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九州地方の取り組み
九州地方はアジア圏の国の玄関口です。それゆえ、九州地方全体に占める欧米豪訪日外国人観光客の割合は、低いのが現状です。東アジア・東南アジア からのインバウンドが距離的にも価格的にも訪れやすいため、それ以外の国・地域のシェアが高まりにくい傾向があります。
福岡県は韓国の釜山との間にフェリーが就航しているため、訪日韓国人の割合は全体の63%です。しかし、最近の日韓関係の悪化に伴い、インバウンド対策を広める必要があると考えられます。
一方で、訪日中国人の福岡県での消費金額はアメリカや香港を抑え1位であり、インバウンドの成長を支えていると考えられます。
また、熊本県は、中国や台湾で人気のマスコットキャラクター「くまモン」の生誕地です。くまモンのスイーツやグッズが販売されている「くまカフェ」が福岡県に日本で初めて出店されました。 すでに海外では5店舗も展開されています。今後は、香港や北京にも出店する予定です。
九州地方は温泉でも有名です。 温泉地で有名な大分県別府市には、英語に対応しているホテルがたくさんあります。 英語のホームページを利用することができたり、外国人のスタッフがいたりするため、外国人も安心して別府温泉を楽しむことができます。
沖縄地方の取り組み
沖縄県には台湾や韓国から多くの外国人観光客が訪れており、外国人観光客の消費額も全国第4位です。 また、沖縄県の施設内案内の英語表記率は50~75%です。 特に、美ら海水族館では、案内看板や注意看板、パンフレットの多言語化が行われました。公式サイトも日本語・英語・韓国語・中国語の4か国語に対応しています。また、スタッフ全員参加の英会話勉強会も行われています。
私たちは昨年の4月に、沖縄県の宮古島を訪れました。 私たちが訪れたときはありませんでしたが、2019年3月30日にみやこ下地島空港ターミナルができました。韓国、 台湾、中国、東南アジアなどからの観光客の増加に期待できそうです。 また最近は、ホテルの建設ラッシュが続いています。空港と宿泊施設の両面で、インバウンドに効果が見られそうです。
沖縄県の人に聞いてみました!
宮古島市役所の職員さん(宮古島より)
Q、年間でどれくらいの外国人が訪れますか。
A、日本人を含め、宮古島を訪れる観光客数は年々増え、平成30年度には114万人を突破しました。しかし、宮古島の空港では国内移動の外国人を数えることができないため、国外と国内の観光客の人数はとっていません。
クルーズ船では、平成30年度は年間で約44万人の外国の方が訪れました。
平成27年度からクルーズ船寄港の回数を増やしたことがきっかけでしょう。
Q、どの国の人が多く訪れますか。
A、クルーズ船だと、
中国の方が約50%を占めています。その次に多いのが、特例上陸の乗員です。そして、台湾の方が12%、香港の方が6%ほど訪れています。他にも、フィリピン、マレーシアやインドネシアなどの東南アジアの方やアメリカ、カナダなどの北米、イギリスの方なども訪れます。
Q、インバウンド対策を教えて下さい。
A、宮古島は下路島から香港までの直行便ができるまで、クルーズ船客へのインバウンドの対応が主でした。クルーズ船の乗客は宮古島へ寄ることをオプションだと考えている方が多く、宮古島がどういう場所かを理解していないで島へ入ることが多々あります。そのような場合、移動手段がなく、徒歩で観光する方が多いです。何も知らない島で観光するのは困難なので、市内散策マップを作成しています。また、快適な観光をするには観光地などを調べるための、Wi-Fiも完備しなくてはならないので、
公衆Wi-Fiを設置しています。
他の対策としては、島内のタクシーが180台程度なので、臨時のバスなどを出して、移動手段の不足がないようにしています。また、エコアイランドを推進する宮古島では、外国人観光客による雑なゴミの捨て方は問題になっていますが、
英語でゴミの正しい分別の仕方や捨て方をうちわに書くなどし、対応しています。
Q、今後はどのようにしていこうと考えていますか。
A、宮古島では外国人観光客に対し、十分なおもてなしの体制が整っていません。人手不足の点や、言語の壁もあり、市民がまだ、今の状況を理解しきれていない点が挙げられます。そこで、外国人研究生をいれることや市民の理解を得ることが必要になります。また、クルーズ船での外国人観光客が多い中、クルーズ船専用のターミナルが宮古島にはありません。税関、入管、検閲を船内で行うなどして対応していますが、大変です。そこで来年、
クルーズ船用のターミナルを開設しようとしています。
他にも、インバウンドによる経済効果が大きい中、
大型施設などに消費を限定せず、農産物を使ったお土産を売るようなことも必要だと考えています。
出典元:日本政府観光局(JNTO)