【取材】静岡の元教師すぎやまさん
私たちはゲイの当事者である静岡の元教師すぎやまさんに取材させていただきました。静岡の元教師すぎやまさんについて
静岡の元教師すぎやまさん
公立中学校で10年以上教師として勤めた後、独立して活動を始められました。コロナで自己破産寸前に陥りましたが、起死回生して現在はインフルエンサー、SNSコンサルタント、教育評論家として活躍されています。
本人も、ゲイの当事者です。
また、「教師の本音」(SB新書) という本も出版されているほか、不登校の生徒を支援する『新時代スクール』も経営されています。(Youtubeの説明欄を参考)
性別に関わらず傷つけたり、不快になったりしないように
───当事者にはどのように接してほしいと思いますか?静岡の元教師すぎやまさん(以下すぎやまさん):
普通に接してくれればいいかなっていう感じですかね。
───要するに性的マイノリティじゃない人と同じように扱ってほしいということでしょうか?
すぎやまさん:
そうですね。 相手がこっちのことを知ってるかどうかにもよるかな。───もし、自身が性的マイノリティであって、相手がそれを知ってる場合でしたらどういうふうに接してほしいですか?
すぎやまさん:
知っている場合だったら、普通に接してもらいたいなっていう感じですかね。 特に何も気にすることはないと思います。 例えば女性に年齢や体重を聞くのは失礼とか、「彼氏いるの?」って聞くのはセクハラとかあるじゃないですか。 それは同じようにセクハラって感じる人も男性の中にもいるので、 性別に関わらず傷つけたり、不快になったりしないようにっていう、 そういう接し方が大事かなと思いますね。───では逆に相手が自身のマイノリティじゃないというのを知ってる場合でも同じような感じですか?
すぎやまさん:
そうですよね。 例えば、知ってたとしても知らなかったとしても、それは基本的にこれからの社会で気をつけていかないといけないことなんじゃないかなと思いますね。 例えば性別にかかわらず年上だろうが年下だろうが、年齢とか体重とかいちいち聞いたりしないみたいなのと同じじゃないですかね。心配とか不安っていうメンタル的なところが一番多い
───これまでに抱えた悩みや困ったことはありましたか?
すぎやまさん:
そうですね。まず私が生まれたのが静岡のすごい田舎の方だったんで、 みんな結婚してみんな子供がいるっていうのが当たり前の世界で育ったんですよね。 その中に村で何人かだけ結婚してない人がいて、 でもそういう人ってちょっと好奇の目で見られるっていうか、 あの人まだ結婚してないんだ、かわいそうだねって、いつまでも家庭持ってないけど将来老後どうするんだろうね、みたいな見方をされることがすごく多くて、自分も結婚しない未来っていうのがあんまり想像できなかったですね。結婚しないで子供がいないっていう未来が想像できなくて、振り返ればもうずっと幼少期からゲイだったと思うんですよ。 そうなんですけど、結婚するのがあたりまえの社会だったから、 結婚しないといけないっていうか、 結婚しないと将来すごいかわいそうな人だって見られたりとか、 すごい寂しい老後を送ってすごい困るんじゃないかっていう不安がありましたね。
あとは、今はテレビでLGBTQ+のことをバカにしたりとか”おねえ”っていう言葉を使ったりしないと思うんだけど、 10年前ぐらいまではね、”おねえ”っていう言葉がテレビですごいもてはやされてて、その前にもそういう芸能人って一定数いたのね。
私が小さい頃とかもテレビで”おねえキャラ”、”オカマキャラ”の芸能人っていたけど、そういう人たちってもう笑いの対象にされてたわけよ、テレビで。 ちょっと気持ち悪い人たち、まあ実際自分たちで見てもさ、笑えると思うけど、 でも気持ち悪い人たちっていう目で世間から見られてたわけ。 もう見せ物小屋の珍獣みたいな扱いだったんだよね。 で、そういう芸人さん、芸能人もいたし、 あとは普通にお笑いのネタとかで性的マイノリティの人を馬鹿にするような名前のキャラが出てくるコントがあったりとか。 まあ要は同性愛者をお笑いのネタにしている。そういう番組、芸人さんもたくさんいたかな。
