ワクチン







ワクチンの歴史


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1796年
 エドワードジェンナーが天然痘に対するワクチンを発明 「ある特定の病気にかかったことのある人は天然痘にはかからない」という言い伝えに着目した。
1885年
 ルイパスツールが狂犬病に対する最初のワクチンを開発し狂犬病患者の治療に成功 1度発症すると助かる確率がほとんどない狂犬病に対し、その感染と発症を予防するワクチンを開発した。
1929-1930年
 リューベック事件 誤ってワクチンではなく病原体を乳児に接種してしまい、死亡者を出した。このことからワクチンの管理の重要性がわかる。
1948年(日本)
 予防接種が始まる 公費負担での予防接種を実施し、国民に義務付けて予防接種を推進した結果、感染症の流行はおさまった。
1976年
 予防接種法の改正 定期接種の予防接種が義務ではなくなり、予防接種を受ける・受けないの判断を各自でできるようになり、個人の意思決定が尊重されるようになった。その一方で接種に関する正しい情報の欠如により、接種率低下や病気の再流行にもつながった。
1980年
 WHOから天然痘の根絶宣言が出される ワクチンの接種率を高めるだけでなく、天然痘患者を見つけ出して患者やその周囲の人に接種を行うことで根絶した。地球上で根絶できた唯一の感染症であり、1980年の根絶宣言以後、天然痘の患者の発生はない。
2003年
 重症急性呼吸器症候群(SARS)発生 SARSコロナウイルスによる、インフルエンザにのような症状を発症する感染症で、世界的な流行が起こった。実用化されたワクチンはまだない。
2012年
 中東呼吸器症候群(MERS)発生 重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすウイルスとは別の新しい種類のコロナウイルスで、さまざまな症状を引き起こす。主に中東で流行した。まだMRESのワクチンはない。
2019年
 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)発生 中国武漢市で発見され、その後全世界で流行した。 アメリカやイギリスを中心にさまざまな種類のワクチンが開発され、その一部は厚生労働省で製造販売が認められて日本でも接種が行われた。副作用はワクチンの種類によって異なる。一時期よりは減少したものの、現在でも新型コロナウイルスは勢力をふるっている。


日本のワクチンの歴史


1938年 BCG接種開始
1948年 予防接種法制定
1951年 結核予防法の制定
1962年 インフルエンザワクチン特別対策(集団接種)
1964年 ポリオ生ワクチン定期接種
1965年 日本脳炎ワクチン開始
1966年 麻疹ワクチン開始
1968年 DPTワクチン定期接種
1975年 DPTワクチン接理の一時中止(3か月後に再開するが接種率が激減)
1976年 健康被害救済制度開始
1978年 麻疹定期接種開始
1986年 BN肝炎母子感染防止事業開始
1987年 インフルエンザワクチンの接種率の著減
1989年 MMRワクチンの導入
1992年 「予防接種ワクチン橋集間所」東京高裁判決
1993年 MMRワクチン中止
1994年 予防接種法改正(定期接種8種期)     
義務から努力接種、集団から個別接種、予診の強化
1998年 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」制定
2001年 予防接種法改正
2002年 結核予防法施行令改正
2005年 日本脳炎ワクチンの積極的接種推奨の中止    
  MRワクチンの3期、4期の接種開始
2013年 予防接種法改正(定期接種12種類)


日本でワクチンの接種が広まったのにはどのような経緯がありますか。


終戦直後の日本では、感染症のまん延や死亡率の高さが問題となっていました。
そこで1948年に予防接種法が制定され、天然痘や百日咳、腸チフスなど12の疾病を対象に、市区町村が主体となって公費負担で予防接種を実施する体制が整えられました。
また予防接種は国民の義務とされていました。こうした強力な予防接種の推進の結果、日本でワクチン接種が広まりました。



当時は「義務」となっていたワクチン接種が,現在のように個人で接種を受けるかどうか判断できるようになったのにはどのような背景がありますか。


1960年代半ばから、ワクチンの副作用などによる健康被害が社会問題化し国民の不安が増大したことから、感染症の患者数もかなり減少していたこともあり、1994年に予防接種法が改正され、ワクチン接種が「義務」から「勧奨」(接種は義務ではなく推奨)に緩和されました。



日本のワクチン接種体制は、他の先進国と比べてどのような問題点がありますか。


日本は「ワクチンギャップ」という問題点を抱えています。これは、諸外国と比べ日本国内で流通しているワクチンが少ない状況を示す言葉です。海外ではすでに導入されているワクチンで、日本では副作用が問題視され承認がおりていない、というものも数多くあります。実際に最近のことを例に挙げると、2019年に発見され感染が拡大したコロナウイルスに対するワクチンです。イギリスやアメリカでは2020年12月には接種が開始されていたのに対し、日本では接種開始時期が2021年2月と、世界の中でも大きく遅れをとりました。



「ワクチンギャップ」はどうしてなくならないのですか。


これには、国内のワクチン開発体制と、日本と海外のワクチンの承認制度の違いに問題があります。 まず、国内産ワクチンの開発については、世界と比べると日本企業は競争力が弱いことが課題となっています。欧米などでは国をあげてワクチン開発への資金援助がされてきた一方、日本では予算が削減されており、開発にはさまざまな研究や臨床実験に多額の費用がかかってしまう手前、どうしても開発力に差が出てしまう社会構造になってしまっているのです。 次に、ワクチン承認制度についてです。ワクチンの予防効果の有無よりも、ごく僅かな確率で起こるワクチンによる後遺症や死亡事例がマスコミ等で大きく取り上げられ、なかなかワクチンの重要性が認知されませんでした。したがって、ワクチンの安全性について慎重になり過ぎており、絶対に安全でなければ新しいワクチンを承認しづらくなってしまったのです。



「ワクチンギャップ」といった問題を改善していくにはどのような課題がありますか。


一般市民や、子どもへの接種を考える立場にある保護者がワクチンについて正しい知識を持てるように、理解しやすい方法で情報提供を続けていくことや、新たなワクチンの開発を進めていくことが重要です。マスコミ等も、被害ばかりを取り上げるのではなく、国民のワクチンへの理解や意識を高める報道もしてほしいですね。この問題は、医療者や国の行政に任せておくだけでは解決できず、高校生も含む国民が主体的に情報を入手し、ワクチンの重要性を理解していく必要があると思います。


ワクチンとは

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