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 いぶすことで保存できるようになる原理は複合的で、合理的な保存方法です。いぶす際にでる煙は腐敗菌を減らしたり、殺したりする効果があるのです。それと同時に、いぶすと食品にできる樹脂膜の存在も大きく、外部からの雑菌の進入を防いでくれます。
 また、いぶす前にほとんどの食品で塩漬けにします。これは、過度の水分を除いて効率的にいぶせるようにするためです。また、完成した後に乾かす作業も、更に効果を高めます。塩による保存と乾燥による保存も同時に行うことが多いのです。
 痛みやすい食材を長期間保存可能な状態にするだけでなく、いぶすことによって普段と違う食感や味わいを楽しめるという効果もあります。
 
■香り付けと色付けで食欲を増す
 食材の色艶を出し、燻製独自の香り成分が着く事で、食べる際に食欲を増進させる働きがあります。

■ソミュール液
 燻製作りには欠かせないこの液。調味料やスパイスを加えた塩水のことです。液によって味付けすることで満遍なく味が浸透すると同時に、塩水ですから保存効果を高めます。
 
 室町時代に入り、干しカツオに「焙乾(ばいかん)」という薪を燃やしたさいに得られる煙でいぶす技術が導入され、鰹節ができました。鰹節は日本で初めて作られた燻製の食品です。
 
 まだ人類が洞穴で生活していた時代に、狩猟で捕獲した肉を洞穴の天井に吊るしていると暖をとる焚き火の煙で肉がいぶされたことが燻製の始まりだといわれています。肉をいぶしたものは冬の食料として役立てていたそうです。