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海洋ごみ

海洋ごみは、地上で出たペットボトルやビニール袋などプラスチックを主としたごみが風や水に流され、海に流れ込むことで増えていきます。海洋ごみが日本の海岸などに流れ着いたごみの総量は、2014年だけで31~58万トンと言われています。 海洋ごみの影響は大きく、ウミガメが52%、海鳥の90%以上、鯨やイルカの56%がプラスチック片を含む海洋ごみを摂取していたとされています。海洋ごみでもう一つ深刻なのがマイクロプラスチックと呼ばれるプラスチックごみです。マイクロプラスチックとは何なのか見ていきましょう。

マイクロプラスチック

一般的には5mm以下の大きさのプラスチックをマイクロプラスチックといいます。小さなものですが、決して侮ってはいけません。その小ささ故に回収が難しく、解決が困難な問題であると言えます。問題の筆頭は、海洋生物の生態系の破壊です。魚類、甲殻類、貝類やカモメといった海鳥、アザラシなどの海洋哺乳類が海水に混ざったマイクロプラスチックを間違って食べてしまうことです。マイクロプラスチックは消化に適しないため、消化不全や胃潰瘍などを引き起こし、海洋生物を死に至らしめるのです。2015年に磯辺篤彦九州大学教授が行った調査によると、海洋に存在するマイクロプラスチックの個数は日本を含む東アジア海域が群を抜いて多く、172万個/㎢となっています。その数値は実に北太平洋(10万5,100個/㎢)の約27倍、世界の海(6万3,320個/㎢)の約16倍です。

マイクロプラスチックは実は海洋だけで見られるのではありません。風に飛ばされ、陸上にも運ばれてきます。海中だけでなく空気中でもマイクロプラスチック問題が起こっていることを示唆しています。

胃潰瘍(いかいよう)

胃の粘膜がただれ、胃壁が傷ついた状態のことをいい、悪化すると胃に穴が開く恐れがある。

磯辺 篤彦(いそべ あつひこ)

応用力学研究所 附属大気海洋環境研究センターの教授。総合理工学府大気海洋環境システム学専攻 海洋変動力学担当。