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LGBTQ+の扱われ方の歴史

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おわりに

LGBTQ+に関する社会の取り組み

LGBTQ+に関するイベントや社会の取り組み、日常で使われる言葉など、LGBTQ+は浸透しつつあります。
ここでは、

について見ていきます。

プライドパレードとストーンウォールの反乱

皆さんは、「プライドパレード」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。LGBTQ+などの性的マイノリティを祝うお祭り・活動として有名で、2025年6月7日と8日にも東京で開かれました。 東京以外にも、アメリカのニューヨーク、ブラジルのサンパウロ、スペインのマドリード、カナダのトロントなど、世界各国で行われています。
プライドパレードが始まったきっかけは、1969年6月28日にニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジのストーンウォールにあったゲイバー「ストーンウォール・イン」に警察が踏み入ったことで起こった「ストーンウォールの反乱」(ストーンウォール事件)です。

この時代ではLGBTQ+が差別や迫害の対象であり、警察がLGBTQ+の当事者を不当に取り締まったりゲイバーに捜査に踏み入ることが頻発していました。事件当日も、警察がストーンウォール・インに捜査をしに来ましたが、客たちが警察への協力を拒んだことで、当時店内にいたゲイやトランスジェンダーなどのLGBTQ+の人々が、警察に不当に取り締まられました
騒ぎが大きくなる中、周囲の人々はレズビアンの方が警察の連行に抵抗しているのを目撃しました。これを見て憤った人々は石やビール瓶、レンガなどで警察に抵抗し、警察が店内に逃げ込む事態となりました。
しばらくすると店内の警察は解放されましたが、明け方4時頃まで反乱は続きました。
この一夜の反乱はすぐにグリニッジ・ヴィレッジに広まり、翌日の夜にも数千人という規模で反乱が起こりました。この日も午前4時頃まで同性愛者の平等を主張する抗議が続き、その後の7月2日にも、1000人ほどが抗議のためにストーンウォール・インの前に集まり、反乱を起こしました。
この一連の抗議活動が「ストーンウォールの反乱」と呼ばれるようになり、性的マイノリティの当事者が初めて公的権力(国や地方公共団体が国民に命令できる、特別な権力)に抵抗したゲイ解放運動・性的マイノリティの人権運動が広がるきっかけとなった重要な事件として扱われるようになりました。

この事件からちょうど1年後、事件の1周年を記念したデモ行進が行われました。行進中に参加者は増えていき、ゴール地点のセントラルパークに着いた時には約5000人もの参加者がいました。
このデモ行進は「プライド」と呼ばれ、現代のプライドパレードの起源となっています。また、ストーンウォール事件が6月に起こったことから、6月は「プライド月間」として認められていきました。

ここからは、日本のプライドパレードについて解説していきます。
プライドパレードは、日本では1994年8月に東京で初めて開催されました。現在、東京で行われているプライドパレードは「Tokyo Pride」と呼ばれ、アジア最大級のプライドパレードとなっています(図23)。


【図23】
Tokyo Pride 2025の様子
出典:特定非営利活動法人東京レインボープライド「【イベントレポート】Tokyo Pride 2025、「Same Life, Same Rights」を掲げ過去最大規模で開催。恒例のプライドパレード&フェスティバルに加え初開催の4イベントも成功、総参加者数は約277,550人を記録。」

公式サイトによると、Tokyo Prideは
「(前略)多くの人々がともに考え、人権課題への理解を深め、偏見や差別の解消につながるきっかけをつくります。(中略)“Tokyo Pride”を通じて社会に変化を生み出し、すべての人が自分らしく生きられる社会をめざして開催します。」

Tokyo Pride 2026 Tokyo Pride とはより引用、2025.10.26閲覧
と説明されており、当事者のことを理解し、とらえ方を見直して応援するための大きな意義を持っていると感じました。

イベントにはLGBTQ+の当事者だけでなく、アライなどの一般の方も参加できます。興味のある方はぜひ参加してみるのはいかがでしょうか。

参考文献

ADDICTED
The Biggest Pride Celebrations Around the World
2025.10.24閲覧

特定非営利活動法人東京レインボープライド
プライドパレードを知る
2025.10.24閲覧

特定非営利活動法人東京レインボープライド
【イベントレポート】Tokyo Pride 2025、「Same Life, Same Rights」を掲げ過去最大規模で開催。恒例のプライドパレード&フェスティバルに加え初開催の4イベントも成功、総参加者数は約277,550人を記録。
2025.10.24閲覧

OUT JAPAN
【プライド月間】世界各地でパレードが開催、バンコクではマルディグラのような華やかなパレードも
2025.10.24閲覧

一般社団法人カラフルドットライフ
プライドパレード│えひめプライド
2025.10.26閲覧

Tokyo Pride 2026
Tokyo Pride とは
2025.10.26閲覧

社会応援ネットワーク『図解でわかる 14歳からのLGBTQ+』
太田出版、2021.9.28、74~75ページ


ジェンダーニュートラル

今、社会では「ジェンダーニュートラル」という考え方が広まっています。これは性別にとらわれず中立で、個性で互いのことを認め合う考え方や社会のことです。
ジェンダーニュートラルの考え方を取り入れている事例は多くありますが、ここでは

