実験で楽しくなる力学教室
Chapter 1
Chapter 2
さまざまな力
重力
磁力
垂直抗力
摩擦力(1)
摩擦力(2)
摩擦力(3)
空気や水の抵抗力
糸の張力
フックの法則
圧力と気圧(1)
圧力と気圧(2)
水圧と浮力(1)
水圧と浮力(2)
Chapter 3
2-10. フックの法則
弾性力
さて、次はバネの力だ。バネは、当然伸びたり縮んだりするよね。
『変形したらもとに戻ろう』として働く力のことを『
弾性力
』というんだったね。
バネって、触ると癒されるよね……。
……。
さ、さて。ではここで問題。
どちらとも静止しているとき、糸とバネどちらが引っ張る力が強いでしょうか?
バネ……かなぁ?
よく見てみよう。物体はどちらも
力がつりあっている
ということだよね。
掛かっている力を見ると、まずどちらにも
重力「W」
。
糸の方はそれと同じ大きさの力で引っ張っているということはわかるかな?大きさを比べると、
「W」=「T」
だ。
では、バネが物体を上に引く力
「F」
はどうだろう?
実は意外なことだけれども、
バネはそれ自身が引っ張られた力より大きい力で、物体を引っ張ることはない
んだ。
つまり
糸と同じ
なんだね。
バネだと少し変わると思いましたが、そうでも無いんですね。
それでは、バネと糸の違いはいったい何なのだろう?
特に無いのではないでしょうか?
糸は引っ張ってもほとんど伸びないね。でもバネは引っ張れば引っ張るほど伸びるよね。
うん。
この
伸びは引っ張る力とどのような関係
があるのかな?
わからないです。
それを調べたのがフックという人なんだ。
フック?
確か、一番最初に細胞を観察した人でしたっけ?
へぇー、よく知っているね一弥くん。
ロバート・フック。
確か、理科で生物の体の仕組みを習ったときに彼が出てきましたけど……。
柚莉亜さん、もしかして忘れてました……?
……。
えーと……うん。そうだ。
確かにフックは生物関係の研究もしているね。
さて、それでは実際にバネを使って調べてみよう!
バネのはじめからの長さを
自然長
というんだ。全体の長さから自然長をひいたら引っ張って伸びた分になるよね。
はい。
そして、その
伸びは、バネが引っ張られている力(=おもりの重さ)に比例
している。
おもりの重さが重ければ重いほど、伸びるバネの長さが長いってことだよね。
そうだね。
そしてバネの『
伸びやすさ
』はその
バネによって変わってくる
よね。
バネの材質?
そうだね。あと太さなんかも関係するかな。
それらの関係を式にして表してみよう。
フックの法則
まず、『y=ax』の(比例定数)に
バネ定数
と呼ばれている、バネによってそれぞれ違う『
伸びやすさ
』の違いを表す文字
「k」
を代入する。
『伸びやすさ』であるkは、『
そのバネを1[m]伸ばす当たりに必要な力の大きさ
』
つまり
バネが引っ張っている力
(=バネが引っ張られている力)を、
伸びの長さで割ってやった結果
と表すことが出来る。
なので、バネ定数kの
単位は[N/m]
と表されるんだよ。
そして、「x」に何m伸びているか、「y」にその時のバネが引っ張っている力F(=バネが引っ張られている力)をそれぞれ代入して、
と表すことが出来るね。
これを発見者ロバート・フックにちなんで、『
フックの法則
』と呼んでいるんだ。
また、引っ張るときに限らないで、バネを押したら押し返されるときの力の大きさと、縮む長さの関係も、
バネ定数kを使って同じように表すことが出来るんだ。
じゃあ、『k』は伸びやすさだけじゃなくて、縮みやすさと表すこともできること?
そのとおり。
そして、『バネの伸びは引っ張った力の大きさに比例する』という性質を利用した道具が、 前から紹介してる力の大きさを測る道具『
バネばかり
』だったんだよ。
作用・反作用
作用反作用の法則
いろいろな力を見てきたけれど、大体イメージがつかめたかな? それと、
作用と反作用の関係がピンと来ただろうか?
力には他にも様々なものがあるけれど、基本的なものはこのくらいかな。次からも力の仲間を見ていこう。