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 なぜ、砂糖を利用すると食材が保存できるようになるのかというと、塩で保存で学びましたが食材が腐ったり痛んだりする原因は腐敗菌で、食品中の砂糖の濃度が60~65%あると腐敗菌の体の水分が奪われてしまい生きていけなくなるからです。浸透圧の問題なのです。先人たちは、浸透圧のことを知らないのに保存食に砂糖を利用してきました。ジャムなどは水分をどんどん飛ばして、濃度を高くしているのでフルーツが長期間保存できるのです。
 他に砂糖は健康に良かったり、食べ物にまぶすだけでその食材の甘味を増加させる作用があります。特にジャム加工では、一時的に大量に採取することができる果物をよりおいしく食べたり、保存する方法として発展していきました。ジャム加工に適した砂糖はグラニュー糖で、あっさりとした淡白な甘味を出すことができます。
 
■親水性・保水性
 親水性とは水に溶けやすいことをいい、砂糖は水に溶けやすい性質です。それは砂糖の分子が水の分子と結びつきやすい部分を持っているからです。砂糖は水分を抱え込み、水の分子は束縛され自由に動けなくなります。

■酸化を防ぐ
 砂糖が水分と結びつき結合水ができることで、酸素が溶けにくくなり酸化防止に繋がります。

■砂糖は疲労回復に良い!
 砂糖に含まれているブドウ糖は脳のエネルギーとなります。脳はブドウ糖を一日に約120g消費します。その失ったブドウ糖を砂糖で補う事ができるのです。

■白砂糖は下痢止め
 白砂糖には胃腸に働きかけて痛みを緩和させる働きがあります。
 
 日本に初めて砂糖が伝わったのは奈良時代で、鑑真が持ち込んだといわれています。当時の砂糖は輸入でしか手にはいらない貴重品だったため、医薬品として扱われてきました。そのため、砂糖を利用した保存方法は発達することはありませんでした。
 
 ヨーロッパを中心に砂糖を利用した保存がすでに発達していました。インドの砂糖の製造技術が征服によって地中海沿岸に広がった後、諸国の砂糖はベネチアに集中し、11~13世紀にかけて十字軍の騎士たちにより知られるようになりました。しかし、砂糖は貴重な薬として使われていたので、料理や食べ物の保存のために使うことができたのは、王侯や貴族などの上流階級者のみでした。やがて、海外の植民地から安価の砂糖を手に入れることができるようになり、現在では地域の風土に合ったジャムが作られ長い歴史を持っています。