前へ

【取材】静岡の元教師すぎやまさん

次へ

【取材】特定非営利活動法人 SHIP 宮島謙介さん

【取材】瀬戸マサキさん

次に私たちは、バイセクシュアルの当事者である瀬戸マサキさんに取材をさせていただきました。


目次
  1. 瀬戸マサキさんについて
  2. 当事者にはどのように接してほしいと思いますか?
  3. これまでに抱えた悩みや困ったことはありましたか?
  4. 経験してきた中で一番印象に残っている反応などはありますか?
  5. いつ頃から、どういうきっかけで自身がバイセクシュアルであると認識し始めましたか?
  6. カミングアウトをした前後の心情や誰に行ったかなどを教えていただけますか?
  7. 現在はネットで活動しておられますが、ネットで活動するようになった理由はありますか?
  8. 性的マイノリティやLGBTQ+の認識をさらに広めていくためにやっていきたいことなどはありますか?
  9. LGBTQ+の方への対応について、外国と比べて日本が改善できるところはありますか?
  10. 人によって違いますが、日本と外国でカミングアウトへの反応に差はありますか?
  11. 日本とアメリカだと、カミングアウトしやすい環境というのも違いますか?

瀬戸マサキさんについて


瀬戸マサキさん

英語指導・飲食店経営・労務管理をされながら、時々執筆や講演も行われています。17〜26歳はニュージーランド・アメリカ・日本を行き来されていました。
本人も、バイセクシュアルの当事者です。
2014年から2023年の間はマイノリティフレンドリーなダイニングバー『FAT CATS』をされていたほか、2024年からは社会正義をテーマにした英語教育に携わっていたり、2025年には日本内外のクィア、フェミニスト、進歩主義者たちが集まって「シンプルな」英語・日本語で交流・議論するコミュニティ『ProgrezTribe』を発足されました。
(Youtubeの説明欄、Instagramのプロフィールを参考)


LGBTQ+といった1つの指標だけでは決めることができない

───LGBTQ+の当事者にどういうふうに接して欲しいですか?

瀬戸マサキさん(以下瀬戸さん):

大前提としてそれぞれ当事者の中でも意見が分かれるので、「自分はこうしてほしい」というのが結構人それぞれにあるんですね。なので、自分から言わなくても何かで知ってしまったという時に、その人にどう接するべきかというのはLGBTQ+といった1つの指標だけでは決めることができないと思うんですよ
基本は人それぞれなので、接し方も変わってくるじゃないですか。自分と相手の関係性の中で相手が「このことについて話したそうだな」って思ったら聞いてあげればいいし、ちょっと放っておいてほしそうだと思ったら「あまり触れないでいいか」という感じにすればいいと思います。

「共通してこうなんじゃないか」と思うもの


「共通してこうなんじゃないか」と思うものもいくつかあるんですよ。
LGBTQ+の話って下品だという扱いを受けることが多いんですけど「そういうわけでもないんじゃない?」と思いますね。
LGBTQ+と聞いたら「プライベートな性に関する人たちだ」と思うのはやめてほしいと思っているというのが共通してあることなんじゃないかと思いますね。
後は、ここ5年間くらいで、日本に限らず世界的に「トランスジェンダーの人はとんでもない人たちだ」というような話が広まってトランスジェンダーの人たちへの理解は一気に下がってしまった感じはします。よく言われている理由としては、「トランスジェンダーの人たちは女装して女子トイレに入ってきて女性に対して犯罪をしようとする男だ」とかね。とんでもないモンスターみたいな、恐ろしい存在だとすることでトランスジェンダーの人たちを悪く言う人たちが増えちゃったんですよ。

LGBTQ+の中にもいろんな人がいる。だから、「きっとこの人たちはこういう考えを持っているんだ」「こういうことをしたいんだ」というふうにくくられるのは違うかなって思っています。


「この人はどんな反応が返ってくるのだろう」っていうのが毎回毎回怖い

───瀬戸さん自身もLGBTQ+の当事者ですが、当事者として悩みや困ったことなどはありますか?

