国内での事故の具体例
インフラの老朽化が注目される背景には、実際に起きてしまった事故事例があります。
起きてしまった事故から学び、教訓にしていくため次に過去に起きてしまった事故事例を紹介していこうと思います。
事例1【笹子トンネル天井板落下事故】
時期:2012年12月上旬
場所:山梨県大月市笹子トンネル
概要:山梨県大月市の中央自動車道上り線の笹子トンネルにて天井板
のコンクリート板が約130メートルにわたり落下し走行中の車複数台が巻き込まれて9名が死亡という事態に陥りました。
笹子トンネルを建設した会社による会見では、「天井板を吊るしていたボルトが抜けてしまってこのような事故が起きてしまった。」といった説明がありました。
また、トンネル開通以降40年間、天井板を固定するボルトや金具の定期交換や補修は行われていなかったという記録も確認されました。
道路法の改正
この事故から約一年半後の2014年7月、道路法の改正により、道路管理者は全ての橋やトンネルにおいて5年に一度、近接目視にて の点検が義務付けられました。また点検結果とした健全性を4段階に診断することになりました。また2019年の2月には、定期点検の要領が通知されました。この要領には定期点検の質を確保しつつ、実施内容を合理化するという旨が含まれていました。
事例2【大阪市内・天井ボード連続落下事故】
時期:2021年5~7月
場所:大阪市内の公立学校
概要:2021年、5月24日瓜破小学校で、面積およそ4平方メートル、重さ2.6キロの石膏ボードが落ちてくるという事故が発生しました。 始業前だったため十数人が既に登校していましたが、怪我人は出ませんでした。 約1月後である7月5日には、住吉支援学校・高等部の教室にて、重さ約2キロの天井板が落下するという事故が起こりました。 更に同日、市立天野中学校のプール更衣室でも重さ5キロのコンクリート片が落下し、着替えをしていた男子生徒が頭部に軽傷を負うという事故が起こりました。 市の教育委員会によると事故が発生した学校施設はいずれも築40年以上が経過していて雨漏りや鉄筋の錆付きなどの老朽化が すすんでおり、それが今回の事故の原因となったのではないかという見解を示しました。
事例3【和歌山市・水管橋崩落事故】
時期:2021年10月
場所:和歌山市
概要:2021年10月3日に紀の川に架かる六十谷水道管が崩落しました。
それにより、約13万8000人が一週間近く断水生活を送ることとなりました。
崩落の原因については、鳥の糞害や塩害などの複数の要因で腐食が進んだと結論付けられました。
人口減少問題や財政難により点検に人員や予算を割けなくなってきています。
そのため、点検に架かるコストを抑えつつ安全を保てる管理方法を模索していく必要があるのではないでしょうか。