海外の対策

2016年のアメリカ大統領選挙でもトランプ氏が指摘したように、アメリカをはじめとする諸外国ではフェイクニュースが飛び交い、今も様々な混乱をもたらしています。そんな海外ではどんな対策が行われているのでしょうか。
欧州では、各国の大臣や見識者が会合を開き、何度も協議を重ねています。その中で、フェイクニュースのためのオンラインプラットフォームを設けたり、委員会や事業団体を設立し、虚偽情報への対応に回っています。2017年11月〜2018年2月に市民及び組織・ジャーナリスト(計2,986件)を対象として実施されたフェイクニュース及び偽情報に関するパブリックコンサルテーションでは、市民の38%が毎日、32%が1週間に一度以上フェイクニュースに晒されされていると回答しており、フェイクニュースの脅威が生活の至る所に潜んでいることを示唆しました。これらの収集データをもとにし、HLEG(ハイレベル専門家グループ)がまとめた報告書によると、学校教育にメディアリテラシープロジェクトを実施する必要性があることや、ファクトチェック機能を報道メディアで向上し、メディア評価NGOによる偽情報の追跡を行うべきことが挙げられました。これを受け、欧州委員会は「透明性の向上」「情報の多様性促進」「情報の信頼性向上」「包括的解決策の形成」という4つのアプローチを掲げ、フェイクニュースを欧州諸国の重大な問題として取り扱うことに決めて今学校教育やメディアなどで様々なアプローチをしています。

メディア
メディアイメージ / "PIXADAY"より引用
 

実際の取り組み

各国でフェイクニュース対策が行われている中、今注目されているのが「メディアリテラシー教育(プロジェクト)」です。これは欧米中心に行われているプログラムで、小学生から大学生にまで幅広く教育が行われています。ボランティアで教室を開いているところもあれば、アプリを用いて「バーチャル教室」として授業しているところもあり、その形は様々です。 内容はクイズ形式が主で、NLP(神経言語プログラミング )によると、2018年には約1万2000人の教師がこのアプリを活用しており、このレッスンを受けている子供の総計は全米で約178万人にもなります。
ホワイトハウス
ホワイトハウス / "PIXADAY"より引用
他にはフェイクニュース対策として、法律を設ける国もあります。シンガポールでは2019年にフェイクニュース禁止法を定め、政府がオンラインプラットフォームを監視し、「公共の利益に反する」虚偽情報の削除や訂正文の掲載を命じることができるようにしました。しかし法律として課してしまうと、表現の自由が奪われるのではないかという指摘もあり、虚偽情報に関する法律の整備は各国慎重です。
大手企業としてはGoogleが2019年にフェイクニュースに関する白書を出しており、“虚偽情報との戦いは非常に困難なものだが、対応するために「コンテンツの品質を重視したアルゴリズムの強化」「悪意のある行動者に対抗する」「ユーザーにより多くのコンテキストを提供する」という3つのメインアイデアを中心に対策していく”と書いています。具体的にはスパムによる情報の検出と除去やGoogleにカスタマイズされていないコンテンツの排除などが挙げられており、スパム戦ではいたちごっこになっている状況がありながらも、ユーザーの安心を守るために続けていくことが述べられています。

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