地域の気候の特色を考えて、気候にあった素材を使う
詳しい説明
日本列島は南北に長く、地域によって気温や降水量、湿度、風の強さなどの気候条件が大きく異なります。そのため、建物や設備づくりでは、それぞれの地域が持つ気候の特色に適した素材を選ぶことがとても重要です。
例えば、多雨地域では耐水性の高い素材、寒冷地では断熱性に優れた素材、強風の吹きやすい地域では耐風性のある素材を用いるなど、土地に合わせた工夫によって安全性と耐久性を高めることができます。
考えに至った経緯
これまで私たちは、主に再生可能エネルギーの活用に重点を置いて住宅設計を考えてきました。しかし、田辺先生に取材をさせていただく中で、住宅を建てる場所によって気候条件が大きく異なるため、地域ごとの気候に応じた設計が不可欠であるという新たな視点に気づきました。
そこで私たちは、下の図のように日本をいくつかの地域に分け、それぞれの地域の気候の特徴を整理しました。そして、その特色に応じて、どのような建材や設計の工夫が適しているかを具体的に考えることにしました。
私たちが考えた地域ごとの気候と建築
①北海道地方の気候
北海道地方の気候の特徴として以下のことが挙げられます。
・日本で唯一冷帯に属している→1年を通して気温が低い
・梅雨がない
・冷たい親潮の影響で夏は濃霧が発生する
以上の3つの気候の特徴から、断熱材の使用や二重窓の採用によって外気の冷たさを遮断し、室内の熱を逃がさない工夫が重要だと考えました。しかし、これらはすでに多くの北海道の住宅で取り入れられているため、私たちはもう1つ新たな提案をしたいと思います。それは、ロードヒーティングにも使われる電熱線を屋根に設置し、積もった雪を溶かしてその雪解け水を活用し、水力発電を行う仕組みです。「家庭に水力発電を取り入れる」では雨水を貯めて水力発電を行う案を示しましたが、その応用として雪解け水も同様に利用できるのではないかと考えました。
②日本海側の気候
夏はフェーン現象により気温が急上昇する、湿気が多く蒸し暑い、局地的な大雨が発生しやすい、日照時間が短め
冬は北西からの季節風により降水量が多いため雪が多く降る、風が強い、日照時間が短い
という理由から、断熱材の使用や二重窓を用いることで冬は外気の寒さを防ぎ、暖房効率を上げることが重要だと思います。しかしこれだけでは気候の特徴を活かしきれていないと考えました。
そこで私たちは、風力発電機を設置して、そこで作られた電気を蓄電池システムを導入し貯蓄することで、冬は供給が不足しがちな電力を補い、夏は消費しがちな電力の一部を補うことで電気代の削減につながると考えました。
しかしこれらのデメリットとして、設置費用がかかることや、メンテナンス費がかかることが挙げられます。雪が激しく降る中で風力発電機を設置するとなると、雪や氷によってブレード(羽)が回らなくなってしまったり、雪の重さにより機材に負担がかかることが主な問題点ですが、ブレードの素材や形状を工夫することで雪がつくことを防ぎ、さらに自動解氷システムを用いると付着した雪や氷を自動で溶かしてくれるため、雪や氷による性能低下を防ぐことができます。
また、北海道で挙げさせていただいた雪解け水を活用し水力発電をすることも可能だと考えました。
③太平洋側の気候
太平洋側の気候の特徴として以下のことが挙げられます。
・黒潮の影響で比較的温暖
・夏は高温多湿で雨が多く、台風の影響を受けることもある。また、都市部のヒートアイランド現象によりムシっとした暑さが続くのも問題である
・冬は乾燥して晴れの日が多い
これらの特徴から、太陽光発電をするため屋根にソーラーパネルを設置し、さらに蓄電池を用いることで、昼間に作り出した電気を蓄電して夜間に使用することが考えられます。また蓄電をしておくことで災害時にも使うことができて、地震や台風など災害が多い日本にはもってこいのアイテムです。
また、北海道や日本海側のように断熱材を厚くし、窓を二重窓や樹脂サッシにすることは、夏は外の熱気が入りにくく冷房効率が良い、冬は室内の暖かさが逃げず、暖房が少なくてすむなどメリットがあります。
さらに、暑い夏を乗り越えるために、屋根や外壁に遮熱塗料を塗ることも提案します。これをすることで、太陽光の光を反射するため、屋根裏温度が10〜20℃下がることもあり上層階の暑さがかなり軽減されることが考えられます。また冬は室温に深く影響しないため手軽に挑戦できる工夫であると考えました。
④瀬戸内海の気候
中国山地と四国山地に季節風がぶつかるため降水量が少なく、晴天の日が多く、年間日照時間が長いのが特徴です。
そのため太陽光発電と相性が良い地域だと考えました。太陽光発電はヒートポンプとの組み合わせが最も効率が良いと伺ったので、私たちはこの方法をさらに効率良くさせる方法を考えました。
ヒートポンプ効率向上のため断熱性の高い素材を選びました。
窓にLow-E複層ガラス(ペアガラス)
壁に吹き付け発泡ポリウレタン
屋根に太陽光パネルを乗せるため強度もあるものも考慮しました。
まず、パネル下に通気層を作ることで、太陽光パネルによる屋根面の加熱が直接室内に伝わらないようにします。さらに、ガルバリウム鋼板や陶器瓦を使い強度を上げます。
⑤南西諸島の気候
南西諸島の気候の特徴として以下のことが挙げられます。
・亜熱帯に属している→1年を通して気温と湿度が高い
・台風の接近や上陸が多い
・日差しが強い
以上の3つの気候の特徴から、断熱材や遮熱シートを用いて強い日差しや熱を遮断したり、鉄筋コンクリートによって台風に強い住宅を建てたりすることが重要だと考えました。しかし、これらは日差しの強さや暑さを「避けるべきもの」として扱い、生活との距離を広げてしまう側面もあります。そこで、日差しの強さや暑さを積極的に生活へ役立てる提案として、太陽熱温水器の利用を挙げたいと思います。このWebサイトの作成にあたり太陽光発電について調べる中で、太陽熱温水器の存在を知りました。太陽光を電気に変換して利用するだけでなく、太陽の熱エネルギーを直接使用する方が、エネルギー変換効率を高い状態で保てるのではないかと考えました。具体的には、入浴や料理に使うお湯を沸かす手段として利用することができます。