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海洋ゴミの原因・理由

 

生分解性プラスチックの基本知識

海洋プラスチックの話題が取り上げられる際には、「生分解性プラスチック」という言葉もよく紹介されますよね。では、「生分解性プラスチック」とは具体的には何のことを指しているのでしょうか。 「生分解性プラスチック」は、通常のプラスチックと同じ耐久性を持ち、使用後は自然界に存在する微生物の働きで最終的に二酸化炭素と水にまで完全に分解されるプラスチックだと言われています。
また生分解性と聞くと、自然環境で分解されていくことを想像するかもしれませんが、そうではない場合もあります。実は、生分解性プラスチックの種類によって性質が異なっているのです。PHBH(ポリヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)、PLA(ポリ乳酸)、 バイオPBS(ポリブチレンサクシネート)などが、代表的な生分解性プラスチックの種類ですが、それぞれ分解することのできる環境が異なっています。
図1にある通り、水環境で分解されるのは、PHBH(ポリヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)などのごく一部に限られています。PLA(ポリ乳酸)はコンポストでの高温多湿な環境では分解されますが、通常の土壌環境や水環境では分解されにくいという特徴があります。また、バイオPBS(ポリブチレンサクシネート)はコンポストならびに土壌環境では分解されたとしても、水環境では分解されにくいのです。したがって、生分解性プラスチック全てが、海の中でも分解されるわけではないことがわかります。「生分解性プラスチックに変えれば海洋プラスチック問題が解決する」と一概に言うことはできないのです。

グリーンプラマーク

高温多湿な環境で処理できる生分解性プラスチックの基準を一定にしていこうという取り組みがあります。それは、JBPA(日本バイオプラスチック協会)が定めている、「グリーンプラマーク」です。グリーンプラマークを表示できる有機化合物は、「紙・樹木等の天然有機物か、あるいは生分解性が国際標準分析法に基づいた生分解速度で60%以上のもの」に限られます。この生分解性速度というのは、コンポスト施設内で、紙や樹木と同じ程度の速さによる分解を受ける、ということを意味しています。
このような動きの背景となっているのは、生分解速度が統一されていない「生分解性プラスチック」の流出です。世の中には、最終的に水と二酸化炭素に分解されないプラスチックも存在します。完全な生分解性プラスチックではないのに、「生分解性プラスチックを使っているんだ。環境に優しい行動をしている。」という消費者の考えが広まってしまうのは問題です。消費者の意識を変えることはもちろん大切ですが、品質が保証された生分解性プラスチックが広がっていくと良いですね。


調査によって見えた課題

1. 生分解性プラスチックは従来のプラスチックを作るよりもコストがかかるため、浸透しにくい
2. 処理やリサイクルに関する法律が具体的に定まっていないため、統一された生分解性プラスチックの生産が難しい
3. 従来のプラスチックと生分解性プラスチックは一緒にリサイクルすると品質が低下してしまうため、分別の方法を新たに考える必要がある

これらの調査内容をもとに私たちが考えた解決策はこちら