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 乾燥して食品を保存する。人類にとって火を利用すること同様に、食品加工する上でとても大きな発見だったであろうと想像できます。では、なぜ乾燥することで保存できるのか。それは、微生物などの腐敗菌は水分が無いと活動できないからです。ですから、乾燥させて微生物の生きていけない環境をつくることで、食材を保存できるようになるのです。
 もう少し専門的に学習すると、腐敗の原因には食材の中の水分量が関係しています。微生物が活発に動くことができる場所を「自由水」と言います。「自由水」とは食品との結びつきが非常に弱い水分子のことを指します。乾燥させることで自由水を減少させることができ、腐敗の原因となる菌の活動の場所を無くすことで食べ物を長く保存できるのです。
 食材を乾燥させることは、手間をかけなくてもできます。そのため、昔の人にとって簡単にできる食材を保存できる方法として活用されてきました。そして、150年前頃に人工的にできる乾燥法が発明され、第2次大戦以降になって急速に乾燥技術は向上しました。
 
■成分を凝縮!旨みも凝縮!
 乾燥によって食品の成分が凝縮されるので、旨みが増すだけでなく、栄養価が高い食品になります。

■運搬も楽に!

 水分を抜くことで質量も軽くなり、保存できるようになるだけでなく、運搬も非常に楽になります。
 
 四季のある日本では、豊かな山海の幸を冬の乾燥した空気や海辺の強い日差しと風で、わらびなどの山菜や野菜類、魚介類を干し上げることで保存してきました。正月過ぎには、寒気を利用して切り餅を乾燥させて干しもちを作っていました。いろいろな乾燥による保存食は、全国各地で見られます。
 平安時代の木簡には、当時作られていた加工品としていわしや小魚を干したもの、フナを背開きにして干物にしたものがあったと書かれています。
 
 ヨーロッパのように乾燥した地域では、野菜や果物をドライハーブやドライフルーツとして保存してきました。紀元前6000年頃に南コーカサス地域(アゼルバイジャン、アルメニア、グルジア)で、ぶどう・プレーンの栽培が盛んになりました。このとき、乾燥によって味と甘みが強くなることも分かりました。ぶどうを乾燥させたレーズンは古代フェニキュア人とエジプト人によって西洋全域に広がりました。