ニュースの根拠とされるような、大本の情報が書き換えられている事例。会議録などで細かい言い違えが編集された事例などがこれに当たります。
根拠が明確に示されているニュースは信用性が高いですが、根拠とされている情報が改ざんされ真実と異なっている場合も信じられやすいという側面も持っており、また改ざんにより本来言ってしまったことをある程度無かったことにすることさえ可能なのです。
「会議録」という記録は、録音や動画撮影などが簡単に行えるようになった今でも多くの機会で活用されており、会議などの内容を記録し後に活用するために大切な役割を担うこともあります。ましてや国の運営にかかわる委員会の会議録などは、多くの記事などで信用のできる根拠としても扱われるため、会議の内容そのままの正確さが求められます。しかし、そんな国家運営の議事録でさえ、信用が危ぶまれる事例が存在しました。
2016年5月16日、衆議院予算委員会にて、当時内閣総理大臣であった安倍晋三氏のとある発言の誤りを指摘する声が各所から上がりました。
「議会の運営について少し勉強して頂いた方がいい。議会については、私は『立法府の長』。立法府と行政府は別の権威。(国会での)議論の順番について私がどうこう言うことはない」
また参議院予算委員会にて聞かれた質問に対し、「立法府の私がお答えのしようがない」とも解答しました。安倍晋三氏は当時の内閣総理大臣であったため、当然同氏は行政府の長でありました。少なくとも当時の発言のように法を整備する立法府の長ではありませんでした。つまり、当時の安倍氏の発言には誤りがあったということです。
しかし、この元総理の誤りを厳しく非難することは出来ません。確かに、一挙一動が注目されていた元総理が国家の運営に関わる機関の名前を間違えてしまったことは問題です。多少の非難をうけても仕方のないことでした。けれども、いくら総理大臣といえども人間です。言い間違いを起こしてしまうことだってあるでしょう。この事例で問題とすべき所はその点ではないのです。
「情報の書き換え」また「改ざん」というものは、必ずしも情報の発信者が意図して行ったものだとは限りません。情報を発信している場所などがハッキングされ、発信者が最初に公開した情報から悪意のある第三者の手によって改ざんされ、発信者や閲覧者の意図とはかけ離れたフェイクニュースとなってしまう可能性も少なからず存在します。その場合、閲覧側が本来知りたかった情報とは違い、またその情報が公開されているタイトルとも異なる偽の情報を閲覧させられてしまう他、発信者も本来公開したかった情報を公開することができないかつ自分の名義でフェイクニュースを発信してしまうため悪質です。
2018年の4月10日、大手動画投稿サイトYouTubeで視聴回数がトップクラスだった音楽ビデオ、「Despacito」のカバーイメージがマスク姿で銃を構える集団の画像に置き換えられました。この画像自体は現実にあったことや実際の人物の主張などではなくとあるドラマから切り取ったフィクションの画像でしたが、当然この曲の投稿者達はそんなカバーイメージで投稿しておらず、またカバーイメージを変えた心当たりも当然ありませんでした。この時、彼らの音楽ビデオはハッキングによって改ざんされていたのです。
一般的に信用できると考えられている情報が根拠として挙げられている情報や意見は基本的に信用することが可能です。少なくとも、国会の会議録の正確さを疑う人は少ないでしょうし、それを根拠として構築された意見も一理あると感じるでしょう。しかし、「情報の書き換え」というものは、基本的に難易度の差を勘定しない場合どんな記録でもすることが可能です。つまり、可能性の確率は違えど、どんな記録でもフェイクとなり得る可能性が存在するということです。
さらに、信頼できるサイト、信用しているサイトなどから大丈夫。そんな情報さえ、フェイクニュースである可能性を否定することは叶いません。前述したように、そして他のページでも述べたように、フェイクニュースというものは悪意の有無に関わらず作られてしまう可能性があります。正しい情報を書いていたはずのサイトがハッキングなどによる「情報の書き換え」に襲われた場合。そもそもの根拠、ソースとしている情報元が改ざんなどによりすでにフェイクニュースであった場合。可能性ならいくらでも考えることができます。そこで最も重要なのは、初歩的なことですが、情報を探す、または発見した際に複数個の情報を比べる。それだけは必ず行うことをこの社会では常に強く意識しておく必要があります。