2-2. 重力
先生 ここでは重力についてやっていくよ。
これは代表的な『離れていてもはたらく力』だね。
一弥 はい。
先生 1[kg]の物体の重さは、大雑把に計算して9.8[N]だった、という話も覚えているかな?
重力の公式 これを計算して、逆に『1[N]は約100[g]の物体の重さ』なんて言われたりするけれど、
[N]という単位はそんなふうに決められたものではないので、気をつけてね。
[N]に関してはこの教室の最後に種明かしするとしよう。
先生 ところで、さっき質量を学んでいて『重力=地球の引力だと思っていて』と説明したけれども、詳しく言うと少し意味が違う。
柚莉亜 え、何が違うんですか?
先生 遠心力』という言葉をきいたことがあるかな?カーブを曲がると外側に投げ出されるような感じになるよね。
柚莉亜 それって、バケツに水をたくさん入れて、思いっきりぐるぐるまわすと、水がこぼれないっていうやつだね。
先生 やってみたことがあるのかい?
柚莉亜 わたしはやったこと無いけど、一弥くんが……。
一弥 実は昔……。無論失敗してしまいましたが……。
先生 これについては詳しくは説明しないけれど、物体が進行方向を変えようとすると『等速直線運動したい!』と質量が言う。
……実際には言わないけど、例えばの話だからね。
なので、実際に外側に引っ張られているわけではないのに、そんな感じがするんだ。
こういうのを『見かけの力』と表現したりする。
遠心力
柚莉亜 本当に力が働くわけじゃないってことなんですね。
先生 うん、考えてみると引っ張ろうとしているものって、何もないでしょ。
柚莉亜 つまり、錯覚みたいなものかぁ……。
先生 まぁ、そうと言えなくもないかな。でもね、回っているバケツの水にしてみると、確かに外側に引っ張られる気がする……。
だからバケツの底にへばりついているってことなんだ。
一弥 だから、こぼれないんですね。僕の場合こぼれてしまいましたが……。
先生 さっき慣性の法則のところで言ったけれども、北極、南極にいない限り、地球上の人は円運動をしているよね。
だから地上の物体は、地球の中心に向かう万有引力のほかに、地球の外に投げ出そうとする遠心力を受けているように感じるんだ。
地球の遠心力
柚莉亜 地球の外に投げ出そうとする?
先生 そのはたらく向きは、地球の自転軸に垂直の外向きだから……。うん。 地球の遠心力 君が真南を向いて、頭のてっぺんを北極星の方に向けた時、まっすぐ見ている空の向き。
もしくは春分・秋分の日のお昼12時の太陽の向きと言ったらいいかな。 地球の遠心力
先生 実は、みんなそっち方向に少しばかり投げ出されようとしているんだよ。
先生 だから、万有引力と、その少しの遠心力との合力が、『重力』というわけ。
遠心力の大きさは、地球の緯線一周の長さ(一日で振り回されている長さ)が違うから緯度によって変わってくるし、高度によっても少し違う。
柚莉亜 そうだったんだぁ……。
柚莉亜 ん? あ!
じゃあ先生、赤道に近づけば近づくほど体重が重くなっていって、北極や南極に近づくほど体重は軽くなっていくんですね。
先生 そういうこと。それに、地球が完全な球じゃないことで、地球の中心(重心)と地表との距離が場所により違うというのも重力が一定でない理由の一つかな。
先生 と言ってもまぁ、これだけ説明しといてなんだけれど、大した変わらないけどね。
大雑把に『重力[N]=9.8×質量[kg]』といっていたけれど、それが9.78だったり9.83だったりというくらいの差なんだ。
だから、この話は豆知識だとおもっててくれればいいかな。
先生 でも、一つ覚えてもらいたいことがある。
1[kg]あたりにかかる重さを決める9.8・・・・という数字、後でまた詳しく解説するけれど、 ちょっきり9.8でないから、公式などを書くときにはローマ字で「g」と置いて使われるんだ。

次へ進む

ページの先頭へ