瀬戸さん:

私はバイセクシュアルっていう、この中だとBの当事者なんです。LGBTQ+の中でもそれぞれ悩みは違ったりとかするし、同じセクシュアリティでも当然違うんですよ。自分の場合は、「バイセクシュアルだったら女性と結婚できるのだから、そっちの方がいいじゃん」みたいなことを言われることがあります。でも、恋愛ってそんな感じでするものではないんじゃないですか、と思うんですよ。あまり恋愛気質じゃない人はわからないですけど、ほとんどの人は相手を「いいな」と思っちゃって、その人と一緒に暮らしたい、結婚できるならしたいと思うんじゃないですかね。

男女どっちでもいいっていうような恋愛はしていないので、周りから「どっちでもいいと考えている」と思われていると、「どっちでもいいとかじゃなくこの人がいいんですけど」っていう気持ちはありますね。
ただ若いころは、「言ったら何言われるかわからない」っていう不安はずっとありましたね。ただLGBの場合は、ある程度は黙っておくことができる。隠している人も実際多いですし、異性と結婚して、子どもまでいる人もいます。なので、まだまだ全然言える雰囲気ではない。
トランスの人は制服やトイレの悩みがあるし、賭けみたいなものなので自分は当事者だと言ったらどんな反応が返ってくるかわからない。でもそれを一生懸命隠すのもつらいしなんか聞かれたときに嘘をつかなきゃいけないというのもあるし。
性的なこと、プライベートな話と思われているから、カミングアウトしたらしたで「なんでそんなことを言うの?」「そんなプライベートなことを言われても」っていう反応もあるわけですよ。「そうじゃないんだよ」と思ったりするんですけど、そんな感じでどういうふうに思われているものなのか相手によって違うと思うので「この人はどんな反応が返ってくるのだろう」っていうのが毎回毎回怖いっていうのは大きな悩みかも知れないですね。

「うん…で?」って言われた

───人によって反応が異なるというお話だったかと思われますが、瀬戸さんが経験してきた中で一番印象に残っている反応などはありますか?

瀬戸さん:

一番印象に残っているのは、高校の時の友達です。隣の女子高の友達だったんですけど、「実はさ、バイなんだけど」って言ったら「うん…で?」って言われたんですよ。
「バイなんだけど」っていうのが、話のメインじゃないみたいな扱いされて。「バイなんだけど、でね」って何か続くと思われたみたいなんですよ。そんな驚くことじゃないと思っていたのか、「あ~はいはい。バイなんだね。で?」みたいな。でもこっちは高校生だから、結構「大丈夫かな」って思いながらカミングアウトしたわけですよ。
でも「あ、平気なんだ」っていうのが今でも印象に残っていますね。
母親にカミングアウトした時も、「じゃあ中学の時に一番仲良かった○○君とはそういう…?」みたいな感じでちょっと冗談みたいに言ってくれたので、いい反応だったと思います。
悪い反応としては、居酒屋で、カウンターで隣に座ったおじちゃんと話していて「彼氏が~」とか「元彼が~」とかっていう話をしたら「あんた男が好きなんかい!」みたいなことを言われます。ただ、自分が常にオープンで、強気でいられている人なので、そういうことがあってもやり過ごせる。けど、人によってはこういうので「ああもうやだ」みたいな人もいるかなって思います。

できるだけ性別を考えないで臨んでみよう

───いつ頃から、どういうきっかけで自身がバイセクシュアルであると認識し始めましたか?

瀬戸さん:

