S go tiunmhar gle roimh

thiocht do'n lo

Fe chiunas chaomh na hoiche ar seol:

Seo libh canaidh Amhran na bhFiann.


Curfa:


Sinne Fianna Fail

A ta fe gheall ag Eirinn,

buion dar slua

Thar toinn do rainig chugainn,

Fe mhoid bheith saor.

Sean tir ar sinsir feasta

Ni fhagfar fe'n tioran na fe'n trail

Anocht a theam sa bhearna bhaoil,

Le gean ar Ghaeil chun bais no saoil

Le guna screach fe lamhach na bpilear

Seo libh canaidh Amhran na bhFiann.

Cois banta reidhe, ar ardaibh sleibhe,

Ba bhuachach ar sinsir romhainn,

Ag lamhach go trean fe'n

sar-bhrat sein

Ta thuas sa ghaoith go seolta

Ba dhuchas riamh d'ar gcine chaidh

Gan iompail siar o imirt air,

'S ag siul mar iad i gcoinne namhad

Seo libh, canaidh Amhran na bhFiann.


Curfa


A bhuion nach fann d'fhuil

Ghaeil is Gall,

Sin breacadh lae na saoirse,

Ta sceimhle 's scanradh i

gcroithe namhad,

Roimh ranna laochra ar dtire.

Ar dtinte is treith gan spreach anois,

Sin luisne ghle san speir anoir,

'S an biobha i raon na bpilear agaibh:

Seo libh, canaidh Amhran na bhFiann.


Curfa


アイルランド国歌 (日本語訳)

歌を歌おう 戦士の歌を

高らかなる 誇らかなる 皆の声と共に

燃え上がる炎をそばに

星明かりの下に

戦いの時を待ち望んでいる

朝の光を待ちながら

夜の静寂の中

戦士の歌を歌おう



(コーラス)


戦士である我ら

その命はアイルランドのために

波の向こうの大地から

自由を求めて来た

先祖が生きたこの土地に

これ以上の専制と従属は許されない

今夜我らは恐れなど知らない

祖国アイルランドのために

大砲がうなり 銃がとどろく

我らは戦士の歌を歌う

緑の谷の中で そびえる岩山の上で

我らの父は戦ったのだ

同じ旗の下で 打ち勝ったのだ

その旗が誇らかに舞っている

我らは名誉ために戦う

その為に生まれてきた

敵の眼前で行進する

そして戦士の歌を歌おう





(コーラス)



ゲールの子供達よ アイルランドの人々よ

長く続いた日々は終わろうとしている

ここに集まった兵士の列が

暴君を震わせるだろう

キャンプの炎は小さくなり

東に銀白色の炎が見える

そこには敵のサクソン人が見える

戦士の歌をいざ歌おう


(コーラス)


訳: 岩間恵太朗

( 英語訳からの間接的な翻訳なので、
原語の意味とは違う恐れがあります。 )

 〜 続き 〜


 「敵のサクソン人」などからもわかるように、明らかにイギリスとの戦闘に関した歌だ。「専制と従属」を許すことはできないと歌にはある。これは、アイルランド人が、イギリスの王制・専制に対して敵意を持っていたことを示している。よって、現在のアイルランドの人々が一般のイギリス人に敵意を持っているわけではないと思われる。

 左図を見て欲しい。アイルランド島の北の一部はイギリスの領土となっていることがわかるだろう。これは、この部分の人々がアイルランドとなることを選ばずに、イギリスの一部になることにした結果であるが、そこには複雑な背景がある。 例えば、この地域にはプロテスタントの人々が多い。

 無理にイギリスに併合されてしまったアイルランドは独立を長い間奪われてきたのだ。日本に併合された韓国に似ている部分があるのはここである。

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