そういう影響もあって、小学校とか中学校とかでも、”ホモ”とか”オカマ”とかをネタにするような風潮っていうのは昔からすごいあったんだよね。で、小学校低学年とかそれくらいの時に、「お前オカマかよ」みたいなのを多分どっかで言われたと思うんだよね。 例えば、「えーやめてよー」とかって言った時に、「女みたいなこと言うなよ」みたいな感じで言われたり。 あと親からも言われたな。「 男なんだから」とか。 そういう風潮があって、ゲイっていうのが周りにバレたら、バカにされて、笑いの対象にされる、差別の対象にされる、いじめの対象になるっていう風に思って、 小学校と中学校と過ごしてきたから、 自分がいじめとか差別の対象になるんじゃないかっていう、そういう不安はずっと抱えてて。だから、言えないなって、 これは言っちゃいけないんだなっていうのを、 もう小学校ぐらいの時に気づいてた感じですかね。
やっぱり、そういう心配とか不安っていうメンタル的なところが一番多いかな。
実際に困ってるところっていうと。 人によっては、例えばパートナーが入院しちゃっても病室に入れてもらえなかったとか、 一緒に部屋を借りれなかったとかっていう人もいるけど、 私は実際にそういう被害みたいなのにあったことはないかな。 やっぱりメンタル的なところはずっとあったっていう感じですかね。
もう気づいた時には、 男性の方が興味の対象になっていた
───具体的に自身がゲイで認識したきっかけなどはありますか?すぎやまさん:
そうですね。 小学校くらいの時から、 多分異性愛者の男の子だったら、 女の子可愛いなとか女の先生綺麗だなとか思い始めると思うんだよね。 異性愛者の女の子だったら、男の先生かっこいいとか、 あの子サッカーできてかっこいいとか思うわけじゃんね。 でも、もう気づいた時には、 男性の方が興味の対象になっていたって感じかな。
でもそれは、明確な事件とかきっかけがあって気づいたというよりも、もう生まれた時からそうだった感じ。 遊ぶのも、昔だったら戦隊物とかサッカー・野球とかが男の子の遊びって感じだったんだけど、 そういうのも全く興味なくて。どっちかっていうと部屋の中で漫画読んだり絵を描いたり、 料理したりとかっていう方が好きだったんだよね。
明確に違うなって思ったのは、中学校とか高校ぐらいで、その時にはなんとなく違和感に気づいてくるんだけど、男女の恋愛でもさ、決して仲良い家庭ばっかりじゃないじゃん。 悪口言ってたりとかさ、するじゃない。いつまでもラブラブな夫婦っていないじゃん。 だから、 みんな我慢して付き合ってたり、 我慢して結婚したりするところはあるんだろうなと思って、 だから自分も我慢すれば普通に結婚できるんじゃないかなって、 中学校高校の時は思ってたのね。 結婚するのが当たり前の時代だったから。 我慢して結婚して子どもが生まれたら、 なんとかやっていけるんじゃないかって、中学校高校ぐらいまで思っていたんだけどやっぱり違うなって。
女性と付き合ったこともあるんだけど、人間としては好きだけど、 異性としては好きじゃない、興味の対象ではないなっていうことにだんだん気づいていって。大学卒業してからインターネットとかが出てきて、それでゲイのコミュニティみたいなのがあるっていうことを知って、そこで同じゲイの人に会ったり出会ったりとかして、やっぱり自分ってゲイなんだっていうのを ようやく自覚した、認めざるを得ないなってなったっていう感じですかね。
私もその子のおかげでカミングアウトできました
───カミングアウトの動画があがっていますが、 その時の心境はどのようなものでしたか?すぎやまさん:
カミングアウトしたのは、 2021年だったかな。その時私は教員を辞めて、 YouTubeとかTikTokで活動していて、フォロワー25万人ぐらいだったんだよね。フォロワーが増えてくるにつれて、 いつかゲイであることが、暴露されちゃうんじゃないかなっていう心配がすごいあったのね。その時流行っていた暴露系YouTuberってそんなに有名じゃなくても、視聴者からの垂れ込みでネタにして暴露しちゃったりしてたんだよね。このままもっともっとフォロワー増えていったら、自分もいつか暴露されちゃうんじゃないかなって思って、どっかのタイミングで言わなきゃいけないなっていうのは何十万人いってからずっと思ってたのね。