バイセクシュアルの人は本当に多様で、ゲイやレズビアンの人の大半は多分、物心ついた時からなんとなく同性がいいなと思っていたっていう人が多いんですよ。
ただバイの人は、最初は「こっちだな」と思っていたら「どっちもだ」と後からなる人が多くて
自分の場合も、幼稚園の終わりくらいから思ったんですけど、相手は基本的に女の子だったんです。小学校6年生くらいまでずっとそうで、6年生の時に、同級生の男の子が───その子はもしかしたらゲイとかバイとかだったのかもしれないんですけど───自分にすごく興味を示して。体に触ってきたりとかするんですよ。小学生だったし、本人も男の子で男同士だったというのがあったのでそんなに触ってはいけないとは思っていなかったんでしょうね。だけどそれを利用してうまいこと体を触ってくるっていうのをしょっちゅうやっていて、「嫌だな」って思っていたんです。
「嫌だな」の中には、自分の体を勝手に触られることへの気持ちもあったんですけど、多分正直に考えれば「男同士なんて…」というのが自分にもあったんだなと思うんですよ。で、その子に対して冷たく接するようになってしまって、そうしたらその子がある時から僕に全然話しかけなくなって、目も合わせなくなって。結局その子ともう一回仲良くなるっていうのができなくて、「この子とは仲良くなるの難しいけれど、なんで自分は相手が男だってだけで絶対にありえないって思っちゃったんだろう」って反省したんですよ。性別関係なく、本当はあり得たかもしれないと思って。
で、6年生の終わりくらいで「もうこの子とは無理かもしれないけど、自分がこれから誰かに好かれるとか誰かのことをいいなって思う時に、できるだけ性別を考えないで臨んでみよう」と思って。難しいかもしれないけど、やってみたら意外と柔軟だったみたいで、中学校入ってすぐくらいの時に男の子のことが好きになったんですよ。
気持ちを開いてみたら、「あ、いけた」みたいな感じでしたね。

「なんで隠しておかなきゃいけないんだろう」

───カミングアウトをした前後の心情や誰に行ったかなどを教えていただけますか?

カミングアウト前

瀬戸さん:

自分が中学生くらいの時からホームページみたいなものを個人で作るのが流行っていたんですよ。それをみんな自分で作って。そこで自分が中学生くらいの時から、ある程度自分の性についての話はしていたんですよ、そういう人(LGBTQ+の当事者)を見つけたりして。
だけど、高校生くらいの時に、もっとプライベートじゃないホームページみたいなのを作って。裏垢と表垢みたいなものですね。表垢の方は家の家族とかも見るし学校の友達とかも見て繋がって、という感じだったですけど、そこである時、投稿するわけでもなくプロフィール欄みたいなところに「バイです」って書いたんですよ。見る人は向こうのタイミングで見るじゃないですか。こっちのタイミングでカミングアウトをしちゃうとすぐ反応が返ってきて怖いから、置いておいて、見た人が勝手に反応すればいいかな、怖くないかなって思って。
書いて、そっとしておいたら、少しずつ高校の友達とか母親とかが見て、「あ、そうだったの?」みたいな感じだったんですよ。「なんで隠しておかなきゃいけないんだろう」と思ったのかもしれない。
BL本(男性同士の恋愛をテーマとした本)が本屋さんに売っているくらいなんだから、男同士の恋愛なんか恥ずかしがることはないだろうと強気のスタンスだったので、表垢でも言っていこうと思って言って。これがカミングアウト前の心境ですね。

カミングアウト後


カミングアウト後は言ってよかったなって思う。良かったなって思うのはもともと自分が強気な人間なので。
例えば自分がいずれ彼氏とか紹介する時に「気持ち悪い」って思われるんだったら、今のうちにカミングアウトくらいしておいて、嫌な人は離れてもらった方がいいかなって感じで。だから、「バイである」というのが広まってかかわらなくなっちゃった子もいるんですよ。それは残念だなとは思うけれど、自分はカミングアウトしてよかったなと思っています。

自分は別に恥ずかしいなんて思うこともない

───現在はネットで活動されていますが、ネットで活動するようになった理由はありますか?

瀬戸さん:

さっき話したホームページの延長で、ブログが始まったんですよね。ブログっていうのが出てきたからそれに食いつくというか、ブログも作ってみてといった感じで。特別「ネットで何かやるぞ」というわけではなかったんですけど。
ただ、その中でも、LGBTQ+について書くようになった理由としては、そういうことをやっている人が前からいたんですよね。
僕が中学生くらいの時から、そういうところ(ネット)でトランスの人で自分のファッションを写真に撮ったものを出している人とか、トランスジェンダー同士が集まれる場所を作ってネット上に掲示板のようなものを作って運営している人がいたりとか、「レズビアンとかゲイとかそういうので何が悪いんですか?」といったことを書いている人もいたりして。 そういうのを見て、僕はすごく役に立ったんですよ。元々強気だったって言いましたけど、ネットに行けば他にそうやって既に強気な人たちがいっぱい書いてくれたりしたのを読んで「自分は別に恥ずかしいなんて思うこともないし、人に言って嫌がられたところで悪いのは向こうだ」と思えるようになったので。それに、自分も文章を書くのは不得意ではないし、LGBTQ+のことに関しては大学院で研究していたからLGBTQ+の中でも特定の人だけのことしか言わないんじゃなくて広く話ができるので
かつて自分が先人たちのものを読んで「そういうふうに考えてもいいんだ」とか「自分が間違っているんじゃなくてこういう世の中っておかしいよねって言っていいんだ」みたいに思ったのを、誰かが読んで思ってくれたらいいなとは思ってやっている感じですね。

