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物体が面から受ける力は何も垂直抗力だけではない。摩擦力も抗力の一種だよ。
物体が面に対して、面に沿った向きの力を与えたときの反作用にあたるんだ。
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それが例えば坂道だったら、滑らないように働く力ということになるのかな?
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そうだね。
さて、摩擦力はいくつかに分類されている。
その一つが『摩擦で引っ張っても動かない』時の静止摩擦力。
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『引っ張っても動かない』ということは、摩擦力は引っ張る力とつりあっているということだね。
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引っ張る力より、摩擦力のほうが大きいから動かないんだよね。
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ん、そうかな?下の写真を見てみよう。
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動かないということは、物体が受けている力がつり合っていると言うこと。
両端から引っ張られているときと、摩擦がある面上の物体を引っ張っても動き出さなかったとき、
両方ともつり合った状態にあるといえるでしょ?
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さて、ということは、引っ張る力の大きさをF、静止摩擦力の大きさをfとすると、
常にF=fが成り立っているということになる。
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イコールだから……つりあっていてはじめて物体が静止するんだね。
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うん。でも、さらに力を大きくしていくと、いつか物体は滑り出してしまうよね。
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摩擦力より、ひっぱる力が強いからですね。
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それまでは引っ張る力と静止摩擦力は同じ大きさだったということは、
この滑り出す直前が、『静止摩擦力』がこれ以上大きくなれない、という限界点だったと言えないかい?
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あ……そっかぁ。
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静止摩擦力は、滑ろうとする力と同じ大きさになるけれど、限界があるんだね。
その『滑らせようとする力にどこまで耐えられるか』、という限界を『最大摩擦力』と言うんだ。
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さて、それではその最大摩擦力の大きさは何によって決まるんだろう?
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物体の重さかなぁ?
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物体と面との間に関係していることを挙げてみると……。
物体画面を押す力と垂直抗力、物体の材質と面の材質、物体と面の接触している面積、などかな?
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接している部分がゴムだと滑りにくいって、よく言うよね。
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それでは、どう関係しているのか、一つづつ検証してみようか。
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机に物体を置いた時は物体の重さがそのまま机へ伝わり、その反作用で物体は机から重さと同じ大きさの垂直抗力を受けている。
この『物体と机との間で働いている力』よりも小さい力で物体を引っ張ったときでも物体は動き出すだろうか?
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それでは、動かないんじゃないかなぁ?
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いや、関係することは関係しているけど、あまり影響を与えないから、動くのではないでしょうか?
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では実験してみようか。ここで使っているバネばかりは、200gの物体の重さまで量れる。つまり、目盛りいっぱいで2[N]弱ということになるよ。
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物体と面との間に働いている力は、「9.8×それぞれの質量」で表されるから、それより小さい力でも動き出したとわかるね。
しかも最大摩擦力(静止摩擦力の限界)はペットボトルの重さに比例した。
つまり、物体と面との間の働いている力に比例したということだね。
力学は基本的に『物体が受けている力』に着目して考えるから、『垂直抗力に比例した』と言っておこう。
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実験についてよく考えてみると、そういえば氷の上などすべすべした場所だと、ちょっと押しただけでも動きだしてしまうよね。
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だから、最大摩擦力(静止摩擦力の限界)は、物体や面の材質や湿っているかいないかなど、接触面の状態によっても変わってくることがわかる。
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そして、垂直抗力と最大摩擦力(静止摩擦力の限界)は、接触面の状態がどんな時でも比例することが実験でわかっているんだ。
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それでは次に、最大摩擦力と物体と面の接触面積との関係を見ていこう。
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机の面と物体との接触面積の違いで、最大摩擦力はどう違うだろうか?
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面積が大きければ大きいほど摩擦が掛かる?
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最大摩擦力は、ちょっと面の状態が変化しただけで大きく値が変わってしまうんだ。
従って、残念ながら、接触面積の違いによって摩擦力がどう変化するかは、うまく実験するのが難しいので、私から解説しよう。
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実は、接触面積と最大摩擦力は、直接はあまり関係ないんだ。
しかも、その理由は決定的には分かっていない。
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でもたとえば、実生活の中で見てみると……。
体育の時にマットを片付けることがあると思うけれど、実はマットを動かすのに必要な力は、伸びたままでも丸めても、変わらないということだよね?
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しかし、感覚的な話だと、丸めたほうが運びやすい気がしますが……。
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そうかもしれない。でも、「なんとなく楽かなぁ」程度で、「何倍くらい差がある」と言えるほどじゃないよね。
だから、最大摩擦力を考えるときには、接触面積を考えなくても良いんだ。
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さて、これらのことから『最大摩擦力は接触面の状態によって変わるが、垂直抗力に比例する』と言うことがわかった。
このことを式にしてみよう。
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最大摩擦力と垂直抗力は比例だから……。
比例の関係式『y=ax』のyに最大摩擦力を、aに比例定数μ(ミュー:ギリシャ文字)を、変数xに垂直抗力Nをそれぞれ代入して……
と表されるね。
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みゅー?
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このμの値は、『接触面の状態によって決まっている数』として考えてみて。
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すると『最大摩擦力は接触面の状態によって変わるが、垂直抗力に比例する』を表した式が完成。
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このμ、つまり『接触面の状態によって決まっている数』のことを『静止摩擦係数』と言うんだ。
ちなみに、何か量があるわけじゃないから、単位は無い。
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普通、1より大きいことは滅多にないけれど、接触面の状態によっては、1を越えることもありうるよ。
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例えば、さっきの実験の結果だと、0.2~0.25くらいかな?
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この値は、小さな砂粒が挟まっていたり、湿りけ具合なんかで大きく左右されるので、
きちんと決まった値を求めるのはとても難しいんだ。
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じゃあ、この値ははっきりとわからないの?
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うん、そのときによって多少変わりやすいということなんだね。
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さて、静止摩擦力と最大摩擦力については、これで良いかな?
次にいってみよう!
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