6.宇宙ひもC

宇宙ひもによる角度欠損の部分は、時空が切り取られたような構造だが、近くを飛ぶロケットにとっては連続的な空間なので変わったことは起こらなく、単に飛行距離が短くなったと感じるだけです。

図のように、星から星へのたびを考えてみます。


本来は、ABを結ぶ直線経路が最短であるが、宇宙ひもがあればその近くを通る経路1が最短経路になることもあり得えます。
Aから経路1を飛んだロケットがBに着いて、直線経路方向にAを振り返ると、まだAにいて出発していない自分の姿を見るかもしれないが、このような状況では、単に遅く届いた光を見ているだけで、過去への旅とはいえないでしょう。
実際には経路1を通る光が同時刻の基準になり、星Aから見ればロケットは時間をかけてBにたどり着いていることになります。

そこで、ゴットは、宇宙ひもが周りの時空を引っ張りながらロケットの進行方向に対して逆向きに光速で運動している状況を考えました。
宇宙ひもの近くにいる観測者の時間は進まない、だからAが宇宙ひもの運動とともに後ろ向きに去っていくときにロケットで出発すれば、A上の時計が進まない間にロケットは角度欠損を利用して星Bにたどり着きます。
今度は逆向きの宇宙ひもがあって、星Aがそのひもとともに光速で戻ってくるような状況があれば、再びロケットはBからAに角度欠損を利用してたどり着きます。
ロケットはAからBを往復して旅してきているのに、時間が進まない空間にいた星Aの人に出会うことになります。
つまり、出発した直後の自分に声をかけることができるということです。


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