で、その時に、TikTok始めた初期から応援してくれてた、 当時中学3年生だった女の子がいたんだけど、 その子が インスタのストーリーズに死にたいっていうストーリーズを上げていたのね。だんだんそういうストーリーズが増えていって。 で、ちょっと心配しいてたらある時DMが来て。「 女子の制服を着て学校に行くのが嫌です。
自分は体は女なんだけど、 たぶん心は男で、 たぶんトランスジェンダーだと思う。本当に女子の制服を着て、 女子として生きている自分がすごく嫌で、 これが一生続くと思うと死にたい」
っていうDMが来たのね。で、ちょうど私その時にすごくいつカミングアウトしようかなって悩んでた時だったので、なんかできることないかなと思って、このタイミングで自分も言おうって思ったのね。
DMでその子に、「実は私もLGBTQ+なんだよ、フォロワー25万人の記念ライブの時にそれをカミングアウトしようと思う」っていうのを伝えて。
当時カミングアウトしてるTikTokerとかYouTuberってあんまりいなかったから、 私がそうやって言うことによって世の中も少し変わるかもしれないから、もうちょっと希望を持って生きてみようっていうふうに送ったのね。そうしたらその子から返信が来て、そうだったんですねって言って、 じゃあ私もそのライブをお母さんと一緒に見ます。そこで自分もカミングアウトしますっていう感じで返ってきたんだよね。で、実際ライブ配信の時にですね、自分ももちろんカミングアウトしたんだけど、 その子もお母さんにカミングアウトして、結果その子は制服を選べる学校に進学することができたのね。 それまではお母さんに言えなかったから、セーラー服を着て通うしかないと思ってたんだけど、 お母さんに相談したら選べる学校に行こうっていうことになって。で、選べる学校に進学したよと。私もその子のおかげでカミングアウトできましたよっていう。そんな感じですかね。
「男子がこうあるべき」みたいなのですごくつらい思いをしている子が多い
───教員時代、学校教育の中で当事者への対応として改善したほうがいいと感じられたことはなんですか?
すぎやまさん:
たくさんありますね。
思春期だから難しいところがあって、男だからこうあるべき、女だからこうあるべき、田舎の高校だと男子は上半身裸で騎馬戦、体操するなど九州の方だと未だにあるのね。普通にLGBTQ+に関わらず嫌な子は嫌じゃない、全然男子の中で別に着替えてるのみられても恥ずかしくないよと言う子もいるけど。特にLGBTQ+の場合はその自分の性とかで悩んでいるから余計に見られたくないっていう思いがあったり。例えば体は男だけど、心は女の子っていう人が、上半身脱いで男らしく体操しろって言われたら女の子が上半身裸になって踊らされているのと同じだからそういうのは良くないかなと思いますね。
あとは、男子がかわいそうと思ってて。自分もそうだったし。運動とか体育会系がすごく嫌いだったからでも中学校とか高校とかだと男子は体育会系であれ、力仕事や汚れ仕事をしてたくましく生きるのが当たり前というのがすごいから応援合戦などが嫌だったのと、男子が着替えるスペースがなくて廊下で着替えているのとかですね。最悪の場合だとプールの更衣室がなくてプールサイドで着替えている学校もあってそういうのがかわいそう。そして、男子トイレにドアがない学校もたくさんあって。
男子に対する、「男子がこうあるべき」みたいなのですごくつらい思いをしている子が多いのかなって思います。それが女子トイレだと大問題になるけど男子だとまだいいというのが教師に残っているとおもいます。
中高生に向けて
───最後に、中高生に向けて一言お願いします。
すぎやまさん:
私たちの時代と比べるとだいぶ今の子たちのほうが理解はある。
でも、もし一人で悩んでいる友達がいたら意外と言ってみると理解してくれる人が多い。
大学とか行けば全然違う環境で生きることができるので、悩んでいる子がいれば希望を捨てずに生きてほしいなって思いますね。

