実験で楽しくなる力学教室
Chapter 1
Chapter 2
さまざまな力
重力
磁力
垂直抗力
摩擦力(1)
摩擦力(2)
摩擦力(3)
空気や水の抵抗力
糸の張力
フックの法則
圧力と気圧(1)
圧力と気圧(2)
水圧と浮力(1)
水圧と浮力(2)
Chapter 3
2-7. 摩擦力(3)
最大摩擦係数「μ」と、動摩擦係数「μ′」って、どういう関係があるんだろうか?
……比例?
さあどうだろう?
力学には『比例』というのが多いから、そう言っておけば当たる……かも。
って思っちゃったけど……。あはは、やっぱりだめ……かなぁ?
……。
……さて、それじゃ、まずさっきの式を比べてみようね。
垂直抗力が同じ、接触面の状態が同じのときの、最大摩擦力と動摩擦力を比べてみれば、 静止摩擦係数と動摩擦係数の違いがはっきりするね。
ではまず、二つの力どちらが大きいだろう?
……動摩擦力?
ほんとかなー?
じゃあ……静止摩擦力?
その静止摩擦力が一番大きくなった状態を、最大摩擦力って言うんだったよね。
うん。
……あれ? 動摩擦力に最大値とか最小値とか、そういうのはないの?
さっきの式をちゃんと思い出してね。
動摩擦力は面の状態と、垂直抗力が変わらない場合は一定の値だよ。
静止摩擦力の大きさ=引っ張った力の大きさ
そのうち、
最大摩擦力の大きさ=μN
動摩擦力の大きさ=μ′N
この関係、忘れないでね。
さて、ものを引きずって動かしたとき、動き出すまでより一度動いてしまってからの方が楽なことないかな?
さっきの実験をもう一度見てみよう。
目盛りに注目して見てみよう。動き出した後は一度力が小さくなって、その後は一定くらいになっている。
物体が等速直線運動をしていると仮定すると、引っ張る力と動摩擦力はつりあっていることになるから、
ということで、動摩擦係数は最大摩擦係数より小さいと言うことは確かに言えるね。
グラフにしてみると、
最大摩擦力は文字通り、摩擦力の最大だったんだよ。
そうだったんだ……
さて、動摩擦係数が最大摩擦力より小さくなるということがわかったけれど、他に一定の関係などがあるだろうか?
……と、いうことでいろいろ調べられているんだけれど、どうやら一定の法則らしきものはないらしい。
つまりは、その場その場で量ってみるほかないようだね。
少々厄介ですね……。
摩擦力には他にも、動摩擦力の一種である、筒やボールが転がるときの『転がり摩擦力』などがあるよ。
転がり摩擦力が、普通に滑らせた動摩擦力に比べて、とても小さいということは皆が経験的に知っているとおりだね。