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原発Web学習 - 学ぶ


2.原子力発電とは - 3.原子炉の種類

原子力発電にもいろいろな種類があります。種類についても学びましょう。

減速材による分類

前に説明した通り、連鎖反応が起こるには放射性物質に中性子が吸収される必要があります。しかし、核分裂反応で出た中性子はそのままでは速すぎて、うまく連鎖反応が起こらないのです。その速さを抑えるのが減速材です。減速材は中性子を効率よく減速できて、かつ中性子をあまり吸収しないものがよいとされます。これによって大きく3つに分類されます。

減速材に普通の水を使う原子炉を軽水炉といいます。軽水は安い上に、火力発電でも用いられていて、扱い方が確立されているという長所があります。ただ、中性子を吸収しすぎてしまう欠点があります。

普通、水素は陽子と電子が一個ずつでできていますが、これにさらに中性子がふくまれている重水素という物質があります。この重水素からできた水である重水を減速材として使う原子炉を重水炉といいます。重水は減速の効果が大きい上に、無駄に中性子を吸収しないので、減速材として優れています。ただ、高価だという欠点があります。

減速材に黒鉛を使うものもあって、これを黒鉛炉といいます。黒鉛は水の次に減速材として優秀だといいます。

このほかに減速材を用いない高速増殖炉というものもあります。

冷却剤による分類

原子炉が開発された頃は、出力が低かったので、炉を冷やすのには空気を使っていました。しかし、現在の大出力の原子炉にとっては冷却剤は非常に重要で、もちろんこれによっても分類されています。冷却剤は中性子を吸収しないもので、液体のように扱えるものがよいとされています。

普通の水を冷却剤に使う炉を軽水冷却炉といいます。軽水冷却炉は減速材に同じく軽水を使うものと、黒鉛を使うものに分けられます。

重水を冷却剤に使う炉を重水冷却炉といいます。重水がそのまま減速材を兼ねていることが多いようです。

二酸化炭素やヘリウムを減速材として使う炉をガス冷却炉といいます。ガスは気体の意味です。二酸化炭素を冷却剤として使う炉は今はあまりありません。

ナトリウムなどの金属を高温で溶かして冷却剤として使う炉を溶融金属冷却炉といいます。「高速増殖炉もんじゅ」などで使われています。

軽水冷却炉はさらに分類され、原子炉内の軽水が高圧で液体に保たれているものを加圧水型原子炉、沸騰して気体になっているものを沸騰水型原子炉といいます。

例えば

柏崎刈羽原子力発電所 (← クリックすると大きな写真を表示します。)

新潟県にある世界最大の原子力発電所、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所(かしわざきかりわげんしりょくはつでんしょ)では1号機から7号機まで7機が稼働しており、ここの原子炉はすべて沸騰水型軽水炉です。

柏崎刈羽原子力発電所の全原子炉の合計出力は821万2千kWにも達し、世界最大の原子力発電所となっています。100万kWで約30〜40万世帯の電力をまかなうことができるといいますから、その出力の大きさが分かると思います。

写真は東京電力株式会社様より許可を得て引用しています。