実際に集まるイベントをやりたい

───性的マイノリティやLGBTQ+の認識をさらに広めていくためにやっていきたいことなどはありますか?

瀬戸さん:

LGBTQ+の当事者にとって、ネットというものが広まったのは大革命で。大体みんな隠して生きてきた時代だったというのもあって、何もしないと同じような当事者に会えないのが普通だったんですね。
でも、レズビアン雑誌ゲイ雑誌で仲間を見つけるしかなかった時代なんですよ。そう考えると、インターネットができたことは大革命だったんですよね。

最近はインターネットに偏りすぎた


今、SNSでネットワークを作ったりしている人もいたりするくらいなので、本当に素晴らしいですけど、逆に最近はインターネットに偏りすぎたなって思っていて。コロナもあったので、月に1回、区の公民館に集まっていたグループとかが「オンラインにしましょう」ってなって、そのままオンラインのところもあるんですよ。オンラインは結構便利で、遠いところの人も一緒に集まれるからいいんですけど、安心感で言うと、実際の場所に集まってお互いに隠さずに心地よくいられる場所があるってすごく大事だと思っていて。

実際に集まるイベントをやりたい


ネットだと母数がものすごく多いので、その中で自分がいいと思う人だけをピックアップして仲良くしていれば楽しいかもしれないけど、そうじゃない場所の方が世の中には多いし、そうじゃない場所で人間関係を作る方が最終的にはいいんじゃないかと思うんですよ。
「ちゃんと理解しなきゃいけない」と思っている当事者じゃない人たちがちょっと間違っちゃって責められていて、離れて行っちゃう人たちもいるんですよ。それはもったいないじゃないですか。そういう人たちが多少ミスっても、「いやいやそうじゃねーし」って突っ込まれて終わるくらいの空間があったらいいなと思うので。
でも、オンラインとオフラインのどっちもなくなっちゃいけないんですけど。それもあって、自分も実際に集まるイベントをやりたいなと思っています。

いろんな国の「ここはいい」をつまみ食いしていくしかない

───LGBTQ+の方への対応について、外国と比べて日本が改善できるところはありますか?

瀬戸さん:

台湾とかはもう同性婚が導入されますし、ヨーロッパの国でも半分以上、西ヨーロッパだったらほとんど同性婚が認められているっていうのが一番大きな違いかなとは思います。外国といっても幅広いので、どの国のようになるべきだというのは一概には言えなくて。

アメリカ


例えば最近までは、アメリカがLGBTQ+に関しては一番良かったはずなんですけど、今はLGBTQ+関連に関してはすごく冷たくなった。
ただアメリカは、社会運動がすごく盛んな国なので、当事者や当事者の周りにいる人たちが抗議活動をするっていうのが当然のように行われているわけですね。元々、「おかしいと思ったら自分たちで声を上げていこう」みたいな文化の国なので。

