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物体が糸で引っ張られるときに受ける力を、『張力』と言うんだ。
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あ、張力といっても、水が盛り上がる時の『表面張力』とは全く別物だよ。
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これは"糸"だけが持っている力ですか?
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だいたい糸のとき使われるね。
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じゃあ例えば、物体を手で引っ張ったときの力は『張力』って言わないの?
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うん、そういう場合は張力という言い方はしないかな。
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じゃあ『指力』?
もしくは『手力』?
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手で引っ張った時の力には特に名前はついていないんだ。
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じゃあ、ここで"糸"だけ取り上げられるのは何でですか?
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それは"糸"の力には少し特別な性質があるからなんだ。
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まず一つ目。この張力は、糸を引っ張るとわずかに伸びる。
そうすると、糸も弾性を持っているので内側に戻ろうとする。その時に発生する力なんだよ。
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ということは、『糸がぴんと張っているとき』に『引っ張る向き』にだけ働く力だということが言えるんだ。
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それじゃ、次に図を見てね。
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指で糸をつまんで、物体を引っ張っていますね……。
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この時、物体が受けているのは何の力?
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指が引っ張っているんだから『指力』
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いや、あの……。『指力』から一旦離れようね。
普通に『指で引っ張ったちから』でよろしいです……。
でも、物理的に力を考える時には、離れていて働く重力や磁力なんかではない、
接していてはじめて働く力は、「必ず接している物体同士で」分けて考えなくてはならないんだ。
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え? 手が引っ張った力は、そのまま糸を伝わって、物体を引っ張っているんじゃないんですか?
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そうだね。でも実は、それは糸の『質量がとても小さい』という性質が関係している『糸特有の性質』の一つなんだ。
後で「運動の第二法則」を学んだ時に調べてみればよくわかるんだけれど、もし糸がとても質量が大きかったとするよね?
すると糸の慣性が大きいので、図のように引っ張って動かそうとした時に『物体を動かすための力』のほかに、
『糸を動かすための力』が余計に必要になってしまう。
すると、指と糸との間に働く力と、糸と物体の間のに働く力とが違う大きさになってしまうんだ。
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じゃあ、『何と何の間に働く力か』というときは、直接力を及ぼしあっている物体同士で考えなければいけないんですね。
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そのとおり。そして、糸の質量がとても小さい場合、図のように引っ張って動かす時も、
糸は慣性が小さいからほとんど『糸を動かすための力』が必要ないね。
なので、ここで初めて『糸の右端と左端では張力の大きさが等しい』と言えるわけなんだ。
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他にも、糸の張力には特徴があるんだ。滑車って知ってるかな?
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物を上に引き上げるときに、比較的楽に引き上げれるようにする道具、ですよね?
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そうだね、よく井戸の上についているやつだ。
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回すのに力のいらない滑車を、『軽い滑車』と言ったりするんだけれど、
その軽い滑車を使うと、張力のはたらく向きを自由に変えることができるんだ。
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力を好きな向きにできるから、滑車って便利ですね。
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そうだね。でも力の大きさは変わらないよ。
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張力は、式や図に書き込むときは、量記号「T」で表すことが多いんだ。 |
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