安全な飲料水を利用していない人の割合と一人当たりの再生可能な水資源量
水ストレス指標と取水量
一人当たりの再生可能な水資源量と一人当たりのGNI額
一人当たりの総水使用量(生活・農業・工業)と一人当たりの再生可能な水資源量
安全な飲料水を利用していない人の割合と非識字率(男女計)
一人当たりの再生可能な水資源量と水ストレス指標
これは、安全な飲料水を利用していない人の割合と一人当たりの再生可能な水資源量をそれぞれ階級区分図で表した地図です。
南アメリカ大陸の北西部に位置するペルーや、アフリカ大陸の赤道直下に位置するコンゴ共和国では、一人当たりの再生可能な水資源量は50,000㎥を超えているにも関わらず、安全な飲料水を利用していない人の割合はペルーでは40%以上、コンゴ共和国では60%以上となっています。一方、一人当たりの再生可能な水資源量が5,000㎥に満たない日本では、安全な水を利用していない人の割合は5%以下となっています。
このことから、一人当たりの再生可能な水資源量が豊富でも、安全な水を利用していない人の割合が高い国もあり、これらのデータ同士の相関は高いとはいえないことがわかります。なお、安全な飲料水を利用していない人の割合については、特にアフリカの国において、データの欠損が見られました。そのため、安全な水を利用していない人の割合が高い国は実際にはもっと多いと予測されます。
これは、水ストレス指標を階級区分図で、取水量を図形表現図で表した地図です。
水ストレス指標は、100に近いほど(100を超えていればそれ以上に)、水資源に余裕がないことを示します。西アジアの国々では取水量が少ないのにもかかわらず、水ストレス指標が100を超えており、中には500を超える国もあります。また、降水があっても、インドや中国、アメリカ合衆国、ヨーロッパ諸国など取水量が多い国では、10~50の水ストレスが生じています。
このことから、取水量が少なくても、降水量が少ない国では水ストレスが高くなる傾向にある一方で、取水量が多い国では水ストレスが生じる傾向にあると考えられます。
これは、一人当たりの再生可能な水資源量を階級区分図で、一人当たりのGNIを図形表現図で表した地図です。
「安全な飲料水を利用していない人の割合と一人当たりの再生可能な水資源量」(図1)と比較してみると、アフリカなど図1において一人当たりの再生可能な水資源量が10,000㎥を超えるのにもかかわらず、安全な水を利用していない人の割合が高い国においては、一人当たりのGNIが低いことがわかります。
このことから、経済が発展している国では、一人当たりの水資源量が少なくても安全な飲料水を利用することが可能であると考えられます。
これは、一人当たりの総水使用量(生活用水・農業用水・工業用水の合計)と、一人当たりの再生可能な水資源量をそれぞれ階級区分図で表した地図です。
アメリカ合衆国やカナダなどの先進国では、一人当たりの総水使用量が多くなっています。一方、アフリカの中央部に位置する国では、一人当たりの再生可能な水資源量が10,000㎥付近、またはそれ以上であるにも関わらず、一人当たりの総水使用量は100㎥以下となっています。
このことから、一人当たりの再生可能な水資源量が豊富にあっても、一人当たりの使用量が少ない国もあること、また、生活の向上や農業や工業の発達にともなって一人当たりの総水使用量は増加する傾向にあることがわかります。
これは、安全な水を利用していない人の割合と、識字率をそれぞれ階級区分図で表した地図です。
アフリカや南アジアなど、安全な飲料水を利用していない人の割合が高い国では、非識字率が高いことがわかります。このことの背景としては、安全な水を得られない地域では、子どもが水くみなどの仕事をするため、学校に通えないことが考えらます。
これは、一人当たりの再生可能な水資源量を階級区分図で、水ストレス指標を図形表現図で表した地図です。
サウジアラビアやその周辺国では一年を通じて降水がほとんどなく、一人当たりの再生可能な水資源量が極めて少なく、深刻な水ストレスが生じています。一方、一人当たりの再生可能な水資源量が多いカナダやノルウェー、中央アフリカのコンゴ共和国、ガボンなどでは水ストレスがほとんどありません。
このことから、一人当たりの再生可能な水資源量と水ストレス指標とは高い相関があると考えられます。