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LGBTQ+と中高生

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LGBTQ+の方との接し方

LGBTQ+の中高生の悩み・現状

当事者の中高生における現状を、

の3つの項目で示しました。 ここに書いてあるのは当事者の中高生が抱える悩みや困難、または当事者を巡る現状の一部であることを認識していただけると幸いです。

制服

現在、日本の制服(学生服)は大きく変わりつつあります。以前までは「男子/女子」で制服が異なっていることが多かったですが、現在は性別を選ばないデザインの制服生徒が自由に組み合わせるなどのような多様性に配慮した制服が増えてきています。 例としては、前の合わせを自由に変えられるブレザー、女子のスラックス、スカート・スラックス・ネクタイを自由に組み合わせられる制服などです。
実際に、私たちの学校である神奈川大学附属中・高等学校でも、女子の制服はスカートとスラックスのどちらを着用しても良いことになっており、多様化が進んでいます(図7)。


【図7】
神奈川大学附属中・高等学校の制服。女子はスカートとスラックスの2種類を自由に着用できる。
※チームメンバーが撮影

また、ユーザーからも多様性を求める声が高まっており、カンコー学生工学研究所が2021年に行ったアンケートでは、これからの制服に必要と思われる役割・価値観について「LGBTQへの配慮」「誰にでも似合う」「自分らしさ」といった「多様性」を求める声が多かったです(図8)。

【図8】
出典:カンコー学生工学研究所「学校制服はどうなる?制服の在り方と価値観の変容」

制服がこのような変化を遂げている理由として、LGBTQ+やSDGsなどの意識の高まり生徒自身の価値観や意思を優先する風潮になっていることが挙げられます。
しかし、ジェンダーレスの制服を導入することの課題として、「周囲の目」があります。実際にジェンダーレスの制服を着用することで周囲から性的マイノリティであるという誤解をされたり、自身が性的マイノリティであることを隠しておきたいのに自ら公表しているのと同じ意味であることを恐れて着用できなかったりする人がいます。
毎日着用する制服だからこそ、誰もが心地よく着られるように性的マイノリティの人たちが抱える制服の現状について認識や理解を深めていく必要があります

参考文献

カンコー学生工学研究所
学校制服はどうなる?制服の在り方と価値観の変容
2025.9.21閲覧

Sanwa School Solutions
ジェンダーレス制服とは?特徴や事例・導入時の課題について
2025.9.23閲覧

株式会社トンボ
ジェンダーレス制服
2025.9.23閲覧


学校で困難を抱えることがある場面

学校生活の中で、当事者の生徒は大多数の「男性」や「女性」に当てはまらないことを理由に生活しにくさを感じる場面があります。 例えば、LGBTQ+ではない他の生徒から「おかま」や「レズ」、「ホモ」などとけなされる、仲間外れにされる、仕草・持ち物を馬鹿にされるなどの直接的ないじめを受けてしまうことがあります。
また、学校生活では「異性愛」であることを前提にして授業や友達との会話が行われることが多いため、異性愛を前提としている風潮から生じる言葉(例:「彼氏」「彼女」)に傷ついてしまうこともあります。

ここからは、トランスジェンダーに焦点を当てて話を進めます。
トランスジェンダーの方は、トイレや更衣室、宿泊活動の際の宿泊部屋・入浴などの場面で困難を抱えることがあります。一例として、身体的な性は男性で性自認は女性である人の場合、「本当は女子トイレや女子更衣室を使いたいが、男子トイレや男子更衣室を利用せざるを得ない」ということに強い抵抗を感じることがあります。
対応として、例えばトイレに関しては多目的トイレの設置を行ったり男子トイレも全て個室にしたりといったことなどが挙げられます。 文部科学省が2014年に公表した「学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査について」では、全国の学校の41.4%で「職員用トイレや多目的トイレを使用する」といった配慮が行われているという結果が出ています(図9)。


【図9】
出典:文部科学省「学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査について」
※5ページ「(イ)特別な配慮をしている場合、その具体の項目【複数選択】」のグラフをスクリーンショットし引用

