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 食材が腐ったり痛んだりする原因は、細菌やカビ、酵母などの腐敗菌が原因だということは何度も取り上げました。その腐敗菌は、たんぱく質でできています。酢に含まれる酸には、微生物のたんぱく質を変成させる性質を持っています。ですので、酢を利用することで腐敗菌の繁殖を防ぐことができるのです。食酢に漬けておくと、食中毒の原因であるチフス菌は10分後に死滅、大腸菌なども30分後には死滅することがわかっています。
 また、酢には塩と同じような効果があり、野菜などの食材は、水分が減るため旨みが凝縮されるとともに、多量の野菜を摂取しやすくなります。また、発酵を伴わないため野菜の色が抜けることはありません。他にも、魚介類は、酢に漬ける事で肉を引き締め味を良くする働きを持っています。
 
 
■食欲を増進させる!消化を促す
 胃液の分泌を促進して消化の働きを活発にさせることで、食欲を増進させる働きがあります。食欲が無いときは、お酢を使った料理を食べる事で食欲を回復させる事ができます。また、食べすぎなどの胃もたれや消化不良も抑える働きがあります。

■高血圧の予防
 酢の酢酸が体内で使われた後の代謝物質が、血管を拡張して血圧を下げる働きがあります。

■疲労回復にも効果あり
 ブドウ糖を分解した際に酸性物質が出ます。その酸性物質がたまると体が酸性化します。これが疲れの原因となるのです。酢はその酸性物質をアルカリ性体質にする事から疲労回復に効果があります。
 
 日本に酢が伝わったのは、応神天皇のころ(西暦200年頃)に中国から渡来したとされています。このころから酢を活用して野菜や魚を漬けて保存していました。万葉集にも酢を利用した料理が出てきます。しかし酢は朝廷や貴族だけのもので、庶民に広がったのは江戸時代になってから。庶民に広がるようになって、いろいろな食文化が形成されました。
 
 紀元前2000年頃から野菜をスパイスやハーブと一緒に酢漬けして、ピクルスを作る文化がありました。酢は塩分を引き立たせる役割があり、少ない塩分でも美味しく料理を仕上げることができます。そして酢を使うと食物が傷みにくくなるといわれており、昔から多くの食品に利用されてきました。クレオパトラが真珠を酢に溶かして飲んでいたという話もあります。