トランスジェンダー


他にも、例えばトランスの人って「え、こんなのじゃないんですけど自分」っていう体で生きているわけですよね。歳を重ねていくにつれてどんどん「自分じゃないんですけど」の要素が増えてくるわけですよ。人によっては「こんな体で生きているんだったら死んだ方がまし」って思う子も多い状況で生きていて、学校の勉強とかにも集中できないような人もいるんですよ。
後は、頑張って高校までとか大学まで行った人も、病院に行ってホルモンを打って自分の体を少しずつ変化させていることもあります。
人によっては大学に入学するときに自分が望む方の性別で入学できて、周りからもバレないというような人もいるけれども、それは最近の話で。昔は社会人になって体はもうだいぶ変化しちゃって、自分が思う性別の特徴からは離れてしまって、その苦痛を耐えながら働いてお金を貯めて、ホルモン治療を始めたりとか体の手術をしたりとかして。
なので、そういう人たちにとっては、例えば学歴が無かったりとか職歴が転職に不利だったりとか、そもそも貯金を全部使い果たしていて生活が厳しいとかっていうのは全然ありうるシナリオじゃないですか。
そうなってくると、「トランスである」とか「LGBTQ+である」だけではなくて他の要素がいっぱい入ってきちゃう。
そうすると、1個LGBTQ+に関していい側面がある国とかがあったとしても、その国が当事者にとって住みやすいかは別で。
なので、LGBTQ+に生きやすい基準というのは難しいんじゃないかと。いろんな国の「ここはいい」をつまみ食いしていくしかないんだろうなと思っています。

当然にそういう人がいるっていう前提

───性別や同性婚のお話をしていただいたと思いますが、外国にいた時もカミングアウトはされていたかと思います。人によって違いますが、日本と外国でカミングアウトへの反応に差はありますか?

瀬戸さん:

全然違いました。
日本で言うと大概の人は「はじめてそういう人に会いました」って言うんですよ。私はニュージーランドとアメリカに住んでいたんですけど、ニュージーランドの時はそんなにカミングアウトしなかったかな。まだ高校入ったくらいで早かったので。アメリカの時は、そういう人がいるのは当然で、自分の身の回りにLGBTQ+の人がいる人ばっかりだったんですよ。
それは多分アメリカの方がカミングアウトする人数がものすごく多いっていうのが影響していて。例えば仲良くなった子と話していると、「中学校の時の同級生がレズビアンで~」とか、年配の人と話していても「うち娘が2人いるんだけど2人ともレズビアンで~」とか、「自分の息子が通っている学校のゲイの先生が~」とかっていう話が出てきたりして。当然にそういう人がいるっていう前提ですね。

それぞれの国で歴史が違う

───日本とアメリカだと、カミングアウトしやすい環境というのも違いますか?

瀬戸さん:

違いますね。
多分歴史が関連していて、1970年代から80年代くらいにかけての時に、いろんな社会運動が起きたんですよ。そのくらいにLGBTQ+の運動がワッと盛り上がったんですけど、その時あたりに、アメリカの国全体が強気だったわけですよ。「何が悪いの?」という気持ちだったわけ。その時にLGBTQ+の人たちも、「何が悪いんだよ」と思えるようになったわけなんですよ。
それが変わった要因としてはエイズという病気が広まったことですね。

エイズ


エイズが感染しやすい感染経路っていうのがあって、性的な接触や、違法な薬を使う時に注射針を使いまわしてしまったりすることですね。先ほどのようなことをしているのは自分が悪いと言って、8年間くらい政府は何もしなかったんですよ。
そうしたら、それまでおとなしくしていたレズビアンやゲイの人たちが、「黙っていて死んでいっても国って何もしてくれないの?」ってびっくりしたんですね。その時のエイズの人は病院も来ないでくださいという感じだったし、エイズであることがわかったらこの街から出ていってくださいくらいの勢いだったんですよ。国の中で、そういうパニックが起きていたんです。路上とかで何百人もの人がエイズで死んでいるのが何年間も続いたんですよ。
で、「おかしくない?」「これって国が何か対応すべきものなんじゃないの?」って怒りだしたっていうのが、当時のLGBTQ+の社会運動の盛り上がりだったんですよ。
そうすると、カミングアウトする人もバーっと増えるじゃないですか。「黙っていたら生きていけると思っていたけど、黙っていたら見殺しにされるかもしれない」「じゃあ声出していこう」という時代だったんですよ。その時代を経た後は、カミングアウトをしても「あ、そうなんだ」くらいに思ってもらえるようになった。歴史があっての、アメリカの今の状況。
日本では、カミングアウトすると「初めて会いました」って言われちゃうのはそれぞれの国で歴史が違うのが一番大きなところかなとは思います。

前へ

【取材】静岡の元教師すぎやまさん

次へ

【取材】特定非営利活動法人 SHIP 宮島謙介さん