この調査は10年以上前のものなので、2025年現在ではより多くの学校で配慮が進んでいると考えられるでしょう。
また、更衣室に関しては保健室で着替えを行う、宿泊活動の際は入浴時間を他の人とは変える・1人部屋を使用するといった対応が行われるところもあります。
このように、トランスジェンダーの生徒への対応は、学校にもよりますが着実に広まってきています。しかし、他の生徒や教職員、保護者などの周りの人の理解は欠かせません。中高生の皆さんには、ぜひ自分事としてとらえてくださると幸いです。

さらに、教職員の対応によって困難を抱えることもあります。
「日本のLGBTQ+に関する現状」でも述べたように、当事者への配慮を欠いた言動や行動をしてしまう、腫れ物のように扱ってしまう、誤った知識で対応してしまうなどといった教職員の態度が、当事者の困難の原因となってしまうことがあります。
また、異性愛を前提とした学校の指導(例:「LGBTQ+の当事者がクラスにいない」と思わせるような言動、当事者への配慮が欠けた性教育など)により、当事者は肩身が狭い思いをしたり「自分は普通ではない」と思い込んでしまったりすることがあります。
加えて男女でわけることが多い学校の活動が、トランスジェンダーの生徒が苦しさを感じる要因になってしまう可能性もあります。
このようなトランスジェンダーの生徒に対しては、外部の専門機関・医療機関との連携による環境づくり・生徒に寄り添った対応などが求められています。

参考文献

文部科学省
学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査について
2025.9.16閲覧

Spaceship Earth
LGBTQが抱える学校生活の悩みは?現場の現状も
2025.9.16閲覧

gooddoマガジン
LGBTQ+(性的指向・性自認)への教育はどのように行われている?政府の方針とは
2025.9.16閲覧

社会応援ネットワーク『図解でわかる 14歳からのLGBTQ+』
太田出版、2021.9.28、34~37ページ


大学進学

これまで、性自認が女性であるトランスジェンダーの方(トランスジェンダー女性)の女子校進学や性自認が男性であるトランスジェンダーの方(トランスジェンダー男性)の男子校進学は事実上、不可能でした。 多くの学校側で受け入れていたのが、身体的な性での女性/男性が一致した人のみだったことが原因です。
しかし近年のLGBTQ+に関する認識や理解の高まりとともに、トランスジェンダーの方への配慮が足りない進学体制に異論が出始めました。
このような状況で、2020年にお茶の水女子大学が全国初のトランスジェンダー女性の受け入れを行いました。今ではお茶の水女子大学、奈良女子大学、宮城学院女子大学、ノートルダム清心女子大学、日本女子大学、津田塾大学の6校で受け入れが行われており、女子大でのトランスジェンダー女性の受け入れが広まっています。
一方で、性自認が男性であるにもかかわらず、性自認を女性だと偽って入学する「なりすまし」が発生する可能性や、当事者ではない方が気づかないうちに当事者のことを傷つけたり嫌がることをしてしまうことへの不安の声もあります。
また大学全体で、LGBTQ+などの性的マイノリティの学生に配慮を行っている大学は全体の4割程度であり、「健康診断での対応」や「トイレでの対応」、「通称名での学生証の記載」、「通称名での学籍簿の記載」、「授業での名前の呼び方の配慮」が上位の実施内容でした。 一方で、ガイドラインを含めて、LGBTQ+の学生の対応を明示している大学は全体の1割程度にとどまっており、大学に在籍している学生数が少ないほどガイドラインの作成が進んでいないという問題もあります。(風間ら,2021)
LGBTQ+の学生への適切な配慮ができるように、ガイドラインの作成を進めていく必要があります。

参考文献

朝日新聞
「女子とは?」と問題提起 女子大で広がるトランスジェンダー女性の受け入れ
2025.9.27閲覧

風間孝・北仲千里・釜野さおり・林夏生・藤原直子
大学における性的指向・性自認 (SOGI) に関する施策及び取り組みに関する全国調査報告(このページよりダウンロード)
中京大学学術情報リポジトリ, 2021-03-25公開, 『社会科学研究』巻 41, 号 2, p. 181-230

社会応援ネットワーク『図解でわかる 14歳からのLGBTQ+』
太田出版、2021.9.28、40~43ページ

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