5Gの技術

そもそも、5GのGとはgeneration(世代)のことで、通信の規格を策定する機関が通信技術の発展にあわせ設定した新たな通信の世代を5Gといいます。4Gでは LTE LTE スマホや携帯電話用の無線通信の通信規格です。 LTE-Advanced LTE-Advanced スマホや携帯電話用の無線通信の通信規格です。 のように通信規格を表しましたが、5GではNRという通信規格が設定されました。ここでは、NRという通信の規格を実現させた、キャリア・アグリゲーション 周波数帯域 周波数帯域 電波の周波数の範囲のことを周波数帯域と言います。 の拡張ビームフォーミングMassive MIMOの4つの技術と5Gの今後について紹介していきます。

NR(New Radio)とは?

5Gでは4Gの LTE LTE スマホや携帯電話用の無線通信の通信規格です。 に代わる新たな通信規格のことをNew Radioといいます。NRは超高速超低遅延超同時接続が特徴です。

4G LTE-Advanced LTE-Advanced スマホや携帯電話用の無線通信の通信規格です。 では、4G LTE LTE スマホや携帯電話用の無線通信の通信規格です。 で利用していた最大20MHzの 周波数帯域幅 周波数帯域 電波の周波数の範囲のことを周波数帯域と言います。 を最大5つ合わせ、最大で100MHzの幅で送信する技術によって高速なデータ通信が実現されていましたが、5G NRではより広い幅の最大で400MHzの 周波数帯域幅 周波数帯域 電波の周波数の範囲のことを周波数帯域と言います。 を使用できるようになっています。この技術をキャリア・アグリゲーションと言います。1度に送る周波数の幅が広がることで1度に多くの情報が送れるようになります。そのため、5Gではこの周波数の帯域幅の拡張によって4Gの時以上の大容量通信が可能になりました。

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5Gで利用が想定される周波数

5Gで使用する 周波数帯域 周波数帯域 電波の周波数の範囲のことを周波数帯域と言います。 は大きく分けて2つの範囲に分けられています。1つは4G LTE LTE スマホや携帯電話用の無線通信の通信規格です。 以前から使用されてきた6GHz以下の Sub6帯 Sub-6 6GHz未満の周波数の電波の総称。 と呼ばれる帯域の周波数です。もう1つは周波数が非常に高いため、通信可能な領域が狭いものの、使える 周波数帯域 周波数帯域 電波の周波数の範囲のことを周波数帯域と言います。 が広い30GHzから上の ミリ波 ミリ波 30~300GHzの周波数の電波のこと。 を含む帯域です。4Gの時に比べて利用できる周波数が多くなったことで、1度に多くの 周波数帯域 周波数帯域 電波の周波数の範囲のことを周波数帯域と言います。 を利用して、大容量をいっぺんに送れるようになりました。日本国内では、2020年11月現在、5G向けの周波数として3.7GHz帯と4.5GHz帯と ミリ波帯 ミリ波 30~300GHzの周波数の電波のこと。 の28GHz帯が割り当てられています。4Gと5Gの使用周波数は以下の図のようになっています。

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ビームフォーミング

通常の無線通信ではアンテナを中心として様々な方向へ同じ出力の電波を発信していました。そのため、近くの機器との干渉が発生することがありました。対して、ビームフォーミング技術では複数のアンテナから同じ電波を発信して、それぞれの位相と電力強度を調整することによって、特定方向では波を強め、別方向では波を弱めるという制御をして、指向性のない電波がまるで指向性があるかのようにある一方向にだけに集中して電波を送ることができます。この技術に、通信相手の端末の位置を認識し、それを追尾する技術を足すことで常に強い電波を飛ばすことを可能にし、通信が安定するようになります。(ちなみに、2020年11月現在、主流となっている Wi-Fi規格 Wi-Fi 固定回線を有線接続できない機器に対して無線で接続するために作られた通信規格。 のWi-Fi5とWi-Fi6ではすでにこれに対応しています。)

5G NRでは4G LTE LTE スマホや携帯電話用の無線通信の通信規格です。 で一般的に利用されていた3.5GHz帯までの 周波数帯 周波数帯域 電波の周波数の範囲のことを周波数帯域と言います。 よりも高い 周波数帯 周波数帯域 電波の周波数の範囲のことを周波数帯域と言います。 の利用も見込まれています。高周波数帯を使用する場合はアンテナ1つでカバーできるエリアが狭まります。そのため、数多くのアンテナを並べることが必要になるため、高い周波数を使う5Gではビームフォーミング技術が注目されているのです。

