IoTの活用事例 ~介護と IoT~
私たちの暮らしている日本では「少子高齢化」は社会問題となっています。
高齢者人口は3514万人、人口に占める割合は27.7%で、前年(27.2%)と比較すると、0.5ポイント増と過去最高となりました。※出典 総務省 統計局調べ/平成29年9月発表)
今後ますます高齢者が増加することが見込まれるなか、介護の人手不足が深刻化しています。そんな介護分野でのIoTの活用についてみていきましょう。
介護の負担軽減、効率化を目的としたIoT
介護ロボット
経済産業省と厚生労働省は「ロボット技術の介護利用における重点分野」を公表しました。(平成24年11月策定、平成26年2月改訂 平成29年10月改訂)※出典 経済産業省/平成29年10月発表)
介護ロボットといっても、その種類や目的はさまざまで、経済産業省と厚生労働省は「ロボット技術の介護利用における重点分野」を定め、移乗介助や排泄支援など5つの重点分野8項目を指定しています。(※ 平成29年10月の改訂により、6分野13項目に変更されました。)その中でもマーカーを引いた箇所では、介護ロボットとIoT技術が融合されていることがわかります。
具体的項目 | 特徴 |
移乗介助機器 |
・介助者が装着して使うことで腰の負担を軽減 ・介助者が1人で着脱可能 ・ベッド、車いす、便器の間の移乗に用いることができる |
移乗介助機器 (非装着型) |
・介助者が1人で使用することができる ・ベッドと車いすの間の移乗用 ・移乗に当たって介助者の力の全部または一部のパワーアシストを行う ・機器据え付けのための住宅等への工事不要 ・つり下げ式移動用リフトは除く |
移動支援機器 (屋外型) |
・手押し車型 ・高齢者が自らの足で歩行することを支援する ・荷物を載せて移動できる ・モーター等で移動をアシスト ・4つ以上の車輪を有する など |
移動支援機器 (屋内型) |
・トイレへの往復やトイレ内での姿勢保持を支援・要介護者のみ、若しくは1人の介助者のサポートで使用できる ・椅子からの立ち上がるやベッドからの立ち上がりを主にサポート など |
排泄支援機器 | ・居室で便座に腰掛けて用いる便器 ・排泄物の臭いの拡散を防ぐため排泄物を室内へ流す、または密閉して隔離する ・室内での設置入りが調節できる |
見守り支援機器 (介護施設型) |
・センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を使用 ・複数の要介護者を同時にも守ることができる ・昼夜問わず使用できる ・要介護者が自発的に助けを求める行動情報だけに依存しない ・ベッドからの離床を検知し通報できる |
見守り支援機器 (在宅介護型) |
・センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を使用 ・複数の部屋を同時に見守りができる ・暗室や浴室でも使用できる ・要介護者が転倒したことを検知し通報できる など |
入浴支援機器 | ・浴槽に出入りする際の一連の動作をサポート ・要介護者のみ、若しくは1人の介助者のサポートで使用できる ・介助者が1人で取り外しができ、特別な工事なしに設置できる |
介護業界で人員不足が深刻化する中、家族や職員の負担軽減や効率化を目的に介護ロボットを普及させようという試みが国内ではじまっているのです。
高齢者と家族をつなぐ「みまもり」型 IoT事例
介護ロボットのように直接介護の負担を軽減するタイプのIoT事例の他にも、 離れて暮らす一人暮らしのお年寄りの生活を見守るタイプのIoT製品もあります。
「みまもりホットライン」
みなさん、みまもりほっとライン というポットを聞いたことがありますか?
これは、今から14年前の2001年3月発売され IoT家電 IoT介護商品 の先駆けとなりました。私も小学生のころテレビの介護の特集の番組で見て、すごいなぁと思った記憶があります。
この商品は、無線通信機を内蔵した「電気ポット」を、毎日使うだけで、離れて暮らす家族の生活を見守ることができる「安否確認サービス」です。
「電気ポット」の使用状況を、見守る家族の携帯電話やパソコンにEメールで知らせるほか、ホームページの契約者専用ページで1週間のポット使用状況をグラフで見ることができます。
海外における高齢者ケア商品
海外でも今後増え続ける高齢者のケアを支える商品が多く商品化されています。
◆「Live!y」 これは、アップルウォッチのような見た目の時計で、使用者は腕にはめておくだけでいいものです。使用者が何かあったときにこの時計についているボタンを押すだけでオペレーターと連絡を取り合うことができるという大変便利な道具です。この時計には、他にも服薬リマインダー機能や万歩計機能がついていて、今後は転倒検知機能が搭載される予定です。
さらにこの時計は、アクティビティセンサーとの連携が可能で、冷蔵庫やトイレのドアといった生活しているうえで頻繁に使うものに付けておき、使用者の行動パターンのデータを蓄積することで、異変が生じた場合に家族に対して連絡、通知を送ることも可能です。
◆Onköl これは家に置いておく機械ですが、北欧風のオシャレな作りになっており、インテリアとして置いても違和感は出ません。機能としては、主に薬の服用をリマインドしてくれ、家族に対して服用したという情報を送るというものです。また、使用者の血圧や血糖値、心拍数や体重といった情報を家族間で共有することも可能です。さらに、Live!yと同様に何か異変が起こった際にはリストバンドを押すだけで家族を呼び出すことが可能です。
両製品ともインターネットを経由するため、離れて暮らしている家族への負担の軽減につながります。このような仕組みが今後の「超高齢化社会」に役立っていくことでしょう。
私たちの考える介護とIoTの今後
こうやってみると、介護の分野ではさまざまな取り組みがすでに始まっているんだね
高齢化が進んでいるにもかかわらず、介護スタッフの不足や、介護による家族の疲弊を取り上げているニュースはよくみるよね。
介護ロボットの実用化が早くすすむといいけど、コスト面などの問題もあるから、低コストで多く普及することが望まれるね。
介護ロボットの事例が少ないから安全面や操作面などの心配もあるだろうね。
利用者の利便性を考え、コストをおさえ、操作が難しくなく、省スペースの小型のロボットができるといいね。
・「高齢者の介護問題」の現場でもIoTの技術が注目されていることがよくわかった。
・ただちに介護を必要とする状況ではない一人暮らしのお年寄りを「見守る」タイプのIoT製品も数多く製品化されていた。
・IoT製品や、今後一般的に普及していくであろう介護ロボットなどを上手に取り入れ、介護する側、される側、双方の負担を軽減する製品の開発が進むことを願う。