の3つについて詳しく見ていきたいと思います。

ファッション

ファッション業界の中でも、GUCCIとUGGの2社についてみていきます。
GUCCIは、ファッション業界のジェンダーニュートラルに積極的に取り組んできました。
2016年には春夏のメンズコレクションで、性別による服装の差を感じさせないようなジェンダーニュートラルの服を発表しました。 また2020年には性別にとらわれない自己表現を称えることを目的に「GUCCI MX」というプロジェクトを始動しました。このプロジェクトはジェンダーレスに特化しており、該当商品はサイトに「メンズ/ウィメンズ」ではなく「MX」というくくりで掲載されています。
またUGGは、公式サイトで「オールジェンダー」の項目を設置しており、対象商品は靴やスリッパ、キャップやパーカーなど多岐にわたっています。
さらに2024年には、コメディアンかつ作家のALOK(読み方はアロック)と連携し、LGBTQ+コミュニティのための新コレクション「URSeen」(ユーアーシーン)を共創しました。URSeenはPRIDE2024のために厚底のスリッポン(靴の一種)とワンショルダードレスを展開しています(図24、25)。


【図24】
スリッポン
※出典に関して、当サイトのための専用のファイルで画像を送信していただいたため、サイト名、リンクを明記することはできません。


【図25】
ワンショルダードレス
※出典に関して、当サイトのための専用のファイルで画像を送信していただいたため、サイト名、リンクを明記することはできません。

これらの商品についてALOKは次のようにコメントしています。
私の子供時代は、自分に注意を向けられないために、本当の自分を隠し、まるでそこに存在しないかのように過ごしてきました。 だからUGGと一緒にこのコレクションでやりたかったことは、勇気のような大胆なアイデアをプラットフォーム シューズとボディコン ドレスに取り入れることでした。誰かが少し自信をなくしてしまったとき、これらのアイテムを身に着けることで、パワフルに感じてほしいと思っています。

(PR TIMES 「PRIDE 2024 に向けてUGG はALOKと表現力豊かな「URSEEN」コレクションを共創」より引用)
このように、ファッション業界にもジェンダーニュートラルの考え方は広まっており、GUCCIやUGG以外にも様々なブランドでも取り組みがされています。


言葉

私たちが日ごろから使っている言葉にも、ジェンダーニュートラルの考え方が取り入れられています。
性別が限定的になるような言葉やジェンダーバイアス(「男性だから泣かない」「女性だから家事ができないといけない」といったような、性に関する偏見のこと)がかかっている言葉に対して、性別を限定・特定しない、多様な性があることを示す言葉や表現「ジェンダーニュートラル言語」と言います。
例として、公共交通機関のアナウンスとして聞くことがある「ladies and gentleman」という言葉ですが、男性と女性といったくくりでしか分けていないことから、「all passengers」「everyone」など、性別に影響を受けない言葉に変わりつつあります。

また、2019年、『メリアム・ウェブスター』というアメリカの辞典に、英語の三人称代名詞として「He」「She」以外に「they」という呼び方が追加されました。性別に縛られない単数の代名詞として使用されており、本人がtheyと呼ばれることを望んでいるかつ明確に単数とわかる場合での使用が認められています。

さらに、看護師という言葉は元は「看護婦」と、保育士という言葉は元は「保母」と呼ばれていました。しかしどちらの呼び方も、「女性の仕事」というジェンダーバイアスがあることが指摘され、今では看護婦や保母と呼ばないようにする動きが広まっています。 他にもこのような、時代の流れによって呼び方が変わった言葉はあります。

ここに挙げた例の他にも、アメリカのバークレー市など、行政が独自に決めた言い換えもあります。

参考文献

WIPジャパン
ジェンダーと言葉と翻訳と
2025.10.28閲覧

オンライン英会話のWeblio英会話
英語の中の「性(ジェンダー)に配慮した言い換え表現」一覧
2025.10.28閲覧

社会応援ネットワーク『図解でわかる 14歳からのLGBTQ+』
太田出版、2021.9.28、80~81ページ


オールジェンダートイレ

日本で広がりを見せているオールジェンダートイレ。
朝日新聞の「広がる「だれでもトイレ」 100社調査、66社が設置・予定 LGBT法「議論が不十分」指摘も」(※このサイトは有料記事となっております) によると、朝日新聞が2023年7月に行った調査では、性別にかかわらず利用できるトイレである「オールジェンダートイレ」を設置または設置を予定している企業は主要100社のうち66社であるという結果が示されており、設置が進んでいることが分かると思います。
また、企業だけでなく、大学でも設置が進んでいます。
国際基督教大学(ICU)は2020年9月に本館のトイレをオールジェンダートイレに改修しました。また他にも、東京大学教育学部日本女子大学神奈川大学なども設置を行っています(図26)。


【図26】
オールジェンダートイレ(神奈川大学)
※2025.11.11にチームメンバーが撮影

さらにオールジェンダートイレは、一部の駅や大型商業施設、空港などでも設置が進んでいます。
設置が進むことで、性的マイノリティの方がトイレを使用しやすくなるといったメリットがあります。 一方で、異性が同じトイレを使用する可能性があることへの不安プライバシーの問題犯罪が発生するリスク設置にかかるコストや多様性を重視したことによる不便な点の発生などの課題も生じています。

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