「親父・・!」
考えるより先に言葉が溢れる。「本気…なのか……?」
しかし勝良は最後まで聞かずに去ろうとした。
「待てよ、親父……おやじっ!!」
そのとき声は出なかった。ただ、嗚咽が漏れただけだった。
ああ・・
義弘は悲愴な面持ちのまま呆然としていた。
もう、無理なんだな……。俺達の道は……あの時…
義弘は目を閉じた。かつては偉大だったはずの背中が今では情けなく、頼りなさげに見えていた。
もう…見たくない。信じる事に疲れた。何もかもどうだっていい。
勝良は義弘に背中を向け、ドアノブに触れた。
「ぐああっ!!」
永遠の空白。深い哀しみと焦燥感、そして静かな怒り。
「お、おやじぃぃぃぃぃぃ!!」
そうして勝良は帰らぬ人となった。
◎関連
静電気
◎参照
『実用編』 静電気のいたずら
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