中学卒業まであと1年しかないのに、今まで習ったことない社会や理科とかまでやらなきゃいけないの? どうすればいいかわからないよ
Today現状はどうなっているの?
- 東京都の公立中学校外国人児童生徒在籍率が44.7%なのに対し、 公立高等学校外国人児童生徒在籍率はわずかに19.0%。 そもそも正確な統計が行われたことがなく、実態を把握することが難しい。 (ベネッセ教育総合研究所「「外国にルーツを持つ子どもたちが直面する就学問題」フォーラム多文化共生センター東京編【前編】」 より)
- 首都圏においては小学校高学年以上、中学校以上で来日するケースが増えていて来日1・2年で高校受験を迎えなければならない。 そのわずか1・2年で日本語も教科学習も習得し、日本語による入試問題を解けるようにならなければならない。
- 専門性の高い理科や社会の勉強まで手が回らないため、ほとんどの子どもたちが三教科入試を選ぶが、 東京都内の公立高校で三教科を実施している高校はどんどん減っていて、平成28年度にはすべての公立高校が五教科入試へ移行することを東京都教育委員会が発表した。
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外国人生徒に対する入試の対応が自治体によって大きく異なり、都道府県教育委員会によって入試時の配慮である「措置」や特別な入学の「枠」、受験資格までもが全国統一でない。
この自治体によって大きく異なる状況のため外国人生徒の進路も大きく左右されてしまう。
また、特別枠の受験資格の条件を満たせず他の日本の学生たちと同じ基準で受験をしなければならない子もいる。
たとえば
- 東京では面接と作文で受験できる枠を全171校のうち8校設けている
- 作文の入試は大阪府だと日本語以外でも可だが、東京は日本語か英語のみ ( 同声・同気 中国帰国者支援・交流センター「2019年調査 都道府県立高校(市立高校の一部を含む)の外国人生徒及び中国帰国生徒等への2020年度高校入試特別措置等について」 より)
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高校受験するには受験資格を得る必要があるが、その資格を得る方法が複雑。
海外と日本で義務教育の年齢が違うために、日本の中学校卒業年齢を過ぎていても高校受験資格が認められず、夜間学校(夜間学級)に通う必要がある生徒もいる。
その場合、受験資格を得るだけで2年かかってしまうため、その後の大学進学や就職活動において不利になることもある。
また、多くの場合出身国での成績証明書の提出を求められるが、海外のものは日本と記載内容が違ったり発行してもらうこと自体が不可能に近い場合もある。
(画像をタップするとポップアップで表示します) -
日本の高校入試のシステムを本人だけでなく、保護者ですら知らないことがある。
何をしていいか分からず、その結果「高校へ行かなくてもいい」と思ってしまう保護者もいる。
同郷出身者、あるいは日本人支援者(または中学校の先生)による不正確な情報や進路支援に振り回され、親子で疲弊しているケースもある。
(
田中宝紀「外国籍受験生に関わる2016年都立高校入試の変更点3つ」
NPO法人青少年自立援助センター/YSCグローバル・スクール/田中宝紀 (IKI TANAKA), 2016年1月7日
より)
何も知らなかったから。だれも私達も。(中略)
本当はもしかしたら、先生達(支援者ら)と出会わなかったら、 そこまで行かないかもしれない。あと、もし学校か誰か頼る人なかったら行かない。 だって、自分の周り、そういう友達もないじゃん。
( 田口香奈恵(2019)『ある外国にルーツを持つ子どもへの高校受験支援の事例研究 ─地域・家庭・学校との連携を目指して─』p.8(東海大学国際教育センター) より) - 入っても内容が高度化、専門化するため学校を退学してしまう子も少なくない。 特別措置があったり、定員割れのために入学できたりなど入学はできてもそこからの支援がなされない学校も多い。 2016年度の全国の公立高校生の中退率は1.27%のなか、日本語指導が必要な公立高校生はその7倍以上の9.61%で、その数は約10人に1人に相当する状態。 ( 田中宝紀「海外ルーツ日本語指導必要な高校生、中退率平均の7倍超えるー文部科学省が対策へ」Yahoo!ニュース,2018年10月3日 より)
Solutionどういう解決策があるの?
出口を見据えたキャリア教育をする
一つ目の解決策としてはもちろん、外国にルーツを持つ子どもたちにもキャリア教育を行っていくことが必要だ。
別ページでも述べたように外国にルーツを持つ子どもたちへの学習支援や交流の場を提供してきたのはNPO団体などだったが、
文部科学省もこの実態を踏まえ平成31年度概算要求に関連施策として、新規事業「外国人高校生等に対するキャリア教育等の充実」(2億円)を盛り込んだ。
NPO等など約10団体程度に対して、企業やボランティアなど地域関係団体との連携の下、中退予防や進路保障の観点から包括的な支援を行う取組をサポートするとのこと。
外国人生徒と保護者に正しい情報を提供する
また、前述のように受験勉強のスタートラインにすら立てない子も少なくない。
そもそも高校進学に何の意味があるのかわからなくなってしまったり、入試で進学する学校が決まることを知らなかったり…。
高校受験をしようと決めても何をすればいいのか全く分からない場合もある。
そこで必要なのは高校入試に関する正しい情報提供だ。
なるべく早く教科の勉強を再開するために、来日してすぐに日本語の勉強を始めることが望ましい。
実際に多言語で高校の進学説明会を行っている自治体もいくつかあるようだ。
Opinion私たちの意見
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入試について誰に相談していいのかもわからないし、 先生から言われたことをそのまま信じていいのかもわからない。