実験で楽しくなる力学教室
Chapter 1
力学を学ぶ前に
「力」って何?
力の表し方
力の合成・分解
力の成分
アイザック・ニュートン
重さと質量(1)
重さと質量(2)
重さと質量(3)
単位系の話
慣性の法則
作用反作用の法則
Chapter 2
Chapter 3
1-2. 「力」って何?
まずそれでは、そもそも力学ってなんだろう?
先生、「物理学」って言葉もよく聞くんだけど、「物理学」と「力学」って何が違うの? わたしには同じ意味に聞こえるんだけど……。
わかった。じゃあ、まずそこから説明しよう。そもそも理科というのは、大きく4つに分けられるんだ。
一つが薬品の成り立ちや反応を調べる『
化学
』、一つが天体や岩石を調べる『
地学
』、 さらに、生き物全般を調べる『
生物
』、そして『
物理学
』。
あれれ? 理科は一分野と二分野に分かれるんじゃないんですか?
それは理科を大きく二つに分けたもの。それをもっと詳しく分けてみるとこの4つになるんだ。 これは高校に入ったらそれぞれ別に学ぶんだよ。
何だか、たくさんあって大変そうですね……。
さて、
物理学
は、
電気や磁石
の性質を調べたり、
音や波
の性質を調べたり、というようにさらに細かく分けられるんだ。
その一つに、
「物体が力を受けるとどうなるか」
という関係を調べる
力学
がある。
つまり、力学というのは、『物理学』の分野の一つってことですね。
そういうこと。
これからみんなが学ぶ力学というのは、簡単に言うと
『物が力を受けるとどういった変化がおこるのか?』ということを考える学問
なんだ。
そっかぁ。でも、物体に力を加えた側はどうなるの?
そのことはしばらく後になってから説明するとしよう。
今は混乱するから、とりあえず分けて考えてみてね。
わかりました。
さて……、『力』という言葉は、日常の中では『花光君は力がある』といった使い方もすることがあるけれど、物理学の中では
「物が物を押すとき」
、
「物が物を引っ張るとき」
に働くもののことをいうんだ。
引っ張るときも働くんですね。
もちろん。
さて、これで力学の中でいう『力』という言葉については大丈夫かな?
大丈夫です。
それではまず、「力を受けると物体がどうなるのか」を考えてみよう。
では、次のような力を受けるとき、物体はどうなるだろうか?
(1)机の上に置いた消しゴムを指で下に押すと?
(2)椅子を押すと?
(3)動いている椅子を横から押すと?
(1)は、へこむよね?
(2)は簡単です。押すと動きます。
そして(3)は、横から押されたら曲がって進むんじゃないかな?
うん、みんな正解。
(1)から、物体は力を受けると変形するんだ、と言えるよね。 そして、(2)(3)をまとめて、力を受けると物体は動いたり、動く向きが変わる、と言うことができる。
はい。
それじゃ、
動いている椅子を止めるとき
にはどうだろう?
これも椅子は人から力を受けている、と言えるんじゃないかな?
人が、動いている椅子に力を与えるから……。
……椅子を止める事ができる。つまり、そういうことですね。
運動
その通り。
ということは、物体は力を受けたとき、運動の仕方が、ゼロ……つまり静止状態か、少しだけ運動しているか、それとも、たくさん動いているか、が変わる。
つまり、『
物体は力を受けると運動の状態が変わる
』ということが言えるね。
それじゃ、これまでのところをまとめてみようか。
物体が力を受けると……
・変形する。
・運動の状態が変わる。
では、物体が力を受けている様子はどうやって表現したらいいだろうか?