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Massive MIMO(マッシブマイモ)

5Gで使う高い 周波数帯 周波数帯域 電波の周波数の範囲のことを周波数帯域と言います。 では、電波の届く距離が短くなり、従来のアンテナでは、受信側での信号強度が弱くなるために、通信エリアが狭くなるという課題がありました。そこで、技術者たちはMassive MIMOのアンテナでビームフォーミング技術を適用することで電波の届く範囲の損失分を補おうと考えました。Massive MIMOは、「大規模な」数のアンテナ(数10本から1000本)を使って、高度なビームフォーミング技術を実現し、端末ごとに専用の電波を割り当てることで、通信速度が遅くなりがちな、人の多く集まる場所でも快適な通信を実現します。多くのアンテナを使うと設備が大規模になってしまうと思われがちですが、30GHzを超える周波数の電波は 波長 波長 波一つ分の長さのこと。周波数と反比例する。 が1cm未満であり、必要なアンテナの長さも5mm以下で済むため数100本のアンテナであっても数10センチ四方のボックスに収めることができます。このことから、 ミリ波 ミリ波 30~300GHzの周波数の電波のこと。 の届かないショッピングモールや駅構内などの室内施設では、壁や床に ミリ波 ミリ波 30~300GHzの周波数の電波のこと。 のアンテナ素子を埋め込むことで通信環境の改善を図ろうという計画もあります。

そもそもMIMOとは、複数での入出力を意味するMulti Input Multi Outputの略称で複数のアンテナでデータの送受信を行う技術です。現在主流となっている LTE-Advanced LTE-Advanced スマホや携帯電話用の無線通信の通信規格です。 Wi-Fi Wi-Fi 固定回線を有線接続できない機器に対して無線で接続するために作られた通信規格。 の規格でも採用されるデータ通信を高速化する重要な技術の1つとなっています。例えば送信側と受信側でそれぞれ2本のアンテナを使用する仕組みのことを2×2 MIMO、4本使うものを4×4 MIMOといいます。これらは LTE LTE スマホや携帯電話用の無線通信の通信規格です。 で使用されており、 LTE-Advanced LTE-Advanced スマホや携帯電話用の無線通信の通信規格です。 では8×8 MIMOという規格が用いられています。Massive MIMOでは数100個以上のアンテナを使用することを考えると、どれだけ5Gの技術が革新的なのかが分かると思います。

今後の展望

▪ ノンスタンドアローン(NSA)とスタンドアローン(SA)

5G初期段階の2020年11月現在は、ノンスタンドアローン(NSA)と呼ばれる、5G NRと4G LTE-Advanced LTE-Advanced スマホや携帯電話用の無線通信の通信規格です。 を連携して動作させるネットワークの構成が主流となります。NSAでは、制御信号を4G LTE-Advanced LTE-Advanced スマホや携帯電話用の無線通信の通信規格です。 を用いて送るため、5Gの超高速通信以外の長所を実現することができません。しかし、NRで使用する ミリ波 ミリ波 30~300GHzの周波数の電波のこと。 は通信をカバーする範囲が狭いため、4Gの通信を一部使用することで広い範囲で5Gを使用できるようになります。また、NR対応の 基地局 基地局 インターネットなどのデータを電波に変換してスマホなどに送信するための施設。 を全国に建てるには時間とコストがかかるため、NSAは4Gで利用した 基地局 基地局 インターネットなどのデータを電波に変換してスマホなどに送信するための施設。 を流用することでそれらの問題を回避することができます。

5Gの普及が進むと、スタンドアローン(SA)と呼ばれる、 基地局 基地局 インターネットなどのデータを電波に変換してスマホなどに送信するための施設。 はすべて5Gに対応したものを利用し、4Gの技術に頼らない方式へとシフトしていきます。2020年11月現在、携帯キャリア大手3社は2021年度中にSA方式への切り替え開始を計画しています。SA方式へ完全移行した段階で、5Gの真価を発揮するでしょう。

まとめ

難しい言葉ばかりで読むのに疲れたでしょうか。簡単にまとめると、5Gは既存の技術を応用し、大規模化することで大容量通信と低遅延を可能にした通信世代のことです。どこにいても5Gを体験できる時が来るのが楽しみですね。