未来インバウンド

北海道地方の取り組み

北海道は「でっかいどう」。そういわれる通り、北海道には広大な土地があり、その土地それぞれに魅力があります。例えば、札幌には「さっぽろ雪まつり」というものがあります。その際に展示される氷像を目当てに沢山の外国人が来日します。タクシー運転手の方によると、さっぽろ雪まつりの日は、外国人を見かける回数が多いそうです。
最近では、さっぽろ雪まつりの日以外にも札幌を訪れる外国人もいます。例えば、札幌の時計台を訪れる欧米の観光客や、ドラックストアで大量に商品を購入する中国の観光客などです。
北海道は観光案内所の件数が全国第2位、宿泊者数は全国第3位と、高いインバウンド需要を誇っています。空港や港も多くあり、北海道内の案内表示の英語対応率は75%を超えています。そして、さっぽろ雪まつりでは、魅力を伝えるために、「クラウド通訳」等のシステムが導入されており、これは英語・中国語・韓国語・タイ語の4ヵ国語に対応しています。

sapporo
「写真AC」より引用

北海道でインタビュー

タクシーサービスの関係者さん(札幌にて)

Q.札幌の観光地で外国人がよく行く場所はありますか?
A.欧米の方は地域の歴史、伝統、文化が感じられる時計台や北海道庁赤煉瓦、大倉山ジャンプ展望台やサッポロビール博物館などによく訪れます。中国や韓国のアジア圏の方は観光よりもショッピングが目的の方が多く、ドラッグストア(化粧品、お菓子)、家電店(炊飯器、ゲーム機)などによく訪れます。

guraf
出典元:日本政府観光局(JNTO)
Q.外国の方の対応はどのようにしていますか?
A.欧米、台湾、マレーシア、ベトナムなどの方にはカタコトの英語で、中国、韓国の方はスマホの双方変換語で対応しています。
Q.何かのイベントで急に外国の方が増えたことはありますか?
A.2月のさっぽろ雪まつりは外国の方が多く訪れます。
Q.どこの国の方が多く訪れますか?
A.圧倒的に中国、韓国の方が多いですね。全体の70%くらいを占めています。最近少しずつマレーシア、ベトナムの方が多く訪れています。
Q.10年前と今の外国の方の来訪人数に変化はありますか?
A.10年前はアメリカやイギリスなどの欧米の方が雪まつりを目的に多くいらしていました。しかし安倍総理の観光客誘致対策により免税対象に化粧品や飲料など消耗品が加わり中国の方の購買意欲を刺激し、札幌の来訪人数は数倍増加しています。

北海道の建物
札幌の建物(北海道にてチームメンバーが撮影)

東北地方の取り組み

東北地方では近年、外国人観光客が増加しています。外国人を含む、宿泊観光客が2018年には121万人を越し、2017年度の96万人から一年間で25万人増加しました。
この理由としては、羽田、成田などの首都圏の空港を利用し、地方の空港へ国際便で繋ぐというゲートウェイ戦略や、クルーズ船などで外国人の集客を図っていることが挙げられます。他にも自然が魅力である東北地方は、レンタカーで名所を回る外国人のために、道路標識を工夫しています。例えば、ローマ字表記は外国人にはわかりにくいため英語表記に変える、や日本語の地名の横に地図記号を描くなどし、視覚的に読み取りやすい工夫をこらしています。
東北地方は交通面以外にも力を入れています。それは観光案内所や施設に、多言語翻訳機を導入したり、通訳ガイドを雇ったりすることです。外国人が日本へ来た時に一番困ると言われるのが「言語の壁」です。これを少しでも改善するため、アプリなどを用い、対応を行なっています。しかし、アプリだと声の大きさや発音によって翻訳への誤差が生まれてしまいます。そこをどう改善して行くかが今後の課題となりそうです。また、東北地方では農村などの山奥に行くと、Wi-Fiが使えなくなることが多々あります。外国人にとっては他国で旅行をするために必要なものであり、日本人とコミュニケーションをとることのできる大切な手段である、インターネットが使えないということです。これでは安心して旅行をすることができないため、Wi-Fiの使える地域を増やし、Wi-Fiがスムーズに接続される環境を作っていっています。
東北地方は伝統工芸品や世界遺産、祭りなど様々な魅力がありますが、このように、外国人観光客に快適に過ごしてもらえるよう、様々な事業の工夫が生活の中に編み込まれています。

ショーケースになっている縁側
観光案内所(山形県にてチームメンバーが撮影)

東北の人に聞きました!

「米沢道の駅」観光案内スタッフさん(山形県米沢市にて)

Q、年間でどれくらいの外国人観光客が訪れますか。
A、海外の方は1日120人ほどなので、年間では4.4万人ほどが訪れていますね。来場者全体の割合でいうと1パーセント程です。
Q、どの国の方が多く訪れますか。
A、台湾の方や中国の方をはじめとする、アジアの国の方が多いです。知り合いが地元にいて、レンタカーや自家用車で来る方が多いように思えます。

多言語対応のサービスエリア
多言語対応のサービスエリア(山形県にてチームメンバーが撮影)

大型観光ホテルの従業員さん(福島県にて)

Q、年間でどれくらいの外国人が訪れますか。
A、利用客、年間26万人の中で、6万人ほどが外国の方です。全体の約3割ですね。
Q、どの国の方が多く訪れますか。
A、欧米、中国、ベトナムの方が、(外国人全体の)2割ずついらっしゃいますね。ベトナムの方は増加傾向にあります。また、アフリカの方が弱1割程訪れています。
Q、インバウンド対策を教えてください。
A、外国人観光客に対し、政府のゲートウェイ政策を利用した、パッケージツアーや期間限定のバスのキャンペーンを格安航空会社と提携して行っています。ベトナムの方が多く来ているのは、東北地方へはベトナムからの直通便が来ていることが理由の一つだと思います。
英語の言語対応はもちろん行なっていますが、他にも中国語(広東語、上海語、北京語、台湾語)、ベトナム語、イタリア語の言葉を使ったおもてなしもしています。また、アメリカの方や、ガーナ、アフリカ出身の方を雇い、日本人が困難な対応も容易にできる環境をつくっています。
Q、今後はどのようなことをしようと考えていますか。
A、インバウンド対策と言っても、全ての国に重点を置き、パッケージツアーなどを行うことは難しいので、アジア圏に重きをおき、空港会社と提携して、外国人観光客を誘致していきたいと思っています。

guraf
出典元:日本政府観光局(JNTO)